258. 北の門の先
しばしノノさんとヨルさんが見つめあっていた。まあお互いなんでいるんだって状態なんだろうが、お互いがどうやってここに来れるようになったかと思い出したら納得できたのだろう。
「で何の話だ? 俺はちょっとリョータに相談があって来たんだが」
「相談?」
「ああ実はな。母とレアナににもここに来れるようにしてほしいんだ」
「あー…」
なるほどな。購入制限かけてあるからヨルさんだけだと思うように買って帰れないということかな。というか1日1人3個までって普通なら十分な気がするんだけどな。
「状況によるけど一度ジルベスターさんに会って、その後どうするか決めてからでいいか? 2人がここに来れるようにするのは」
「流石にそのくらいは待ってくれるだろう…多分」
多分って…こわいな。
「で、門ってことは境界門へ行きたいのか?」
「境界門っていうか北の門をくぐりたいんだよ。ジルベスターさんがその先にいるみたいだからね」
「ふぅ~ん…北の門の先は境界門くらいしかないがな。何してるんだろう」
俺とヨルさんとノノさんは3人で北の門へと向かった。今回は念のためルーには箱庭で待機してもらっている。フードを外してちゃんと顔を見せろとか言われると中々面倒だからね。こうやって見るとまともに動き回れるのは俺しかいない気がするな。
「身分を提示しろ」
「ああほら」
「これはこれは…今丁度ムコン伯爵様がこの先へといらしていますがその関係でしょうか?」
「そんなところだ」
「わかりました今門を開けさせていただきます」
おー…貴族の息子でもある程度効果があるもんなんだね。北の門のところでヨルさんが身分証を見せたら門を通してくれることになった。多分俺とノノさんは従者か何かだと思われていそうだね。通れればなんでもいいんだけど。
ゆっくりと門が開いていく…中々不思議な光景だ。両開きの門が開いた先にもさらに城壁と門のようなものが見えているんだからね。
「あれが境界門か…」
「リョータ様…何やら様子がおかしいようですよ」
「おいノノ様子見てこい」
「行ってまいります」
ノノさんが姿を消した! なんていうかメイド…ってなんだっけね?
少しするとノノさんが戻って来た。
「ジルベスター様がこの先にいらっしゃいます。それと…あれはダルシア男爵でしょうかね?」
「ダルシア男爵!」
「あとなぜか境界門が開いていました」
…え? 境界門が開いてるって…つまりその先が見えるってことだよね。そんな気軽に開いちゃっていいものなのか?
「開いてるって…おかしいな」
あ、おかしいんだ。
「危険はありそうか?」
「すでにダルシア男爵はとらえられていますので、大した危険はないと思われます」
「そうか。リョータ念のために警戒だけはしていって見るぞ」
「わかった」
俺は頷くとノノさんとヨルさんに続いて先へ進んだ。ジルベスターさん、ダルシア男爵、そして開いていた境界門…何があったんだろうか。でも残念ながら俺は物語の登場人物ではないので他の人の行動はわからない。直接その場に行って話を聞かないとわからないのだ。
近づいてきた開いた境界門…この先は何があるのだろうか。俺はゆっくりと開かれる境界門の先見つめた。