22. 食事会?
目の前の扉を開けて中へ入っていくヨルさんに続いていく。店内はどこぞのレストランかのような雰囲気をしており、ギルドの酒場のような騒がしさはまったくなかった。
俺場違いなんじゃ…? どう見ても金持ちとかがくるとこだろうここは。
「リョータこっちだ」
キョロキョロと見渡しているとヨルさんが声をかけてきた。どうやらすでに会わせたい人というのは店に来ているみたいだな。
さらにヨルさんについて行くと奥まった方にある扉の前に着く。いくつか扉が並んでいる所をみるからに個室ってところかな?
「連れてきた」
「入るがいい」
ヨルさんがノックをすると中から返事が返ってきた。扉が中から開かれ、ヨルさんの後に続いて入って行く。扉を開けてくれた人と別に一人座っている人がいる。こっちが会わせたい人ってやつだろうか?
部屋に入ってすぐヨルさんが席についた。あと空いている椅子は一つ。座っていないのは俺と扉を開けた人だ。席が足りない…
「かけたまえ」
どうしたもんかと視線を彷徨わせていたら座るように勧められた。え、俺が座っちゃっていいの? 立っている人に視線を送ると頷いてる。いいようだ。
俺が席につくと、一人立っていた人が部屋の外へと出て行く。まるで俺が追い出したみたいで少し居心地が悪い。少しすると台車…じゃなくて、なんかガラガラーッて音がして食事を運ぶ…名前忘れたそれで色々運ばれて来た。
「さあ、話に入る前にまずは軽く食事をしようじゃないか」
「……」
まあ…ね。そうなんだけどね? とりあえず頷いておくけど、あんた誰よと…ちらちらと見ながら出される料理を食べる。コース料理っぽくスープから順に少量で出されるんだけど…う~ん……不味くはないけど物足りない味がした。
料理がで終わったみたいで紅茶が出て来た。少し薄めなのは変わらないが、前ヨルさんと飲んだ方のが美味しかった気がする。
「では本題へ入ろうか」
「あの~…その前に聞いてもいいですか?」
「何かね?」
「名前です」
…え、何? ヨルさんもこのおっさんも目を見開いて驚いている。俺何か変なこと言ったか?
「嘘だろう?」
「…なるほど。となると可能性が上がるな」
いやいやいや…知ってるかどうかじゃなくて普通に初対面なんだからさ、名乗るもんじゃないの? もしかして俺が相手が誰かわかっているつもりだったの? 知らんし…
「これは失礼したね。私はジルベスター・ムコン」
「俺は良太です」
んー? 何か聞いた事があるような…ないような?
「ああ名前は息子から聞いているよ」
「はあ…」
「さて、用件なのだが…」
色々気になるところだが、今はまず話を聞こう。
「聞いた話によると随分と掃除が得意だそうじゃないか」
「掃除ですか?」
「さっとひとなでで壁が綺麗になったとか」
「あー…」
なるほどね。俺の仕事の様子をヨルさんが報告したってところか。
「得意というかスキルなので…」
「うんうん。勿論教えろとは言わないよ。それと変わった食べ物を出す道具があるとか?」
…あぁ。そっちが本命かっ えーと…? ヨルさん? 視線をヨルさんに向けるとそらされてしまった。
「すまんつい…」
「話たけだとどんな食べ物なのか全くわからなくてねぇ。ぜひ一度私にも貰えないかとおもってね」
「はあ…」
確かヨルさんに渡したのは醤油ラーメンだったっけ? 今ないんだよな…
「えーとあれもスキルで出してて、欲しいものが手に入るわけじゃないので…」
「スキルか……やっぱりね」
「…?」
なんだ? 俺何かおかしな事言ったか?
「リョータくん…君どこから来たんだい?」
「え…?」
ジルベスターさんの目が鋭くなりおれのことをじっと見つめていた。