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250. 混雑する冒険者ギルド

 俺とルーはそのまま真っ直ぐ受付へ向かうと、現状確認のためこの人の多さのことを聞いてみた。結果は予想通り宿から追い出された冒険者たちで、どうやら行き場がなく雨を凌ぐためにやって来たらしい。食事は出せないが流石に追い出すことまではしないみたいだね。ギルド側もそれほど備蓄があるわけじゃないらしく、職員が食べるだけでも足りるかわからないとか。


 うーん…この状態だとそのうち暴動とか起きそうだし流石に話を聞ける感じじゃないかな。


「どうしますか?」

「ルーはこの雨どのくらい続くと思う?」

「今まで体験してきた感じですと短くて5日、長くて10日くらいですかね」


 そんなに長いのか。だとすると食料が足りないのもうなずける。この雨の期間外から食料が入ってくることがないだろうからね。でもまあだからと言って何もしないままでいるのは意味がない。


「ちょっとだけ話してみようか」

「わかりました」


 さて誰に話しかけてみようか。女の人に話しかけると厄介そうだからここはやっぱりぼちぼちな年齢な男かな。あまり若すぎる人に話しかけるとそれはそれでつっかかってきそうだからね。


「あの~」

「…体力消耗するから話しかけんな」

「……」

「少し話いいですか?」

「ああん?」


 …だめだ機嫌が悪い人が多すぎだろう。まともに会話出来る人はいないのか? 今度は酒場スペースでお酒を飲んでいる人に聞いてみよう。


「あの~」

「…つまみくれたら会話してやる」

「つまみ…」


 言われてみればお酒飲んでいる人はお酒だけで何も食べていないな。食料の提供が出来ないのは本当なのか。つまりここでお酒飲んでいる人は空腹をごまかしているだけってことか?


「リョータさん食べ物は出したらだめですよ。一人にだけ渡すともめてしまいます」


 そりゃそうか。こんな状況で人に渡す余裕があると見られたらたかられてしまうな。だけど俺なら何とかできそうなんだけど…


「お、リョータそこにいたかっ」

「ガルシアさん終わったんですか?」

「ああ報告も済んだ」


 ガルシアさんのパーティが依頼を完了させて俺を見つけたので声をかけてきたようだ。


「それにしてもやっぱりここは人が多いな~」

「ですねー 驚きました」

「そういやリョータたちは宿は?」

「宿はないですけど…まあ最悪テントにでも入ればいいかなと」

「寝るのはそれでいいんだけどよ、問題は食事だろう?」

「自分たちの分くらいならどうにか。というかガルシアさんたちはどうするんですか?」


 箱庭のことは言えないからテントでごまかそうと思ったけどやっぱり食事のことが気になるのか。


「それな~ ほんと。依頼人の家に世話になれないか聞いてみたんだけどよ、食料が足りないから無理だっていわれたわ」


 どこも厳しそうだな。さて、情報も今は無理そうだし、箱庭に行くとするかね。


「そうだガルシアさんテントってギルドの中に設置しても怒られないかな?」

「非常時だからな開いてる壁なら問題ないだろう。ほらそこらにあるし」


 ほんとだ。言われるまで壁なんて全然見てなかったよ。これだけ人が座り込んでいる中にいるよりはいいもんな。すでに利用している人だっているのか。


「じゃあこの辺に…」


 俺は寝室のテントを設置した。調理場と浴室は箱庭で使っているからこれしかないのだ。まあテントの中から箱庭へ移動するつもりでいるから、設置するのはなんでもいいんだけど。


「なあどうせならテント俺たちと繋げておかないか? 壁も他のやつらもつかいたいだろうしさ」

「え…だとするともしかしなくても最初に繋げた俺のテントが不利じゃないか」

「あ、気がついたか!」


 外に出るために必ず俺の部屋を通るってことだ。普通に使用しても何度も起こされそうだし、そもそも箱庭を利用するつもりだから俺は留守になる。


「ガルシアさんの部屋が先頭ならいいですよ?」


 これもあまりよくはないが、断るのも後でもめる原因になりそうなので提案してみた。これなら俺たちが部屋を通ることが無くてもただ外に出る用事がなかっただけで済むからね。


「…ちっ まあそれでいいわ」


 舌打ち…もしかしてまだ他に何か目的があったのか?

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