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248. 雨

 ちょっとバタバタしたが昼食も終わったので、俺とルーは再び次の場所…今度は町みたいだ。そこへ向かうためにネコルーとアスを連れて箱庭から出ようと外をそっと眺めると、そこが街道ではなく建物があり驚いた。少しルーたちには待ってもらい俺一人で外の様子を確認すると、どうやら俺がさっき箱庭に戻るために使用した王都の民家の裏手だったことがわかる。つまりそれが箱庭の仕様らしい。開いた場所から外へと出るという。


「ごめんルーさっき2人を探しに王都へ行ったときに箱庭開いて戻ったから王都だった」

「あら…かなりすごいスキルだと思っていたけど、そんなつくりだったんですね」


 ルーには箱庭に待機してもらって馬車で移動した2つ目の村までテレポートで移動をすることに。その後馬車を取り出しそこから再び次の町へと向かった。


「うーん、これはよくないですね」

「何がだ?」

「雨が降ってきそうです」

「雨…」


 そういえばこの世界にやって来て雨が降ったのは見たことがない。でも雨は必要な自然現象だから仕方がないと思うんだけど…何がよくなんだろう。


「雨はすべてのものを流してしまうと言われているんです。足跡や気配はもちろん、農作物や建物それに人の命でさえも」


 …ん? そこまでなったらもう自然災害じゃないか。言われてみれば風が強くなってきた気もするけれど、もしかしてそんな規模の雨が降ってくるっていうことなのか?


「えーとリョータさんの世界ではどうか知りませんが、ここでは雨はめったに降らないんですよ。その代わり年に数回大雨が降るんです。しかも時期とかが決まっていないのでやっかいでして」

「大雨は厄介だね」

「はい。ですので雨が降るとわかると船は運休、店は値上げをして早めに閉まり、人々は建物に閉じこもります」

「あー…」


 なるほどな。情報も集められなくなるってことか。それは確かに困るな。


「ですのでちょっと急いだほうがいいかもしれません。町の門も閉じられてしまったらしばらく町へはいれなくなってしまいますので」


 ということで俺たちは少し馬車の速度を上げることにした。だが町につく前に雨が降り始めてしまった。


「降り出したな…」

「はい」


 結界を張ってあるので直接濡れることはないが少しづつ視界が悪くなってくる。


「そろそろ町につくといいんですけどね」


 誰もが急いでいるのか前を走る馬車も見かけなくなった。というかこの状態でのんびり移動している方がまずいだろうね。


「あっ リョータさん前方に馬車がいます。追い越せる幅がないですがどうしましょうか」

「後ろついていくしかないかな…幅がある場所に出たら追い越そう」

「わかりました」


 俺たちは仕方なく前を移動している馬車の後ろをついていくことになった。そして雨も少しずつ強くなってくる。


「まずいですね…前の馬車速度が落ちてます。このままだと止まってしまうかも」


 ルーがそういったとほぼ同時に前の馬車が足を止めた。馬車の中から一人こちらへと向かってくる。


「すまんっ どうやら馬が雨に怯えてしまって…ん? あれ、リョータじゃないか」

「…ガルシアさん!」


 馬車からこっちへやってきたのは以前一緒に護衛依頼を受けたガルシアさんだった。


「久しぶりだなおいっ」

「そうですねガルシアさんは仕事ですか?」

「ああ護衛依頼中だ」

「あの…そんな話よりも馬車はどうするのですか?」

「ああそうだった。すまないがこっちの馬が動いてくれなくなって困ってるんだが、そっちの馬車に一緒に乗ることは出来ないか?」


 こっちの馬車に乗るってことは馬はどうするんだ?


「馬はどうするんですか?」

「狭くてもいいから乗せられるなら乗せて欲しいが…」

「荷物と乗員はどの程度です?」

「荷物はそれほど多くない。人数は…俺を入れて5人だ」


 馬と荷物と5人…荷物はインベントリに入れればいいけれど馬と5人か。ちょっとネコルーが引くのに重いかもしれないな。馬車に浮遊をかけたら軽くなって楽に引けるかな…一度荷物と人を確認してからにしようか。

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