239. 怪しい2人組
カードの複製を行っているとそろそろ港につくと響子が知らせに来てくれた。執事のスキルが何気に便利だな。複製をいったんやめ俺も船の中へと戻る。短い時間なら俺も船に酔うことはないからね。甲板にでるとだいぶ近くに中央の島が見えていた。船が港につくまで数分ってところだろうか。
「そうだ次の船はシズクはどうする?」
「どうするも何も普通に船に乗っているつもりだが? 子供達も治ったしずっとそばにいることもないし、箱庭ならさほど危険なこともないんだろう?」
たしかに箱庭の中に危険はほとんどない。ただ山の中に入るとどんな生き物がいるのかまだよくわかっていないから、危険かどうかの判断が難しい。でも俺が聞いているのはそういったことではない。
「中央の島から船であっちにわたると今度は人ばかりになるんだが…」
「あーなんだそんなことか。ほらこうすれば問題ないよな?」
シズクはそういうと外套のフードを被った。確かにそれならぱっと見わからないだろうが…
「しっぽは?」
「ん-? そんなに見えないだろうからいいんじゃねぇか?」
「シズクは甘いわね~ 捕まっても知らないよ?」
「え、助けてくれるだろう?」
ニヨニヨとしながら響子はシズクをからかっている。というかそもそもそれって俺が助けることが前提になっているよな? 相手にもよるが響子じゃ力負けして逆につかまる未来しか見えないんだが…
「なんでもいいけど響子も外套のフード被っておけよ?」
「わかったよりょーちゃん」
もうそろそろつく中央の島から人が増え始める。どこから響子のことを探している人がいるかわからないんだ。というか2人とも箱庭の中にいてくれた方がどれだけこっちら楽だかわかっていないだろうな。まあこれも俺が王都までテレポートする間は大人しく箱庭にいてくれるのがぜめてものすくいだと思っておくことにした。
「ねえりょーちゃん私達中央の島で遊んでいてもいいかな?」
「え、キョーコあっちにわたらねぇーの?」
「この世界にやって来てまだ全然遊んだことないんだもん。ちょっとくらい遊んだっていいでしょう? それにどうせ船で渡ったらもう夕方じゃない。そのころには箱庭にもどるし~」
「なるほどな~ だそうだけどいいかリョータ?」
「うーん…危険だと思ったら即扉を登録して戻れるなら、かな?」
「これで船代も浮くしね~」
あーそのお金で遊んでくるってことか。まあいいんだが、船乗るの俺一人か…時間見て自分で船がつくの確認しないといけないのか。ちょっと面倒だな~とか行ったら怒られそうだ。こればっかりはしかたないか。こうなってくるともう一つ連絡用の魔道具が欲しいところだな。買うと高いから買わないが。
船が港につき俺はシズクと響子と別れた。さっていく2人を後ろから眺めると軽く怪しい2人組に見えてしまうのは俺だけなんだろうかとちょっと思った。フードを被った2人…怪しいよな。何はともあれ俺は次の船を予約し、その時間を待ってから再び船へと乗り込んだ。