235. お茶会
幼女と響子の顔合わせが終わったあと、ジエルも休憩とのことで一緒にお茶をすることになった。まあ約束通りおやつを渡すということだね。結局あのあと幼女が響子に何を話したかは教えてくれなかったが、響子が巫女になるということだけは決定事項らしい。今回出したおやつは折角人数がいるのでショートケーキ(ホール)を出して見た。ちなみに今いる場所は箱庭のリビングだ。
「大きい…」
「…」
「切って」
お子様たちがケーキに釘付けだ。一部お子様じゃないのが混ざっているが。えーと俺、ルー、響子、ジエル、シズク、子供達で7人か。8つに切ればいいかな。
「りょーちゃんその切り方だと1つ余っちゃうよ?」
「んーでも7に切るのはむずかしいし…」
「8切れでぴったりですわよ主様」
…でたよ。妖精王フィリールおやつがあるところによく出没する。
「だ…誰?」
「妖精王」
「…本当にいろんな人がいるのねこの世界は」
あれ? てっきりまた響子は謎な反応をすると思ったらなんか普通だ。
「りょーちゃん早く切って~ ケーキなんてどれだけ振りかっ」
あーなるほど、ケーキが楽しみすぎてどうでもいいのか。それならそれで早く切ってあげよう。ショートケーキを8切れに切り分け、こっちが大きいだ小さいだ騒ぎながら俺たちはケーキを堪能した。というかやっぱり甘いものはみんな笑顔になるね~…というかあれ? よく見たら男って俺一人じゃん。なんか…女子会に紛れ込んだ気分だ。ちょっとだけ居心地が悪い。
「あーそうだリョータ、裏の建物ありゃなんだ?」
「裏の…? ああ、そうだった。ちょうどいいや、ルー、ジエル、シズクちょっといいかな」
俺は執事のカードを取り出し3枚複製し、それぞれ手渡した。
「執事…ですか? メイドではなく」
「ああ、そのスキルに扉を繋ぐものがあるんだ。それを覚えて欲しい」
「ん、わかった」
「ちょっとは迷えよっ まあただで覚えられるスキルはありがたいから使わせてもらうけどよ」
3人はカードを破り執事のスキルを覚えてくれた。
「あーつまりこのスキルであの建物の部屋の扉を登録しろってことか?」
「そうだ。これで外でどこか扉を登録してくれればこの箱庭に自由にこれるようになるよ」
「では直接の用事があったらここまでくればいいのですね?」
「遊び来る」
これでよしっと…
「りょーちゃん私は?」
「響子はどうせしばらく一緒に行動するんだろう?」
「そうだけど…でもぉ」
どうやら仲間外れなのか気に入らないようだ。仕方ないので響子にも執事のカードを渡した。
「キュウウウウウウウウウッッ」
突然扉が開きアスが飛び込んできた。まだアスとあったことがない子供たちと響子が驚いている。アスはそのままの勢いで俺…じゃなくジエルの胸へと飛び込んだ。なんでだよ! 今チラリと俺の方見たのにっ
「?」
「リョータ! 竜だっ 竜がいるぞこの箱庭!! ほらそいつ」
「あー…」
しまったヨルさんに竜の卵がかえったこといってなかったね。怯えているアスに悪いことをしてしまった。
「ヨルさんまだいたんですか…というかその竜は俺の獣魔です。ほら、あのたまごの」
「たまご…ああっ あれか! 孵ったのか…これが」
ごくりとヨルさんの喉が動く。まあそりゃそうだよな~ 元の姿知ってるんだから。
「獣魔か…大丈夫なんだよな」
「今のところは」
「今の所ってお前…ん?」
突然騒がしくなりヨルさんはみんなにじっと見られていた。
「…おっとこれは。ごきげんようお嬢様方」
今更取り繕っても遅いと思うんだけどね。領主の息子って立場はあってないようなものだなと俺は思った。