232. 執事のスキル
話が切りついたところで昼食を用意し食べた。子供たちはまだ目を覚まさないのでそのままシズクが様子を見ることに。まあ移動中の間は響子も傍で見てくれているそうだ。テレポートでの移動はやっぱり一人の方が消費も少なくて気楽である。まあ何はともあれまずはヨルさんの所へ向かい無事に腕輪が外れた報告をしよう。ついでに執事スキルも渡しておきたいしね。これで直接連絡を取るのが楽になるはずだ。
ヨルさんの家の前の門番さんがまた無言で通してくれて部屋に通された。もしかしたらただの口下手な人なのかもと思い始める。
「戻ったか」
「問題なく」
簡単にどうやって外したのかを説明すると、草取りと同じレベルなのかよ! と頭を抱えられた。
「そうだヨルさん。ブンナーの町の北側なんであんなに壊れて??」
「あーあそこか~ たしか100年くらい前に内乱で壊れたままだったはずだぞ」
「内乱…」
「すぐ隣の領だからさその話を聞いたときはこっちにあまり影響がなかったみたいで軽くほっとしたっけな。まあ昔の話だ。で、そのあたりからブンナーは治安が悪化したってところかな」
はー…つまり復興がうまくいっていないってことなのか。あそこをもうちょっと整えたら住むところも増えるし治安よくなりそうだよな。っとそうだもう一つの目的も済ませないと。
「ヨルさん」
「なんだ?」
「覚えてもらいたいスキルがあるんだけど」
「いや、そういわれてもスキルもそう気軽に覚えられないぞ?」
「これがあるからさ」
俺はインベントリからカードを取り出した。もちろん執事のスキルカードだ。
「…スキルもあるのか」
「欲しいものが手に入るわけじゃないけどね?」
「執事…なんでこれを?」
「扉を繋げれるだろう? これで俺の箱庭に出入りできるようになると思ってさ」
「なるほどなそりゃ便利になるな」
ヨルさんが納得したところで箱庭へヨルさんと入る。とりあえず俺が登録した扉と同じのに登録出来るか試してもらうことに。
「うーんだめだリョータこの扉は登録できん」
「他の人が登録してるとだめなのかな? これでどうだ?」
俺が登録していたのを解除してヨルさんに試してもらった。
「お、出来た」
うーむ…となると知り合いが使えるようにするには扉が足りないな。別の建物を用意してその扉を登録してもらうようにしないと…建物か。何があったかな。インベントリの中のカードを眺めていると丁度良いものを見つけた。むしろもうこれしかないと言うくらい扉がたくさんある。ヨルさんに今の登録を解除してもらって家の外へ。
「どこ行くんだ?」
「新しく移動のための扉用の建物を出そうかと思ってさ」
「なるほど、つまり他にもここを利用する人がいるってことか」
「そうだね。まあ知り合い全員に渡すってわけじゃないから。ある程度ここに連れてきてもいいと思った人だけってことで。この辺でいいか」
俺は家の北側にある森の手前にその建物を設置することに決めた。森を背中に背負うことによって気軽に入りにくくなるだろうから、これで妖精王も安心して過ごせるようになる。カードを取り出しおれはやぶった。目の前に現れたのは木造2階建て校舎(小学校)だ。うん、この建物なら問題ない。別に住むわけじゃないしね。
「ちょっと古いがリョータの家よりデカいな」
「部屋数が多いから扉が多くてありかと思ってさ。ヨルさん好きな扉登録してきていいよ。あー部屋の内側から登録すると開けた時外側に出れるから」
「わかった」
少しするとヨルさんが戻って来た。どうやら入ってすぐあった保健室の扉にしたみたいだ。別にどこでもいいんだけどね…