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231. 聖女の力

「ねえねえりょーちゃん。お腹空いた」

「あーそういえばとっくに昼過ぎてたな」


 テレポートで立ち寄った場所で響子が言い出した。言われてお腹が空いていることに俺も気がつく。多分腕輪のことがあってそれどころじゃなかったんだな、お互い。


「じゃあ昼ご飯にしようか」

「そうしよぉ~」


 俺は箱庭を使用し目の前に光る扉を出した。


「えーと初めて見るよな確か」

「うん、なにこれ?」

「この扉の先は俺の作った世界。まだほとんど何もないけどね」


 扉を開け響子と一緒に中へと入る。驚いたのか響子は空を見上げたまま動きが固まっている。


「そ…空があるよ?」

「まあ無いと困るし」

「見たことあるような家がある…よ?」

「今の俺の家だな」

「これスキルなの…?」

「一応?」

「あはっ やっぱりりょーちゃんが最強だね」


 やっぱり箱庭はすごいスキルなのか。聖女の響子から見ても。扉に手をかけ開けたところで俺はふと気がついたことを口に出す。


「聖女…」

「ん?」

「響子回復得意だよな」

「うん、専門分野だよ」

「実はケガ人が寝ているんだけど見てもらえないか?」

「ケガ人? いいよ?」


 俺は響子と2階へと上がりシズクの部屋の扉を叩いた。


「入っていいぞ」

「…女?」

「リョータ遅かったじゃねぇか昼抜きかと思った…ぜ?」


 …あれ? 響子とシズクが気のせいか睨み合っている。なんだ?? 今余分なことを口に出したらやばい雰囲気なんだけどっ


「誰だ?」

「そちらこそりょーちゃんの家で何を?」

「あ~~~~ 響子回復してくれるんじゃないのか! ほらケガ人はべっどだぞ」

「ああそうだった」

「回復?? この女が?」

「ああ響子はこう見えて聖女なんだよ」

「うそだろう?」

「失礼な人~ 百聞は一見に如かずっ 黙って見てなさいって」


 そういうと響子はベッドの布団をはがし2人を姿をじっと見つめた。頭の先から足の先まで嘗め回すように見回している。


「ん~…これじゃだめ。内臓が回復してないよ?」


 なるほど、やっぱり内側の回復がうまくいっていないのか。でも意識がない相手にポーションは飲ませられない。そうなるとやっぱり火力のある回復魔法が必要だ。

 響子はマジックバックから杖を取り出すとベッドに寝ている2人に杖の先を向けた。


「エクストラハイヒール」


 杖から響子から白い光があふれ出しベッドの2人を包み込んだ。その光は眩しいことには眩しいが優しい感じで安心してみていられた。さっきまで信じていなかったシズクも驚きその光景を眺めている。


「すげぇ…」

「どんなもんよっ」


 光が収まるとさっきまで苦しそうに寝ていた2人の寝息が穏やかになり、表面上の怪我は跡形もなくなっていた。


「さっきは悪かったな疑って」

「そんなことはどうでもいいよ? それよりあなたは誰? りょーちゃんの何?」

「ん? 俺か?? なあリョータこいつにはどこまで話したらいいんだ?」

「…呼び捨て」

「あー…響子、俺が詳しいこと話すから落ち着いてくれっ えーと彼女はシズク。エルフの里へ行くことになってその途中知り合った」

「エルフ…」


 時々響子がシズクを睨んだりしていたがおおむね大人しく最後まで話を聞いてくれた。俺たちがこの世界に召喚された原因、勇者のこと、御神木様こと…それと何度となくかかわり襲われた俺とネコルー。


「ふぅん…たけちゃんがね~…」

「本人は覚えていないから許してやってくれ」

「りょーちゃんはその話全部信じたの?」

「一応神様がかかわっているみたいだからな」

「神様…かぁ。りょーちゃん私もあってみたいんだけど」

「神様にか…? 会えるのかな?? ちょっと聞いてみるよ」


 俺は耳に手を当てルーに会話を投げかけた。


『ルー今話できるか?』

『あ、はい。なんですか?』

『御神木様とは誰でも会えたりする?』

『どなたか会いたいとおっしゃる方がいるのですか?』

『ああ、ほらルーも一度会ったことがある聖女の響子だ』

『…ジエルに確認してもらいます。お待ちください』


 なるほど。ジエルからなら御神木様にたずねることが出来るのか。


『…お待たせしました。御神木様がお会いになるそうです。ぜひこちらまでいらしてください』

『ありがとう』

『ふふっ 短いお別れでしたね?』

『そうだな、なんかバタバタだったな。じゃあ響子連れて数日中にはそっちにいくよ』

『はい、お待ちしています』


 ルーとの会話を終わらせると、その結果を響子に伝えた。

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