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212. エスコート

 ある意味生まれ変わったといってもいいくらい俺は綺麗に磨かれた。普段自分では適当に済ます場所ですらしっかりと、だ…しかも何なのあの薬剤? 石鹸だと思ってたら違うみたいで、それで磨かれた俺には産毛すら生えていない。あれだ…まだ自分が若かったことだけを喜ぼう。時間が経てば元に戻るさ…と。


 御神木様に会うために俺が選んだ服装は学生服だ。神? というか幼女? と最初にあった時と同じ服装であり、今俺が持っている服の中で一番ましだからね。ないようなら服も用意してくれると言われたが、不安しかないので流石に断った。


 身支度を整えメイドに案内されながら後をついていくと庭に案内された。ここから御神木様の元へまで歩いて向かうのだそうだ。少しすると数人のメイドとルリアーナさんとルーとシズクあと御神木様に会うための準備を整えたジエルがやってきた。


「お待たせしました」

「その服装は…」

「はい、里の発展とともに勇者様が神に会うのならこういった服装がいいと用意してくださった物です」


 ジエルが着ている服装はどう見ても巫女装束だった。若干特殊なデザインも盛り込まれている気もするけどな。思ったより最初にこの世界にやってきたたけは楽しんでた見たいだ。ちょっと助ける必要があるのか疑問がわいてきたのは内緒だ。


「では向かいましょうか」


 ぞろぞろと歩く集団と一緒に御神木様の元へと向かう。町の中で会う人々は俺たちの姿を見て膝をついた。そして通過した後その列についてくる。おいおい…後ろを見るとすごいことになっているぞっ


「気にしないでください。彼らも御神木様との対話を近くで体験したいだけですので。今回のように御神木様が呼ばない限り一般人は近づくことも許されないのですからね」


 えー…そんな重要な御神木様なのに人族の地にあった御神木はどうしてなくなてしまったんだよ…


「止まってください」


 目の前に御神木様が見えるところまでやってきた。もうね人が多すぎて何が何だかわからない状態になっている。一種のお祭りなんじゃないかってくらいの人混みだよ。


「ここから先は巫女であるジエルとリョータさんだけで進んでください」

「わかりました」

「ん…」


 ジエルが手をさしだしてきた。えーと…?


「巫女にエスコートされたものしか御神木様に会えないと言われておりますので」

「エスコート…」


 つまり俺がジエルの手の上に手を重ねた状態で歩けと。この大勢の人に見られる中を! そんな話は聞いていないんですけどっ これって一種の拷問だよね??


「まだ?」


 コテリと可愛らしくジエルは首を傾げた。くそう…エルフにとってはこれが普通だから恥ずかしいとかないのかよ! ちらりと裏を見ると両手で口を押えてフルフルしているシズクと目があった。うん、獣人にとっては普通じゃないとわかったよ。嬉しくないけどね!!


 俺はあきらめてジエルの手に自分の手を重ね前だけを見て歩くことにした。周りを見てしまうから気になってしまうんだ。恥ずかしとか今はどうでもいだろう。これはとても大切な儀式であり、今後この世界がどうなるか…そして勇者であるたけを助けることが出来るのかがかかっている。でも俺はふと思ってしまったことがあるんだ。御神木の復活によりこの世界にいきなりよその世界の人間がやってこれなくなる。つまり復活すると確実に帰ることすらできなくなるってことなんじゃないだろうか? 長年の研究の末出来上がった召喚術。再び研究すれば返還術も作れる気もするんだ。だけど、御神木が復活してしまったらその手段も閉じられてしまうかもしれない。だけど幼女は言っていた帰れない、と。つまり俺が復活に手を貸すことを最初からわかっていたということなんだろう。いいことかどうかわからない俺にはこの世界で知り合いもぼちぼち出来たし、仲の良かったたけ達もいる。完全に独りぼっちってわけじゃないから世界が違ったって生きていくことは出来る。ただ二度と元の世界の人たちにもう会えなくなるってだけだ。いつか両親にだけは元気だとだけでも伝えたいものだね。


 そんなことを考えていると御神木様の目の前までやって来ていた。俺とジエルが目の前に立つとぼんやりと大樹は光り出す。その光の粒が辺りに広がり周りに集まったエルフたちは嬉しそうにその光を浴びていた。

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