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211. 身を清める

 休憩からルリアーナさんが戻って来て会話が再開された。


「本題に入らせていただきます」


 うん…そう、多分これから話を聞かされるのが俺がここに連れてこられた理由なんだろう。ただルリアーナさんの目が若干赤いのが気になってちらりと見てしまった。悲しくもあるのだろうね…たけというか勇者というか旦那にはもう自分と過ごした時間という記憶がないのに存在している状態だ。しかも人間族の所に召喚される形として。


「リョータさんにはやっていただきたいことがあるのです」

「えーとガチャで、ですよね?」

「はいそうです。正確には少し違うのですが…」


 あれ? ガチャが重要じゃなかったのか??


「御神木様の復活です」

「御神木様ですか? この里にある大木のことですよね…」

「はい、すでにこの話は娘から聞いていると思いますが、御神木様はこの世界に2体いました。そしてリョータさんにやっていただきたいのは人族の地にあったと言われている御神木様の捜索と復活です」

「あれ…勇者を助けるとかじゃないんですか?」


 だってさっきジエルが…ちらりとジエルを見てみると私は何も知りませんというかのようにお絵描きをしている。


「御神木様の復活こそ勇者様を救うことになるのです。勇者様がこの地に招かれた原因は御神木様が半分なくなったためだと神託を受けております。人族はもしかしたら召喚魔法を複製して数を持っているかもしれないのです。育つ環境により勇者様の能力も変化しましょう。それが人族の気に入るものとならなかった時には…再召喚もあり得るのです。私達も獣人族もすでに召喚魔法の情報の大半は持っていません。勇者様の記憶が失われたときにもう入手できなくなったのです。あとは人族の所にあるかもしれない召喚魔法の用紙だけ。これ以上勇者様を苦しめないためにもどうか…お願いいたします」


 立ち上がったルリアーナさんが頭を下げた。それに続くようにルーとジエルも頭を下げる。さらに横に座っていたシズクに至ってわソファーからおり床で土下座をした。


「俺からも頼む…っ すごく自分勝手すぎたときっと母も反省している」


 自分勝手…確かにそうなのかも。偶然とはいえこの世界に呼び出され勇者召喚として利用されたたけ。だけど本人は記憶がなくそんなことは自覚していない。そこに付け込まれ人族にいいように使われている。人族がどんだけくそなんだかと思わなくもないが、すべての人族がそうなのかはわからない。多分知らない人の方が多いだろう。


「急いだほうがいいのです。すでにリョータさんも巻き込まれた身、再召喚にあえば同じようにまたここに呼ばれるかもしれないのです。しかも今までの記憶をすべてなくして…」


 冗談じゃない…今までこの地で知り合った人たちのことを忘れ、何も知らないままどうにもならないからと異世界を楽しむ自分が見える。話を聞いてしまった後ではそんな自分がとてもじゃないが許せない。


「わかりました。どうやれば御神木様が復活できるのかまだわかりませんけど、俺のスキルで出来る手段があるんですよね?」

「まずは受けてくださりありがとうございます。詳しくはこのあと御神木様からお話を伺ってください」


 そういえば御神木様にジエルが話を聞きに行くって言っていたっけ。立ち上がったジエルが部屋から出ていった。


「あの…ジエルはどこに?」

「御神木様に会うために身を清めに向かったのです。リョータ様も服装は何でもよいですが身は清めてくださいね」


 ルリアーナさんが合図をするとメイドがやって来て俺は両脇を固められた。清めるってお風呂に入るってことだよね? 風呂ぐらい自分で入れるんですが??

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