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響子視点①

 …うーん? なにここ…なんで私こんな硬いところに横になってるのかな~? 手は…動くみたい。目は…

うんちゃんと見えてる。えーとここは…?


 視線を動かし周りを見てみるけどどう見ても私が横になっているのはどこかの床みたいなところだった。はっきり言って私は床で寝る趣味はない。寝相が悪くてベッドから落ちたとかならありえるかもだけど、その場合ここは私の部屋じゃないってことだ。だって部屋には絨毯が敷いてある。こんな硬くて冷たい場所じゃない。


「いたた…」


 あ、聞き覚えのある声。友達の雪ちゃんの声だ。


「雪ちゃん?」

「あ、響子」


 私はゆっくりと体を起こし声が聞こえたほうを見た。やっぱり雪ちゃんがいた。そしてそのすぐ近くに武ちゃんが横になっている。


「武ちゃん…」


 えーと…? 私と雪ちゃんと武ちゃんがいて、他には…いない? ぐるりと周りを見回すと薄暗くて壁側だと思うけどはっきりとは見えない。


「なんだここは?」


 私がよそ見をしていたら武ちゃんが起きた。3人で顔を見合わすけど、ここがどこなのかはわからない。


「お目覚めのようですな」


 急に背後から声がした。知らない人の声だ。私も雪ちゃんも武ちゃんもその声が聞こえてきたほうを見る。ゆっくりとフードを目深く被った人が近づいてきた。よく見ると周りにはたくさんの人がいた。暗いところだったからよく見えていなかっただけみたい。


「お前は誰だ?」


 武ちゃんが私と雪ちゃんをかばうように前にでる。本当ならかっこいいーとか思う場面なのかもしれない。だけど武ちゃん…目を覚ましたのが一番最後だった時点で全くかっこよくもないよ。


「お待ちしておりました勇者様、大賢者様、そして聖女様…」


 フードの人は軽く頭を下げると姿勢を正しこういうのだった。


「魔王の脅威からこの世界をお救いいただきたく召喚いたしました」

「召喚…まさか」

「流石勇者様は博識ですな」


 …武ちゃんの言葉にフードの男が返したことから武ちゃんが勇者と呼ばれていることがわかる。


「まずは詳しいお話をするためにも部屋を変えましょうか」


 フードの男が手をあげると周りにいた人たちが慌ただしく動き始めた。たくさんの人に囲まれ私達は場所を変えるために歩かされることに。半分無理やりだと思う。鎧を来た人とかが後ろから横からせまってくるんだもん。動かざるを得ない。


 薄暗かった場所を出て階段を上ると絨毯の敷かれた廊下に出た。私達がいた場所とはかなり違う雰囲気。私の家とも通っていた学校とも全く違う…あ、学校! そうだよ学校にいたはずなのにいきなり私達はここにいた。あの時一緒にいたメンバーだから間違いない。あれ…だとするとちょっとおかしいな。あの時はもう一人…そうりょーちゃんも一緒だった! それなのになぜかりょーちゃんはいない。りょーちゃんはその召喚対象ではなかった? それともその召喚って言うのには何か条件があった? 例えば勇者と呼ばれた武ちゃんの近くにいた人だけ、とか。だとするとりょーちゃんは巻き込まれなかったってことだよね。顔が見れないのはさみしいけどちょっとホッともしている。


 そうだ、りょーちゃんに連絡を入れておこう。ポケットからスマホを取り出し画面を見て手が止まった。電源が落ちている。つけてみようとしても全く反応がない。充電切れ? 後で充電させてもらえるといいんだけど…


「ではこちらの部屋へお入りください」


 どうやらこの部屋の中で話をするらしい。それにしても…こんなにぞろぞろと歩いてきたけど、まさかこの部屋の中にこの人数が入るのかな? 流石に無理があると思うんだよね~

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