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176. 妖精への質問

 朝になった。結局シズクは戻ってこなかったな…というかこの家に戻るように言ってなかった気もする。地図を取り出しみんながどこにいるかを見てみた。ネコルーは相変わらず湖の所だな。ルー、ジエル、アスはこの建物の中…同じ場所にいるみたいだからきっと一緒に寝たんだろうね。そして問題のシズクはというと、


「ん?」


 北西の森の中に反応がある。もしかするとそこで木の上にでも登って寝たのかもしれない。知らない人からすれば危険がないなんてわからないから一人で行動して眠るなら木の上しかないし。


 じゃあまずはこっちでみんなの朝食を済ませておいてから合流かな。コンソメスープとロールパンを取り出し簡単に朝食を済ませる。最近朝は同じものばかり食べている気がするが、他にスープとパンを用意していないので仕方がない。時間があるときにでも作っておくかね。


 相変わらずジエルはこの中に放置の予定なので今日は一つ余っているマジックバッグに色々詰め渡しておくことにした。


「登録した」


 ひとつずつ手渡しし、使い方を教えてから鞄に詰めてもらう。まずは水筒。ふたの開け方を教えてしまってもらった。中身は麦茶。流石にジュースはだめだろう? 汗拭き用のタオル1枚。ノート1冊。色鉛筆12色。これは出し入れのしかたと使い道を、ノートの共に教える。暇つぶしに山に生えている植物や動物の絵を描くように言った。絵は描いたことがなかったみたいでちょっと不思議そうな顔をしている。非常食としてすぐに食べられるものを数点。クッキー10枚、リンゴ、唐揚げ、フライドポテト、ハムサンド、、ビスケット300g…どれも手づかみで食べられるものばかりだ。昼食に呼びに来れないときもあるかもしれないから、その時は食べる用にと渡す。アスには小さくちぎって食べさせるように教えた。


「あくまでも非常食だぞ?」

「…わかった」


 ちょっと不安になった。

 とりあえずジエルはこれでいいとして後はルーと一緒にシズクを連れに行こう。ネコルーは合流後呼び出せばいいよね。家の外に出て荷馬車をインベントリに。


 ルーと2人でそれぞれ自転車にまたがり北西を目指して走る。ちょっとしたサイクリングだね。箱庭を作って森を設置したとき南東の森を目指して走ったのと大体同じ距離だ。地図によると…と頭につくが。こっち側に足を運んだことがなかったから現状どうなっているかはよくわからない。まあどっちの森も中を歩いたことがないから今回森の中を移動するのは初めてになるな。


 予想通り40分ほど進むと森が見えてきた。地図を取り出し現在のシズクの位置を確認する。あれ…ちょっと奥の方へ向かっているな。変だな…一晩たったら出発するって言っておいたのになんで奥へ? 普通だったら森の外へ向かうだろうに。


「ルー、シズクは奥に向かっているみたいだ」

「あら…」


 俺たちは自転車をしまい走ることにした。


 思ったよりも木が多いな…今のところ道みたいなものもない。まあ俺が作ってないからないんだろうが。


「ルーこっちの森にも妖精はいるのか?」

「普通にいるみたいですね」

「じゃあさ地図のこっちの方に何かあるか聞いてもらえるかな?」

「質問を投げるんですか…多分何か要求されますよ?」


 へえ…妖精って質問すると何か報酬を求めるのか。


「まあ命を取られることはありませんけど、大体食べ物が多いですし」

「ふぅーん…答えを聞く前までなら無報酬で大丈夫?」

「そうですね。報酬しだいで聞くのをやめてもいいです」

「だったらとりあえず聞いてみてくれ」

「わかりました…教えてください、この奥に何があるのか」


 ルーが森の奥、シズクが向かった方を指さして妖精にたずねた。


「リョータさん、甘いお菓子を要求されました」


 ふむ、それなら持っているもので大丈夫だろう。あまり大きいものだと持てないかもだしクッキーでいいだろうか?


「ルーこれでいいかな?」

「はい大丈夫かと。ではこちらでお願いします」


 を…見えないが手の上に乗せてあるクッキーの袋の口が開き、不自然にぼこぼこと動いている。この光景だけを見ると不気味だな。ふと、この袋の口を閉めたらどうなるだろうかといういたずら心が芽生えたが…怒らせるとめんどくさそうなので自重する。


 しばらく待つと袋の中身が空になった。


「え…? …ああそれで」


 こうやって見ているとルーが独り言を言っているだけに見えてちょっと面白い。

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