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172. アスとご飯

 昼を過ぎたあたりに広々とした水場が近くにある休憩所に到着した。ここで昼を食べてから進むことになりそうだ。俺たちの他にも何台か馬車が止まっているのが見える。多分みんな昼の休憩なんだろう。


「リョータさん、次の休憩所まで馬車を止められる箇所が少ないので、一気に進むことになりますが大丈夫ですか?」

「休む場所が確保できないってことだよな? だったら仕方ないだろう」


 ルーとこの先のことを少し話した後、馬車の中で箱庭へ移動しジエルを連れてきた。大人しく家の中にいてくれたが、若干機嫌が悪い。まあ…理由はわからんでもないが。


「なあなあ。そーいえば食いもんを用意してるの見てないんだがあんた達持ってるのか? まあ俺も大したものはもってないんだけどな」


 そういってシズクは大きな燻製肉を取り出してかぶりついた。やっぱりこっちの大陸でも保存食は似たようなものらしい。


 俺はインベントリからテーブルとイスと出して並べ、何を食べようかなーと考える。視界のはしではジエルがネコルーに張り付いているのが見える。アスと遊べなかった残念さをネコルーで解消しようとしているのかもな。ん-…カードはあまり実物にしない方がいいよな~ インベントリの枠を埋めちゃうし。となればすでにあるものの中からローテ―ションして食べるしかない。インベントリのレベルがもう一つ上がったら食品関係は全部実物にしてしまってもいいかもだけど…最近ポイント稼ぎがやれてないのでレベルが上がる様子もない。


「まだ?」

「ん、ちょっとまって」


 ネコルーと遊ぶよりお腹のすきのほうがまずくなったのかジエルが椅子に座って待ている。


「肉と魚どっち?」

「肉」

「じゃあこれでいいか」


 コンビニ弁当のかつ丼を複製して取り出して並べた。ネコルーも同じものでいいか。で、アスは…


「なあルー、アスは何食べるかわかるか?」

「基本雑食だと思いますけど…まだ小さい子なのでどうなんだろう」

「生肉と生野菜は食べなかったんだよね」

「大きくて食べられなかったということはないです?」


 あーなるほど。だったらこのかつ丼のかつ以外のとこなら食べれるんじゃないか? 別皿を出してご飯とたまごの部分を少しよけて…スプーンに乗せてあげてみるか。なんか肩から降りないし。


「食べるかー?」

「キュッ」


 お、食べたな。少量ずつじゃないとまだ食べられないのか…


「はわー……」

「ジエル行儀が悪い…」


 アスの食事風景を見てジエルがご飯をぽろぽろとこぼしながら身を乗り出している。ほんと行儀が悪いな…ルーじゃなくたって注意したくなるぞ。


「ジエルそのこぼしたご飯拾ってアスにあげるか?」

「!!」


 落としたご飯を慌てて拾い集め手のひらに乗せて恐る恐るジエルはアスの口元へと手を伸ばした。


「ど、どーぞ?」

「…キュ」


 少しだけ警戒をみせ、アスはゆっくりとジエルの手のひらに口を付けた。


「ふわぁ~…食べた!」


 同じものだからよほどじゃなければ食べるだろう。嫌われてなくてよかったな。


「なんだ?」


 そんな俺たちの様子をシズクがじっと見ていた。


「普通の食料みたいだけどそんなんで腹壊さないのか?」

「別に大丈夫だが…シズクこそ肉ばかり食べるつもりなのか?」

「ああ、保存食だしな。だいたい肉かかったいパンだ。食べられりゃーいいだろう」


 まあそうなんだろうがな。俺はどうせならおいしい物のほうがいい。


「ルー、今向かってる町まではどのくらい日数かかるんだ?」

「…3日半ってところですかね」


 ふーん…3日も干し肉か硬いパンね…俺だったら我慢できないわ。

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