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139. スープ

 ぐうううっとそんなルーの傍からお腹のなる音が聞こえてきた。


「お腹空いた…」

「ジエル! 大丈夫? 怪我とかは?」

「ない。それより何か食べたい…」


 そういえばルーがっ背負っていたのはジエルだったのか。顔が見えなかったからわからなかったけど確かにこの髪の色はジエルだ。今までこの髪色の人は見たことがなかった。


「よかった…」

「よくない、お腹…」

「ああそうだった…保存食しかないけど食べれる?」

「スープとかがいい」

「ジエル…ここ家じゃないんだよ?」


 言われて気がついたのか視線を動かし周りを見始めるジエル。


「どこ、ここ?」

「私も知らないの」


 ちらりとルーが俺の方を見た。まあそりゃそうか…


「ジエル、俺のこと覚えてるか?」

「…薬草くれた人」


 覚え方はあれだがどうやら覚えていたらしい。


「ここは俺のスキルの中だよ」

「スキルの中…そう」

「スキルって…リョータさん私こんなスキル知りませんよ?」

「このスキルのこと教えるからルーとジエルも何があったのかちゃんと教えてくれる?」

「はい…」

「ご飯食べたら」

「ご飯か…スープがいいんだっけ?」

「スープがいい」


 家の壁に調理場を設置した後バナナジュースを現物化し、複製してジエルとルーに渡した。作っている間の繋ぎぐらいにはなるだろうからね。ジエルは何の疑問も思うことはなくそれを受け取り口にした。


「甘いくておいしい」

「ジエル…リョータさんってやっぱり」

「多分そうだと思う」

「えーと? スープ作るからそれまでそれで我慢してくれよ」

「うん、待ってる」


 ちょっと2人の間でしかわからないような会話があったがまずはスープを作ろう。お腹がよくなればきっと状況も教えてくれるだろう。ということで野菜をいくつか入れてコンソメキューブと塩胡椒で味付けするという簡単なスープを作ることにした。手軽に作れるところがいいよね。野菜は玉ねぎ、にんじん、男爵っぽい芋、エリンギ、ブロッコリー…野菜だけでもいいけど少し肉を入れたいな。鳥っぽいやつを少し入れておくか。


 全部突っ込んで火が通るまで待つだけ。ちょっと芋が煮崩れたがまあそれはそれでご愛敬って言ったところだ。


「…これも鍋ごと複製してしまっておけば何度も食べれるよな」


 いいと思ったので速実行。ちょっと消費が多く500も魔力が減った。まあ今日はこの後そう使うこともない魔力だろうから問題ない。一つはインベントリにしまいもう一方の鍋を持って調理場の外へ。


「これもっと欲しい」


 どうやらジエルはバナナジュースが気に入ったらしい。


「いいけどスープ出来たから食べてからのほうがいいんじゃないか?」

「…そうする」


 鍋と空になったコップを交互に眺めながらスープを選んだジエル。ルーがちょっと困った顔をしていた。こう見るとどっちが姉なんだかわからないな。ジエルが姉らしいけども。


 テーブルが置いてある部屋に移動し、椅子を取り出し座ってもらう。鍋を机に置きマジックバックから取り出した器によそう。


「野菜がたくさん…」

「あれ、スープって言うから野菜で作ったんだけどだめだった?」

「違う。豪華…普段はこんなに野菜たくさんなんてない」


 驚いてたのか…いまいち感情が読めない子だ。


「おいしい…芋がボロボロだ。ルーと一緒ね」

「う…っ しっかり火が通ってるからだよ~」


 楽しそうに食事をする姉妹を眺めながら俺もスープに口を付けた。うん、味はいいよね。芋は…許せ。そしてジエルは忘れずにバナナジュースをおかわりした。

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