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135. 焼きたてパンの誘惑

 開けた野営所を出発しそのまま東へと進んでいく。結局離れたところにいた生き物らしきやつはそこから動くことはなかった。出発前に一応今朝のことをダルシアさんに話しておくと、とりあえず他の人には言わず、ダルシアさんのパーティメンバーだけそのことを伝え警戒することになった。内側に敵がいる可能性を考えて少人数だけで動こうということらしい。


 ん-…よし、まずは朝食を食べよう。移動してる馬車の中で食べるのは初めてだけど、お腹が空いてたら動きたいときに動けないからね。まあ簡単に焼きたてのロールパンを食べるだけなんだけど。飲み物は大人しく水にしておこう。


「…?」


 俺がパンを食べていると離れて座っていた子が近づき話しかけてきた。


「ねえねえすごいいい匂いがするんだけど?」

「ちょっ やめなさいよみっともない!」

「えーだって絶対おいしいものだって匂いがいってるんだものっ」


 あーうん。そうだよね焼きたてパンの匂いは凶悪だよね~ ちょっと失敗したかな。でもどんぶりもの出すより目立たないと思ったんだけどな~


「朝食食べてないの?」

「食べたわよ? だけどこんだけいい匂いがしたら気になっちゃうじゃない」

「……」


 つまり何か? 欲しいって言ってるのか?? パンを持つ手を上へ下へ…視線がついて来てる。まあ複製すればいいからいいけど…毎回欲しがられると困るな~


「…1個だけだよ?」

「やったーーーありがとう!」


 インベントリから取り出し手渡す。あ…しまった温かいままだ。


「ふをおおおおおおおっ すごっ まだ温かいし、それにやわらかっ うまっ やば~~い」

「いや…やばいのはあんたの騒ぎっぷりなんじゃ…」

「食べてみればわかるってこのやばさは! ねえなんでこんなに温かいのっ? ここまで柔らかいのはもしかして貴族様の食べ物か何かなのっ? ということはあなたは貴族様なんですかっ!!」

「いや違うけど…」


 なんなんだこの子は…一緒にいるぷりぷりしてる子もひいてるよ。


ビシッ ビシッ ビシッ


「あたっ」

「きゃっ」

「いてっ …石?」


 飛んできたほうを見ると馭者台のとこと連絡を取るための窓からフードを被った人がこちらを見ていた。


「…騒がしい」


 一言ぼそりと言うと窓をぱたりと閉め姿が見えなくなる。


「怒られた」

「あんたが騒ぐからでしょうが」

「ぬう…」


 ちょっと静かになった。それにしても今の人の声どこかで聞いたことがあるんだけど…どこだっけ? うーん…思い出せない。なんというか聞いたことはあるんだけどどことなく違うような?? うまく説明できない。せめて顔が見えればな~


 昼が近づき次の休憩所となる村に到着。どうやらここでいったん各自自由になるようだ。時刻みで確認すると現在は2の時よりも前の時間。馬車の出発は2の時を過ぎたころ。それまでに戻ってくればいいようだ。だけど…


「町じゃなくて村だから店とかないんだよね…」


 まああれだ見張りとかしなくていいのが楽でいいってところか。


「ガルシアさん俺馬車の中でテント出してますんで、集合の時いなかったら声かけてください」

「ん? ああわかった。まあなんもないし、ゆっくりしとけ」


 念のためにテントの中にいることを言っておいて中へと入る。朝ネコルーに会わなかったから顔を見せておきたい。というか一緒にご飯を食べれるときは食べるようにしておきたい。


「契約召喚」


 ネコルーを呼び出すと目の前に魔方陣が現れ中からネコルーの姿が…ネコルーは魚をくわえて現れた! 何? とかわいく首を傾げられても事実は変らないよっ 魚好きすぎだろう…一緒にご飯食べようと思ったのにすでに食べているとか…いいんだけどさ!


「ルッ」

「いやネコルーが食べなよ」


 魚食べるか? と差し出してきたので断った。まあいいか…

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