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125. 海に沈めました

 目を開けていると視界が歪んで気分が悪くなる。初めてこの世界に来た時と同じ感覚がして閉じていた目をそっと開く。ここは…森の中か? ところどころえぐれた地面や倒れている木々が目立つ。


「リョ…リョータ何しやがった!!」

「へ?」


 後ろから思いっきり肩を掴まれ驚いた。ガルシアさんだ。傷だらけのボロボロでよく生きていたなという惨状だ。


「えーと…とりあえずヒール!」

「…回復魔法? いや、今はそれはいい地竜はどうなったんだ!!」


 …えーと? ちらりと空を見上げる。時刻みも見てみる。正確な時間まではわからないがもしかしてそんなに時間はたっていないのか? すでに日は落ちているが時間は3の時と4の時の丁度真ん中くらいだ。幼女パワーか何かだろうか? 考えてもわからないが。


「リョータ!! 地竜は!?」

「あ、えーと…海に沈めた? だから多分死んでる??」


 この場から消えた地竜はすでに取り消せない出来事だ。そのうえで誰もが安心できるかもしれないこと、そして直接倒す以外で地竜を仕留めたことを伝えるのにこれがいいと思った。だって実際は倒していないんだから、地竜の素材が一つも渡せない。そのせいで独り占めしたと思われるのを避ける方法はこれが一番だと思ったからね。


「どんな魔法だよ…まあいいか。討伐終了だーーーー!!」


 わーーーっと周りから声が上がった。喜んで拳を打ち付けあうもの、疲れ果てて座り込むもの、すぐに倒れているケガ人の様子を見て周るもの様々だった。


「みんな撤収作業をはじめろー! そこの2人は回復済みだろうから報告に戻ってくれ」

「わかった。ほらいくぞリョータ」

「ん? 俺もいくの??」

「とどめを刺した本人だろうが…逃げられると思ってんのか?」


 まじか…なんて面倒な。


 半ばガルシアさんに引きずられるようにしてまずは防衛部隊の所へ。ここにはすでに誰も残っていなかった。後衛部隊の場所には取り残されたケガ人のみ。討伐が完了したことを告げるとみんな涙を流して喜びあっていた。ギルドに報告をしたらすぐに回収を頼んでくるとガルシアさんが言うとみんな安心したようだ。


 それからガルシアさんと走って町へと戻る。ガルシアさんも結構足が速くて30分もかからず町へと到着。そのまますぐにギルドへ飛び込む。


「討伐完了だーーー!!」


 ここでもまたガルシアさんの大きな声が。さらにそれ以上に残っていた人たちの声も上がる。教えなければと次々と外へと飛び出してく人々。町の人に安全を伝えに行ったのだろう。


「詳しいことを報告してくれ」

「ああ、ほらいくぞリョータ」

「……」


 再びガルシアさんに引きずられる俺。どうやらカウンターの奥の部屋にいくらしい。


 部屋に通されソファーに座るように言われる。若干硬めだがやっぱりソファーはいいもんだね。そんなことを考えている俺の横ではガルシアさんが目の前の人に今日の流れを説明しているが…常に後ろにいた俺には初めて聞く話ばかりだった。どんな魔物が出てどのように討伐が進み、地竜が出たのか…


「で、次々と周りが倒れていく中こいつがやって来てあたりが眩しくなってさ、そしたら地竜がいなくなってたんだわ」

「いなくなってた?」

「ああ。それで聞いてみると…ほら自分の口から言えよ」

「ん? あ、えーと海に沈めました」

「………」

「な? 俺の気持ちわかるか??」


 目の前に座っている女性が頭を抱えている。髪の毛で顔が隠れてしまいその表情は見えないが、多分頭が痛いんだろう。だよね…俺もわかるよその気持ち。もっといい嘘があればよかったんだけどそれしかすぐに思いつかなかったんだ。


「どうやって海に?」

「やっぱりそれ聞きますか?」

「地竜のような空を飛べない重たい竜を運んだんだぞ? 私じゃなくとも聞くに決まっている」

「だよなマスター」


 …マスターってことはこの人もしかしてギルドマスターなのか。


「ことの顛末を領主様に伝えねばならないというのにそれがこれとは…」

「領主ってムコン伯爵ですか?」

「当り前だろう?」

「なんだ・・それなら直接俺が説明しましょうか」

「はあ??」

「これ見てくださいよ」


 そういって俺はインベントリからジルベスターさんとの契約書を取り出した。


「確かにこれはムコン伯爵との契約書だね…」

「お前領主様と契約してやがったのかっ」

「では説明について来てもらおう。ところで…今これはどこから出したんだ?」

「それも込みで領主様の前でいいですかね?」

「む…まあいいだろう」

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