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117. 目的が欲しい

 フィレーネに戻って来てネコルーを回収し、冒険者ギルドへと足を運ぶ。今日も草取りをするつもりだったが、ぼんやりと依頼用紙の並んでいる壁を眺めていた。


「おっ リョータじゃねぇか。仕事か?」

「ガ、ガルシアさんもですか?」


 俺の背中をバンバンと叩きながらガルシアさんが話しかけてきた。ちょっと痛い。


「そのつもりなんだけど、ちょっと朝から魔力をたくさん使ってだるいんですよね~」

「ならポーションでも飲んどけっ」

「もう沢山飲んだから無理…」

「んじゃ今日はやめとくんだな。魔力を使わない仕事だろうがそんなんじゃ危ないだろう? 俺に言わせれば朝から何バカやってんだって思うが」


 激しく同意。だるいなら仕事はやめた方がいいか…


「ならそうするかな」

「そうしとけっ まあ俺は仕事するがな」

「そういえばガルシアさんは主にどんな仕事してるんです?」

「俺か? 今定期的にやってるのはこれだな。西の森の魔獣の間引きってやつ」


 西の森か…歩いていくと1時間くらいかかるからちょっと不便だよね。


「まあそこで数匹仕留めて帰ってくるだけだ。その日の宿代と酒代があれば十分だろう?」


 はー…なるほど。これがその日暮らしの冒険者なのか。


「じゃあ途中まで一緒にいこうか」

「ん? 仕事やらねーんじゃないのか??」

「あーそうだけどネコルー…獣魔だけでも運動させておこうかと」

「そりゃそうか。こいつじっとしてるのは苦手だろうしな。んじゃ早速向かおうぜ」


 ガルシアさんと西の門をくぐった。そこですぐわかれガルシアさんは街道を進み森の方へと進む。俺はそれをぼんやりと眺める。おっと、


「ネコルー 遊んできていいよ~」

「ル~」


 元気よくネコルがーが飛び出していった。まだ草の丈が長い場所ばかりだから、草むらに突撃したネコルーは見え隠れを繰り返しながらどこかへと走っていく。


「ふぅ…」


 外壁を背にして座り込んだ。なんか疲れた…朝のことを思い出すとちょっとイライラしてしまう。たけが悪いわけじゃない。お互いに都合というものはあるし、ちょうど会えただけでもこの世界ではきっとすごいことだ。いやちがうか。ちょっとだけうらやましかったのかもしれない。俺はこの世界に来たところでやることがないのに対して、たけたちはやるべきことがある。もちろん勇者をやりたいかって言われてもやりたいわけじゃないんだが…ガチャを引くだけの人生って元の世界と何も変わってないからな。


「しかたないよな~…」


 結局目標や目的がない人はただ生きていくしかないんだから。俺ももっとガチャ以外に興味が持てるものがほしいものだね。レベルを上げて強くなってみるか? 仕事をたくさんやってお金持ちにでもなってみる? 強くなる目的がない。お金は苦しくない程度に生活出来るだけあればいい。


「作ろうと思って作れるわけないわな」


 お? ぼんやりと門の方を眺めながら考え事をしていたら馬車が出ていった。山を越えて海がある町の方にでも行くのかも。海か~ この世界の海の先にはなにがあるんだろう。それを見に行くというのもいいかもしれないね。


 ネコルーを呼び戻し町の中へと戻る。途中数日ぶりのヨルさんに遭遇。ちょうどよかったのでこの世界の地図みたいなものはないかと聞いて見たが、領主など地位のあるものしか持っていないと言われた。残念。町などの場所だけを描いた手書きの略図でよければヨルさんが描いてくれると言うのでお願いした。まずはこれでこの世界の広さとかが多少はわかるだろう。

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