113. まったりだらだらしたい
宿に戻ってきた俺はベッドに腰を下ろしため息をついた。昨夜戻ってきたばかりで疲れているので、今日1日ゆっくりとしようと思う。そういえばまだ無料ガチャを引いていなかったな…バタバタしているとすぐ忘れてしまう。折角無料なんだからちゃんといただかないとね。
マジックバック小
ふむ…はっきり言ってマジックバックはもういらないんだが、ポケット? 魔道具店で見たときに興味を引かなかったデザインのものかな。ちらりと見たけど違うきがして。でもポケットか…どっかに張り付けて使うのかな。案外使い方によってはありなのかもしれない?? 巾着だと絞ってある口を開かないとだせないし、ウエストポーチも止めてあるボタンを外す必要がある。気軽に出し入れするのにはこれのほうがいいってことか。ほら…ポーションとかポーションとかね? ちなみに今日は土の日らしい。
さて、今日はだらだらするつもりなんだが何もせずにぼんやりとするのもこれはこれで中々退屈である。ガチャでも引くか? いやまてまて…今は特別何も困ってはいない。引けるからって全部ポイントを消費してはいかんよな。じゃあ読書にでもするか? あの日記みたいのは読むのが大変だから他のやつでも。あのまだ読んでいない難しそうなやつとか…あーこれも鑑定しないと読めないんだっけ。ベッドの上でごろごろしながら魔法の歴史と古代語のページをぱらぱらとめくってみるが、やっぱり読めないんだよね。鑑定しながら読むのは本当にめんどくさい。だったら早く文字を覚えればいいという話なんだが、勉強するのはそれはそれでめんど…げふんげふん。
「ん?」
ぱらぱらと流し見してた中に気のせいじゃなければ見知った文字が見えた気がする。ページを戻ってそれを探してみた。
「ぷりん アイス クレープ…」
なんじゃこりゃ。読めない文字の間にそんな見知った文字が混ざっているとすごい違和感があるな。ちょっとその少し前の文字を鑑定してみるか。
「なになに…その当時召喚された勇者が書かれた日記だと思われるものによく出てきた言葉があり、これだけ何度も書かれるほどの文字である。なにか重要な意味を持つものだったのだろうか…?」
…ちょっとよくわからんのだが、この本って昔の魔法のこととか古い言葉のことを書いたものなんだよな? ということは古い本なわけで、そんな時代から勇者が召喚されていたってことなのか?? 言われてみれば今回が初めての召喚って感じではなかった。勇者という言葉があまりにも当たり前のように使われているんだよな。ちょっと誰かに聞いてみたいところだが…誰に聞けばいいだろう。出来たら俺とたけたちの関係を知らない人がいい。となると初めて会う人とかがいいのか? だけどそれっていきなり話しかけそんな内容聞いたら不審者じゃん。まあ急ぐことじゃないし新しく知り合いとか出来たら聞いてみるか。
となると他の本を出して見るか…じゃあ一番無難そうな空中庭園写真集とかどうだ? カードをびりっとして取り出して見た。うん…表紙からしてそれっぽいね。でも雲がある程度隠していてまるで空中にあるかのように見えるだけのような写真だ。まあ中もそんな感じ。高いが下の所にあってまるで空中に浮かんでいるようだ、とか書いてあるし。なるほどね。空中庭園写真集ってところか。眺めてる分には楽しいかもしれない。こんなファンタジーなところがあったらいいなーってやつ? 魔法とか使える世界にきてしまったからちょっとファンタジー感が薄れた気がするが…絵面は綺麗だからいいんじゃないかな。でもそれだけだな。
で、編み物の本はみるまでもないよな。そもそも編めないし、毛糸もない。後は紋章リストってやつだけど…一応見てみるか。
「……騙された!」
いやだましているわけじゃないんだろうけど、なんていうかタイトルが悪い。あれだ、ゲームに出てくる紋章のリストだった。とあるロールプレイングゲームなんだが、紋章というものを使って魔法とかを使用するものらしい。現物の例えば今持っているこの本をパシャリと写真に撮ると紋章に変化する。リストによると青系の本なのでアクアスプラッシュとかいう魔法が発動するらしい…本もまともなのがあまりない気がしてきたわ。暇つぶしにはなるんだけどね。




