冬
少女は世界にたった一人になった。
ここは現実なのか夢なのか、
廃墟がそこにあるばかりである。
少女は夢であってほしいと願った。
この世界を嫌っていたから。
青黒い朝日が昇った。夢ではないようであった。
少女は何も食べなかった。必要なかったから。
鮮やかに彩られた食材、旧式のシェフ・ロボット。
少女はそれらに関心を示さなかった。
少女は何も身に着けなかった。必要なかったから。
まだ色褪せぬ服飾品、前時代のブランド・グッズ。
少女はそれらに関心を示さなかった。
少女は千年を過ごした。
青黒い太陽は二つに割れた。廃墟は無に帰った。
地球はもう終わるようであった。
少女は万年を過ごした。
太陽は再び元の世界の輝きを取り戻した。
少女はそれを思い出すことができなかった。
少女は夢を見た。
ここではない世界の夢。元の世界の夢。
少女はそれを思い出すことができなかった。
少女は冷たくなった。
地球とどちらが先であったか。
とにかく、少女は冷たくなった。
少女は世界から消え去った。
世界の観測者がいなくなった。
短い冬は、少女の死をもって終わった。
長い、長い冬が訪れた。
もう明けぬ、長い冬。




