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第一章 2.ブッダに感謝を!

 翌朝目が覚めると、熱で怠かった体は嘘のように軽くなっていた。


 快癒に伴って食欲も出て来たので、久しぶりにお肉が食べたいと主張したけど、まだしばらくはドロドロした大麦の粥しか食べさせてもらえそうにない。


「何日も食べずに寝込んでいたんだから、少しずつ柔らかい消化の良いもので、お腹を慣れさせないと駄目よ。お腹がびっくりして痛くなっちゃうわよ」と母さんが明るい茶色の目で微笑みながら粥の皿を並べた。

 オレンジ色の髪を結い上げて飾り紐でまとめている母のマーヤからは、いつもいい匂いがしている。お母さん大好きだ!


「お粥は美味しくないんだもの。せめて卵を入れてほしいなあ」


「ニワトリならお父さんが神殿の御供えに持っていってしまったから、残った若鳥が卵を産むようになるのは三ヶ月は先のことね」


「えぇーっ、どうしてニワトリを神殿に持っていっちゃったの? うちには卵を産む大人の雌は二羽しかいなかったのに、二羽とも?」

 あまり裕福でない我が家ではメンドリ二羽は一財産だ。


「もちろんブッダ様にお礼を申し上げるためよ。我が家の大事な一人息子を病魔から助けていただいたのだもの」


 あー、そうか。それなら仕方ないかぁ。

 別に我が家が変な宗教に嵌まってて貢ぎまくっているわけではない。この国では誰もが良いことがあればブッダにお礼を言い、悪いことがあればブッダに助けを乞い、願い事があればブッダに寄進をし、その願いが叶えばブッダを称えて歌い踊るのだ。


 ちなみにオンドリも二羽いたのだが、僕の薬代に当てるために二羽とも絞めて売ってしまったそうだ。しばらくはヒヨコも増えないな。

 それにしても母さんは僕の頭の上の金魚が見えてないみたいで、何も言わないし驚きもしない。なんなのかしらね、この金魚?



「目覚めたかダルタ、もう熱は大丈夫なのか、食欲はあるのか?」


 神殿から戻った父さんが大きな体で抱きついてきた。父さんの服や髪からは神殿のお香の匂いがするよ

 鍛冶場で働いている父のゴーハンは黄色い短髪に褐色の目をした大男だ。抱きつく力が強すぎてちょっと苦しい。


「だ、大丈夫だよ、父さん。すっかり元気になったから安心して!」


「良かったなあ、元気になって本当に良かった。すごい熱を出して三日も寝込んで魘されてたんだ。もう本当にどうなるかと心配したぞ!」


 そう言って僕の黒い髪をぐしゃぐしゃにかき回して、より一層きつく抱きしめてきた。

 

 やっぱり父さんも金魚は見えてないみたいだ。金魚は僕の髪をかき回す父さんの手から逃れるようにスルリと尾をくねらせながら、天井近くまで泳ぐように上っていった。


「おお、ブッダ! 息子を助けてくださって、心より感謝いたします!」

 と、父さん、ちょっとそんなにきつく抱き締められたら苦しいよー!


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