表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/69

第二章 5.棒術の修練

 次の日には神殿の自分の部屋に置いてあった父さんから貰った剣を持参した。ルマン様は、良い剣だなと誉めてくださったが、しばらく剣術は教えず棒術の修行をするとのことだった。ただし剣を左腰に下げた状態で棒術を習うことになった。

 左腰が重たいよ!


 昨日習った右上左下からの連撃のお浚いをしたあとに、今度は横打と突きも加わった。


 右手で握った側を上にした棒を体の前に斜めに保持したまま、左足を前に出した左半身に構える。これが基本の構えだ。右足を踏み出し腰を回しながら右上から棒を振り下ろし、次に左足を踏み込むと同時に、また腰を回転させながら左下から棒を突き上げ、また右足を進めながら右真横から棒を繰り出し、つぎに左足の踏み込みと同時に左真横からの打撃を加える。


 そのまま左橫打後の左半身の構えから棒は引かずに左手で保持したまま、右手を後方に送って棒の右端を握り直し、足を止めたまま左掌の中を棒を滑らすように腕だけで左突きを繰り出す。


「そうだ、打撃時は足の踏み込みと同じ側の手を前に出すように。そうすることで体重を乗せた重い打撃を出せるようになる。腕だけで打つのではなく、踏み込みと腰の回転を生かすんだ。それ、右上、左下、右横、左横、左突き!」


 ルマン様の掛け声に合わせて打撃を繰り返す。


「常に目の前に相手がいることを想定しながら棒を振るうんだ。今の突きは軽い牽制の突きにもなるが当てるつもりで撃て! 棒の端を握ることで離れた相手にも棒が届く。間合いの外から伸びてくる突きは恐ろしいぞ」


 うん、正面から棒が急に伸びてきたら避けにくいし怖いよね。


「次は前方に突き出した棒を素早く手元に引き、棒の握りを変えながら大きく右足を踏み込んでの右半身からの右突きだ。左半身の構えから右半身に素早く切り替えろ。体重の乗った踏み込みながらの突きは、相手が大人でも吹っ飛ぶぞ。ここまでが基本の表の行程だ。忘れないよう何度も繰り返せ!」


  右上・左下・右横・左横・左突き・右突き! と頭の中で唱えながら打撃を繰り返す。こんがらがりそうだよ!


 昼食の半刻前になるまでずっと、踏み込みながらの打撃を延々と繰り返して、汗だくになっちゃった。初めて棒術を習った昨日よりは体が慣れたみたいで、まだ幾らか元気が残ってるけどね。


 この後、お昼ご飯はダーバ様の房まで戻らずにラハン棟で戴くことになってる。もちろん僕は新入りなので料理や片付けなどを手伝わなきゃならないから、くたくただけど急いで水浴びして汗を流さなくっちゃ!


 修練場脇の井戸で水を汲み、運動着を脱いで頭から水をザブンと被る。運動着を桶の水に浸けて軽く濯いだあと固く絞り、井戸端に広げて干し、急いで神官服に着替えるとラハン棟の厨房に向かって駆け出した。


 この神殿のラハン職は全部で10人いて、門前に二名ずつが午前と午後の二交代で立つらしい。夜は門を閉めるので見張りは無しだ。でも御神体の丘に通じる道の警護には寝ずの番もあって、一日中三交代で一人ずつラハン様が警護に立つんだって。


 毎日七人のラハン様が神殿警護について、一人が食事当番、二人が休みだそうだ。結婚して所帯を持っていて町から通ってるラハン様もいるけど、休みの日でも通ってきて修練をしているラハン様がほとんどだから、昼の食事はほぼ全員が摂るので、毎食十人前は作らないと駄目らしい。一人で作るのも大変なので、見習いの僕が手伝いを申し出たらとても喜ばれた。


 今週の食事当番のラハン様は成人して五年目のジーク様で、ラハン職のなかでは僕を除くと一番若い。最近はなかなか新人が入ってこないので、僕がラハンになってくれると一番の下っ端でなくなるので嬉しいんだって!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ