三話
よし、今日も何とか投稿できた。
「おいお前ら。テストもうすぐだぞ。」
「やめろーやめてくれー。」
「せっかく忘れてたのにぃー。」
「この話やめない?」
「テスト?なんですかそれ?知らない子ですね?」
「皆さん前回赤点寸前だった事忘れてないですよね?」
おお、こわいこわい。澄玲の後ろに鬼神が見える。
「ちゃんと勉強しとけよ?」
「一人でやっても何やればいいのかわかんねーんだよぉ。」
「その点二人は一緒に遊んでるのに成績いいもんなぁ。」
「澄玲をお前らと一緒にしてんじゃねよ。澄玲は遊んだ後にもちゃんと勉強してんだよ。」
「いやお前勉強してねぇじゃん?」
「一樹君は勉強してませんよね?」
「あんたに言われてもねぇ?勉強してないのに。」
「お前がいちばん酷いわァ!勉強してないとか、嘘だろぉ、あっでも甲斐さんが言うってことはほんとになんも勉強してないんだなぁ。現実は残酷だなぁ。」
なんか言ってるが知らん。ちゃんと授業受けてるならともかく、こいつらたまに寝てるからな、慈悲はない。
「戸星君感情の波が大変なことになってるよ?」
「学園三大残念イケメンに選ばれるレベルのバカなのに顔がいいからタチ悪い。」
「おまっ、一樹それ今世紀最大級の特大ブーメランだろ。」
「俺はお前と違って馬鹿じゃねぇ。」
「そこじゃねえよォ。学園三大残念イケメンに選ばれるレベルの残念さで顔がいいってことだよぉ。」
「珍しく戸星君がまともな事言ってるぅー。」
「ほんとだ。明日は雨かな。」
「ねぇ?皆さん酷くないですかぁ?そんなに俺ヤバいやつに見えますぅ?」
「見える。」
「それにしか見えない。」
「逆にやばくないと思ってるの?」
「てかその話し方キモイ。」
「まぁ1ミリも擁護できませんね。」
「酷い言葉の雨あられ。俺泣いていい?」
「ダメ。」「ダメに決まってんでしょ?」「ダメですよぉ。そんな事したら同人誌で鳴いてもらいますよぉ。」「ダメだろ?」「逆になんでいいと思ってるんですか?」
「酷いよぉ。こいつら怖いよぉ。」
「あっいい事思い付いた。」
戸星が言葉の暴力(笑)を受けていると、城本が何かを思い付いたようだ。このタイミングで言うってことは、......勉強会か。俺はどうせほとんど勉強しないし、問題ないけど、澄玲は勉強時間削られんじゃないか?
「勉強会かしようよ?学園トップクラスの二人なら教師役に最適でしょ?」
予想通りだな。俺は別に構わんし、澄玲に判断してもらうか。
「一樹君、人に教えるのは案外勉強になるので、私は大丈夫ですよ。」
ナチュラルに心読まれたなぁ。
「澄玲がいいって言うなら俺も構わん。土日にやるんだろ?」
「俺も参加するぅ。部顧問にお前は皆より早くテスト期間に入って勉強しろって言われたから、土日は部活ないし。」
あの部活一辺倒のおっさんがそういうってことはほんとにヤバそうだな。
「俺も土日は暇だから参加する。」
「私も〜。」
「あの〜日曜は休んでもいいかな?」
「先に言うけど、原稿仕上げるってのはダメな。」
「なんでっ!!BL同人は私の生きる糧ですよぉ!!それを奪うなんて、酷いです。この鬼悪魔戸星君。」
百合本は名前こそゆりゆり言ってるが実際はBL作家で地元ではそこそこ有名なのだ。
「俺の名字は悪口じゃねえよぉなぁっ。」
「まぁ終われば書いても大丈夫ですよ、一樹くんもそう思ってます。」
「じゃあとりあえず土曜の10時に集まるってことでいいか?」
「そうですね。皆さんちゃんと授業も集中して受けないと、私達が教えるのにも限界がありますからね?」
「俺はスルーかよ。なんで今日俺にあたり強いんだよぉー?」
「今日でよかったんだよな?小説のオススメしてもらうのは。」
二人で並んで帰りながら、先日約束した小説のオススメの事を尋ねる。
「はいっ、そのあとは家でご飯食べていくんですよね?」
「母さんには、もう言ってるから直行で澄玲の家に行くか?」
「少し寄り道でもしませんか?」
なんか用でもあんのか?......あっ今日は○○文庫の発売日だったな。
「その顔はどこに行くか分かったみたいですね。一緒に行きますか?」
「行く。俺もなんか買いたい。」
「じゃあ行きましょうか。」
二人とも、バラバラでお気に入りの本を購入し、レジの先で合流する。
「相変わらず幼馴染ものばかりですね?」
「創作の世界に置いて幼馴染属性に勝るヒロインなし、って有名な言葉だろ?」
「誰の言葉ですか、知りませんよ。」
「俺の言葉だ。この教義を元に、各種SNSで信者を増やしているんだよ。」
「いや、ほんとに何やってんですか。」
ふと、澄玲の購入した本に目を向けると、学園異能系のラノベが目に付いた。
「あれ、澄玲それって、」
「はい…...幼馴染がヒロインのラノベです。まだいっくんが買って無いようですし、異能系は私の好みにもあってますし。」
「わざわざ幼馴染ヒロインのラノベを?」
「かっ、勘違いしないでよね!別にあんたの為じゃないんだからぁ!」
「お手本の様なツンデレありがとうございまーす。」
学校では、クールというか、まあ大人しいイメージを持たれている澄玲だが実際は結構ふざけたりする、女の子なのだ。
「ふふっ、冷たい幼馴染ですね。もっと反応してくれてもいいんじゃないですか?」
「ほらっ、いいからそろそろ帰るぞ。」
「はいはい、もうちょっと乗ってくれてもいいじゃないですかぁ?そんなに私の手料理食べたいんですか?」
「そうだな。早く澄玲の手料理食べたいな。」
「えっ!」
「腹減ったから。」
「あっ、計りましたね。」
「お前なら知ってるだろ?俺はやられたままでは、終わらんのだよ!」
もちろん昼食の時のことの仕返しだ。
「うっ、あれはぁーなんというか、その場のノリですし、やっぱり卑怯だと思います。」
「あれもなかなかな反則技だからおあいこだ。」
そんな取り留めのない話をしながら、二人は夕暮れに染まる町を歩いていった。
明日はキツイかも、誰か応援してくだせえ