飛行船に侵入
飛翔したロキシスは速やかに飛行船に取り付いた。そして異空間からカグラを取り出した。
(ロキシス、どうしました?)
「カグラ、侵略者が来たんでな。今からこの物体を斬る。いけるか?」
(勿論です。)
そう話して、ロキシスはカグラを振るって、飛行船の機体を斬り裂いた。何の苦労もなく、機体には四角い穴が開いた。
「流石だ。」
(それ程でも。)
その穴からロキシスはカグラを携えて中へ入る。すると兵士と思われる人員達がぞろぞろやって来た。
「なっ!?」
「壁に穴を開けて入って来ただと!?」
そんなことを口にしていた。ロキシスはカグラを構えて、相手に言う。
「お前達のトップは何処だ?」
それに反応して兵士達は、
「巫山戯やがって!」
「捕まえろ!」
と叫び、ロキシスへと突っ込んできた。
「やれやれ…」
ロキシスはカグラで、突っ込んできた兵士達を峰打ちにした。5人目を峰打ちしたところで、
「なっ、何なんだ、お前は!?」
と、驚愕の悲鳴を兵士達はあげた。
「お前呼ばわりされる筋合いは無い。」
そういって、更に4人の兵士達を倒した。すると兵士達は、
「ま、待て!」
と、止めに入った。その声を聞いてロキシスは止まる。
「何が目的だ!?」
そう言ってきたので、ロキシスは答える。
「お前等のトップと話がしたい。それだけだ。」
そう言うと、兵士達はボソボソ話し合い、そして、
「解った…ついてこい。」
そう言った。ロキシスはカグラを鞘へと戻して、その後についていった。
ロキシスがついていった先は、指揮官室のような場所だった。広い部屋には真ん中に机が置いてあり、その向こう側に椅子が置いてあった。
「…ここで暫く待たれよ。」
そう言って兵士達は何処かへ行ってしまった。
「…」
ロキシスはその場から動かず、部屋中を隈無く見た。机と椅子、1つずつあるだけで他にはなにも無い。
(…嵌められたか?)
そんなことを考えてしまうが、一切油断していない。何があっても問題ないように、心構えをしていた。と、ロキシスが案内され、入って来た扉が開き、男と女が1人ずつ入って来た。年の頃は男が40~50歳程度、女は20前後か、そう思わせる2人だった。
「ようこそ地球人よ。我らが船によく来られたものだ。」
男がそう言った。
「生憎、俺は地球人とかいう人種じゃ無いが?」
「何?しかし、君はこの星の住人なのだろう?」
「いいや、この星とは無関係だが…まあ、面倒くさい。どうとでも捉えてくれればいい。」
「ふむ…まさか我らの船に穴を開けて中へ入ってくる輩がいるとは思っていなかった。…名前を聞こう。」
「…ロキシス。」
「そうか、我が名はイグール、そしてこちらは我が星の姫…」
「アリシアです。」
「…」
「それでロキシス殿、我らが船に何用で来た?」
「お前達に忠告しに来た。さっき宣戦布告していたな?1時間以内にどうのこうのと。」
「あぁ。我々の意思だからな。」
「この星の人間には理解できない言葉だった。少なくとも、何を言っていたのか解っていないはずだぞ?」
「…なに?」
「俺は言語翻訳出来るからこうして話せているが、この星の人間で理解している人間は皆無だと言ったんだ。」
「…そうか。」
「この星には何のようで来たんだ?」
「我らの星は、壊滅状態になったのでな。この星に移住しようと考えたのだ。」
「…強硬手段って訳か?」
「この星の文明は、我々よりも遅れている。攻め込むのも楽だと考えた。それに、太陽もある。」
「…?」
「太陽は我らアポロニア星において重要な星だ。その星を崇めている。」
「なるほど、神アポロンを祭っているんだったか?」
「…!何故それを部外者である君が知っている?」
「生憎、この星は神アマテラス様が治めている星だ。勝手に侵略して良いものじゃ無い。それさえ解らないのか?」
「…君は何者だ?何処まで詳しく知っているのだ?」
「詳しくは知らん。だが、勝手に暴れ回られると、異世界…いや、他の星からそれを排除するために遣わされなきゃならなくなる。…この星の人間と話をする気はあるか?」
「…既に攻撃をしてしまっている。最早話など出来ないだろう?」
「話し合いをする気があるのかどうか聞いているんだ。」
「…あります。」
アリシアがそう言った。
「我々のうち、半数はこの星を侵略したいと考えていますが、もう半数は友好的に解決したいのです。」
「…その言葉に嘘偽りは無いな?」
「はい。」
「解った。話し合いの機会を設けてやる。だから一旦攻撃するのを止めろ。」
「…貴方を信じます。が、好戦的な者達を止めることは難しいのです。」
「空から来たんだよな?」
「はい。その向こう側、宇宙から来ました。」
「なら、その宇宙とかいう場所で待っていてくれ。3日だ。3日後に再びこの街の上空に来い。その時に俺がこの地球の代表を連れてきてやる。」
「解りました。」
「アリシア姫、この者を信用するのですか?」
「えぇ。この人は…信用出来ると思いますから。」
「さて、俺は一旦帰る。出口を教えてくれ。」
「…解った。兵士に案内させよう。」
イグールが兵を呼び、兵士に案内を受けてロキシスは外に出ることが出来た。その直ぐ後、飛行船は空高く宇宙へと飛び立った。
アマテラス神社にロキシスが帰ったのは明け方だった。
「ただいま。」
「お帰りなさい、ロキシス!」
帰ってみると、エリナが走ってきてロキシスに抱きついた。
「大丈夫だった?」
「勿論。」
2人はお互いの無事を確認しあう。と、ハルカ達も玄関へとやって来た。
「ロキシス様、どうでしたか?」
「まあ、話は少し出来た。で、3日後にまたやってくるから、それまでに地球側の代表を決めておかなくちゃならなくなった。」
「そうですか…」
「ですか…」
「話だけでまとまってくれれば良いんだが、どうにも嫌な予感がする。が、取りあえず腹も減ったし、眠い。一旦休もう。」
「そ、そうですね。」
ハルカ達は朝食を作りに行き、ロキシスはその間寝ることにした。縁側に横になると、エリナが膝枕をしてくれた。
「…これなら短時間で充分な休息が出来そうだ。」
「えへへ。お休み、ロキシス。」
しばしの休息を取ることに成功したが、大変なことになるとはその時のロキシス達には思いもしなかった。
読んでくださっている方々、有難う御座います。