屋敷での一幕
ロキシスとエリナは様々な事を、ハルカ、ミカ、リナから学び、見聞を広めていた。特に驚いたのは、風習だった。獣の類いは森でひっそりと暮らしているらしいが、その森が圧倒的に少なく、ロキシスは自身の仕事としていた狩りが出来ない事に驚きを隠せないでいた。そして何より、食事が美味しい事に驚いていた。
「砂糖とか塩とか普通に店で買えるのは驚いたな。」
「だね。村じゃ自分達で作らなきゃならなかったのに。」
「しかも風呂まで自動とは…確かに文明は恐ろしく発達しているようだ。」
「私が一番驚いたのは、生で食せるものが多い事かな…卵とか生で食べられるなんて驚いたわ。」
「確かに。しかし、このままではまずいな。」
「…?」
「楽なことはいいが、物臭になってしまいそうだ。ハルカ達は仕事をしているが、俺達は何もしていない。」
「確かにね。何か出来ることは無いのかなぁ。」
「今のところありませんね。」
ハルカ達がお茶を持って部屋へと入ってきた。
「せめて何か仕事をくれないか?気が滅入る。」
「そう申されましても、お二人は神様です。神様にお仕事をさせるわけには…」
「そうです。アマテラス様に怒られます。」
「ます!」
「…かといってもなぁ。俺達、神様らしい事は何もしていないんだぞ?」
「特訓されては如何ですか?」
「それは毎日やっている。戦う相手もいないから、素振りが殆どだが…」
「…ではお二人に仕事をして頂きますか。」
「おう、何でも良いぞ。」
「では買い物に行って来て下さい。」
「買い物か。何を買ってきたらいい?」
「買い物リストは作ってあります。後はお二人の服を買ってきて下さい。」
「この服、そんなにまずいのか?」
「そう言うわけではありませんが、目立ちます。お二人が選んで買ってきて下さい。」
「エリナの服もか?用意してもらったのでは無く?」
「それは元々神に仕える者の服ですので…」
確かに今エリナは巫女服を着ていた。ある意味正装だが、本来神が着る服では無かった。
「解った。しかし金は無いんだが?ドラゴンの頭骨等の買い取りをしてくれる場所はあるか?」
「ですから、この世界にはありませんと前にも言いました。勿論お渡ししますのでそれをお使い下さい。」
「解った。エリナ、行こうか。」
「はい。行きましょう。」
そういって屋敷を後にした。
読んでくださっている方々、有難う御座います。