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俺に何があったのかの話

この時、茫然自失に陥っていた俺は、2人の会話。特に女性兵士さんに何が起こっていたのを全く理解できていなかった。


彼女は脅しを掛けられていたのだ。従わなければ、家族の命は無いと。


王族と言えど、個人の情報はおいそれと閲覧することは出来ない。それが様々な良からぬことに利用されてしまう恐れがあるからだ。それは、俺の生まれた世界にもある法律だ。

それも、彼女は易々と破り、何と悪ぶることも無く、脅しと言う犯罪行為に利用した。


一国の王女がだ。どう考えても異常。今考えてもあの状況は身震いをするほどに恐ろしいものがある。


『な、なりません。仮に犯罪者としても、罪の重さを測りしっかりとそれに合わせた処罰を与えなくては』


家族を人質に取られ、何も言うことが出来なくなった女性兵士に代わって反論をしたのは、最初に王女様に黙らせられた男性兵士だった。


震えながらも懸命に言い返す様子は、相当に勇気を振り絞ってくれたのだろうと思う。彼にはいつかお礼をしなくてはならない。もし、会えたのなら、だけど。


『あら、さっきも言ったのに男の分際で私に歯向かうなんて良い度胸ね?』


『そ、それに、貴女は王位継承権第1位と言うだけ……!!正式に王位を受け継ぐかどうかは国王様が決められることです!!貴女が女王を名乗って我儘を言って良い訳ではありません!!』


それはドの付く正論だった。彼女は優先的に王位を継承できる権利があるだけだ。それは王になれる優先順位ではない。


現在の王様が、国王とするなら、まずはこの人かな。と大体の継承の候補の中で一番と言うだけだ。最終的に継承するのは、王様が決めること。


彼女は、正式には未来の女王ですらない。


『貴方、死にたいようね。良いわ、一族郎党皆殺しにしてあげる。貴女も貴方の家族も、王家に逆らった恥さらしとして無残にその首を落してあげるわ』


『生憎ですが王女様。わたしは孤児からの成り上がり。守る家族も血筋もありません。探せるものなら、ぜひ探して欲しいものです。私の両親を私自身が見たことも無いので』


皮肉たっぷりに男性兵士がそう返した瞬間、身の毛もよだつ様な膨大な魔力が膨れ上がるのを、茫然と見ているだけだった俺でも感じることが出来た。


すぐそばで敵意を持った魔力が高まる危機的な状況に、半分意識を失いかけていた俺の意識もハッキリと覚醒する。

女性兵士も先ほどとは別の緊張感を持った表情で王女様を睨み付けた。


『あなた達、全員生きていられると――』


『ダメですよ王女様。感情にお任せになっては』


怨嗟の声をあげ、今まさにその暴力的な魔力を振るおうとする王女様を止めたのは、過去にも何度か俺を殺そうとして来た侍女。

荒れる水面をシンと静まり返すように響いた彼女の声で、王女はその荒々しい魔力をすんなりと収めた。


『何はともあれ、彼女が王城に侵入したのはほぼ間違いが無いのでは?極刑に当たるものだと思いますけれど』


『それにしては彼女の証言と現場の状況が不自然です。窓を破って外に出た者がいるのに、侵入したとされる彼女が逃げていない。仮に彼女が勇者様を突き落としたとしても、バルコニーの下には誰もいない。誰かが逃げて、彼女が逃げていないんです。これは、情報をしっかり精査する必要があります』


『疑わしくば罰する。王城においてはそれでなんら問題が無いのでは』


『問題あります。王城だからこそ、最も法に則った場所で無ければ』


最初に王女様に黙らせられた彼は一体どこに行ったのか。侍女と見事な舌戦を繰り広げる。

正論は男性兵士。詭弁は侍女。


『では、私がこの場を判断しようでは無いか。宰相であるこの私が』


そして、更なる人物の介入で、この場は更に混迷を極めていくことになる。


正直、難産過ぎて3回書き直した。何故、私はバトルさせるわ、国を巻き込む騒動に発展させようとしているのか……


今回こそは裏の少ないマイルドな話にすると決めたんだ……!!

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