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夏だからって何か進展するのは間違いだと思います(切実

ヘアカットとメイクを選んで、実際にそれを施してもらうまではそれなりに時間が掛かった。

何せ俺は完全にオシャレの素人。メイク道具の名前だって怪しい奴に、そのイロハを教えるのはかなりの労力を使うと思う。


それでも、アンナさんとクララさんは楽しそうにしてくれていたのが救いだ。これが淡々としていれば、俺は始終ビクビクしながら受け答えをしていたことだろう。


そして、時間にしてたっぷり3時間。主にメイクを中心に初歩的な指導をしてもらい、最初はまずその初歩的なメイクを毎日することがしばらくの課題になる。


「ほい、出来上がり。どうよアユっち、元から可愛いけど更に可愛くなったっしょ」


「……おぉ~」


アンナさんに言われて、まじまじと鏡を見た俺は、自身の姿に思わず感嘆の声を漏らした。


ようやく肩まで伸びた髪は丁寧に整えられたあと、毛先を少しだけアイロンで巻いた後に前髪を全部一度かき上げて、ワックスのようなものを髪の毛全体に馴染ませていた。


その後、髪の毛を左側を1。右側を9の割合で分けて、髪の少ない左側の方をピンで留めて髪を耳の後ろへかける。右側はそのまま右へふんわりと持ち上げなら持っていく。

そうすると、自然とアシンメトリーのような、左右非対称の髪型が出来上がった。


子供っぽい俺の顔立ちでも、ちょっと大人な女性に見えるし、なんだか色っぽく見える。


「メイクは簡単なベースメイクと、アイラインとチークとリップだけだけどぉ。これだけでぜんっぜんかわるっしょお?」


クララさんにそう言われて、うんうんと強く頷く。

ベースメイク、えっとスキンケアして、顔の皮脂油を取ってから、化粧下地になるクリームを塗って、ファンデーションをする、までがベースメイクって言うらしいんだけど、今回はそれをバッチリしてもらった感じ。


軽くやるなら、クリームまででも良いけど、ここ一番とか、冠婚葬祭とかそういう時にはファンデーションまでやった方が綺麗らしい。


確かに見れば見る程、肌に素肌のちょっとした脂っぽさと言うか、テカリが無くて、スルッとした肌触りが良さそうな感じに見える。

成る程、これが良く言う肌の透明感とかそう言うのなのか。


目にはアイラインを引いてもらって、目が大きく見えるし、ほっぺにほんのり乗ったチークは血色が良さそうに見える。

淡い色合いにしてもらったけど、リップを塗った唇も普段より艶感があって、何というか、色っぽい。


鏡に映るのは、間違いなくいつもの童顔では無くて、大人の色っぽさを持っている女性だ。

……どっちかと言うと、女性ってよりは女の子って感じなんだけど。それでも普段よりは断然大人っぽい。


「全然印象違う……。今まで、やらなくても良いって思ってたし、似合わないって思ってたから……」


「むしろアユっち見たいに元がめっちゃ良い子がメイクしたらもっと良くなるんだって!!これなら彼氏作り放題ってね!!」


「えっ、いや、作り放題は困るかなぁって」


彼氏を作り放題と聞いて思わずそんなことを口走ると、アンナさんは「およ?およよよ?」なんて奇妙な声を上げながら、俺の顔を覗き込んでくる。


その表情は何やら楽し気で、良い獲物を見つけたと言わんばかりだ。


「なになに~、アユっち好きな人でもいる系~?」


「いや~、そんなことは……」


「恥ずかしがらなくても良いよぉ。ははぁん、成る程ぉ。片思いの男を落すためにぃ?慣れないメイクとか~、そういうのを頑張っちゃお~的なぁ?」


しまった、と思った時には女子の大好きな恋バナの話に捕まっていた。

これまでも幾度となく捕まって来たんだけど、何かと恥ずかしいし、根掘り葉掘り聞いて来るしで勘弁してほしいのだ。


ただ、その中で色々教えてくれたり、アドバイスをくれるので、ありがたいことも多い。

それを差し引いても、俺の羞恥心が振り切れるわけなんだけどもさ。


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