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夏だからって何か進展するのは間違いだと思います(切実

後は頼んだよ~とアデューラさんに引き渡した後にあっさりとお店から出て行ってしまったおばさんを恨めしく睨んだ後、何故か仁王立ちしているアデューラさんに向き合う。


妙に気を引き締められるのはなんでだろうか。


「さて、アユムだったね。さっきも言ったけど私はアデューラ。ここ【クレーリン】の二代目店長だよ」


「グレンツェンでお世話になってます、アユムです。その、おばさんに急に連れてこられたんですけど、大丈夫なんですか?」


「あぁ、休日でもない昼間は割合時間があるから大丈夫だよ。休日は忙しいからちょっと困るけどね」


突然連れて来られたから連絡も何も行ってない筈だけど、大丈夫なのかと聞いたら、忙しい時間帯じゃないのでそこまで、と言った具合らしい。


まぁ、平日の昼間に服を買いに来る人は確かに中々いないだろうな。


「で?男に逃げられそうなんだっけ?」


「違います!!その、好きな人がいるんですけど、中々振り向いて貰えないので、おばさん達が海にでも行けって言いだして……」


「あー、そういう。まぁ、その服装じゃあいくら元が良くても、ねぇ?」


結構辛口な人だ。想ったことをズバズバ言ってくるタイプの人なんだろう。何と言うか、ココリネおばさんと似た波動を感じる。

歳が若いかそうじゃないかの差って感じだ。


「で?水着をアユム用にって訳か。素材が良いから着飾ったら確かに並の男は放っておかないだろうね」


「そ、そういうのは良いんで。水着コーナーまで案内してもらって良いですか……、後は自分で選ぶんで」


じろじろと俺の身体を上から下まで観察するアデューラさんの視線はエロ親父のそれとは違うけど、それはそれで恥ずかしく感じる。

この国の一般的なヒューマンに比べて身体の起伏が少ないことも分かっているので、その辺りも気恥しいと言うか、気後れする。


「何言ってんのさ、ココリネおばさんは拵えろって言ってたんだよ。既製品を買わせるわけないじゃん」


「……えっ?」


とりあえず。布面積の多くてそれなりに可愛い奴を選ぼうと画策していたら、アデューラさんが何言ってんだコイツと言った対応をされる。


ん?既製品は買わせない?いや、ここは衣服店では……?などと思考を巡らせていると。


「アンタ用の一点物の水着をこれから作んの。ココリネおばさんなら金に糸目は付けないだろうし、ついでだからデート用の私服も作ってあげる。あと髪とメイクもだね。ちょっと女っ気無さすぎ。業界仲間紹介してあげるから、そっちもしっかり覚えなよ」


「えっえっ」


その思考を正す時間も無いままにアデューラさんにガッチリ腕を掴まれる。結構強めに掴まれている。流石ドワーフ。見た目に反して力は強い。じゃなくて。


「さーて、まずは採寸だよ。アンタに合う最高の水着を作ってやるから待ってな。おーい、店番よろしく~!!」


アデューラさんの声と共にお店の奥にいたらしい別の店員さんの声が聞こえたかと思うと、俺は再び引きずられるようにして店の裏手へと連れていかれるのだった。


今日は引きずられる日ですか。そうですか。






店の奥まで連れて来られると、カーテンのある部屋まで連れていかれ、全てのカーテンを閉めて、灯りが灯される。魔法灯と呼ばれるこの灯りは、この世界では珍しい便利な道具の一つだ。


そんなことはどうでも良い。まずこの締め切られた部屋でアデューラさんに言われたのが脱げの一言である。

最初は何を言ってるんだと思ったけど、水着の採寸をするなら確かに素肌を見せた状態の方が良いに決まってる。相手も一応同性だ。まだこっちは女子歴半年だけど。


異性に見せる訳でも無いととりあえず納得した俺は渋々ノロノロと服を脱いでアデューラさんの前に立つことになった。流石に恥ずかしいので身体は勝手に縮こまっている。


「ちゃんと立つ!!採寸できないでしょ」


「すみません……」


一喝されてようやく胸元を隠してた手をどかして気をつけの姿勢をする。うぅ……、恥ずかしい。


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