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夏だからって何か進展するのは間違いだと思います(切実

お弁当は出来るだけ生ものは避けて、火を通したものを入れるようにしている。


作ってすぐに詰めて持って来ているから大丈夫なんだろうけど、やっぱり時期的に怖いのは食中毒。元居た世界の理論や科学技術でしっかりと考えられた衛生面でも時折、何らかのミスや油断であっさりと多くの人が食中毒になり、病院に担ぎ込まれるなんてのは良く見聞きした話。


この世界には魔法はあるけど、衛生面とかそう言った考えは遅れがちな印象がある。

科学と言う、人類と共にゆっくりと進歩していったものと比べ、魔法と言うのは最初から大きな力を少ないながら個人が扱えたらしい。


魔法は非常に便利だ。自分の適性を理解し、分を弁えてさえ居れば過程をすっ飛ばして結果だけを導くことが出来る。


例えば火を起こすにしても、科学で見るなら火はどうすれば起こるのか、起こした後に維持するのはどうすれば良いのか、そもそも燃える原理とはどういうものなのか。


こう言った様々な観点から研究に研究を重ねて、火と言うものが一体どうやって起きるもので、どうすれば手軽に扱うことが出来るのかを考えて、火を手軽に扱うための数々の道具が生み出された。


さて、魔法はどうだろう。


魔法で火を起こすのは実に簡単だ。火属性の適性のある者が適切な呪文を唱え、その呪文にあった魔力操作をすれば発言する。あるいは火属性を付与された道具や、鉱石などに魔力を込めるだけでも発火する。


そう。魔法は何故?を考える必要が昔から無いのだ。水が必要なら水属性を、空気を循環させたいなら風属性を、土を耕したいなら土属性を。


それに対して有効な魔法を使ってしまえば、その問題は解決する。魔法は何故なにを考える前に過程をすっ飛ばして結果だけを導き出してしまう文字通り魔法なんだ。


だから、食中毒になっても、診療所で食中毒に効果のある魔法薬や魔法を施してもらうだけで治ってしまう。

何が原因かを考える前に、それをどうにかする方法が既に用意されてしまっているんだ。


だから、正直この世界の文明レベルは元居た世界に比べると相応に低い。

この世界に魔法が登場して5000年は経つだろうに、庶民が使う道具類に関する文明レベルが中世レベルなのはそのためだ。


故に、食中毒とかの衛生面に関する考えもかなり薄い。地面に落ちた食べ物を食べない理由がばっちいからじゃなくて、砂がついてじゃりじゃりするからって感じなのがいい例だと思う。


で、まぁ急になんでこんな話をしてるかと言うですとね。


「はぐっ、あむっ……」


目の前で美味しそうに弁当を頬張るセーロがめっちゃ可愛いからです。頬が変な風に緩みそうになる。とてもじゃないけど他人には見せられない……!!


「美味しい?」


「んぐっ、美味い」


この堅物の唐変木は、ご飯を食う時は目をキラキラさせながら食べるんだ。

いつもは仏頂面で何考えてるか分からないクセに、食べ物に関しては露骨に表情を変える。


特に好みの物を食べる時はまるで子供だ。めったに上がらない口角を上げながら、バクバクと口に放り込んでいく。小学生かお前は。


「そっか、今日は上手に出来たと思ったからよかった」


「いつも美味いが……。これだ、この揚げ物。これがやっぱり一番美味い。毎日入れて欲しいくらいだ」


「そう言うだろうから今日はかなり多めに作ったんだよ?まだ足りないなら夜も作ろうか?」


「頼む」


特にセーロのお気に入りはお弁当最強のおかず筆頭のから揚げだ。


朝鳴鳥という、明朝頃に爆音で鳴いて寝ている獲物や隠れている獲物を驚かせ、パニックになっている間にその脚の鋭い爪で狩りをするモンスターのモモ肉を使っているんだけど、これがとても柔らかくてジューシーで、から揚げには抜群に合う。


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