六十一匹目 愚鈍で愚かな者
夏休み…美味しいですよね(白目)
「一つ疑問に思ったのだが」
「うん?」
「血の覚醒者の血液をヴェノムに飲ませ解読させればヴェノムが抗体とか作り出せたのでは?」
「あー…」
「忘れていたのだな…」
「過去のことはいい。そろそろ日の出だ。殺菌するか」
「どうやるのだ?」
「燃やす」
「え?」
「燃やす。肉体を」
「…日の出関係なくないか?」
熱いのは嫌いだがしょうがない。俺は別に何も問題ないのだがクロウが感染したら色々とまずいからな。
「おおお、俺は?燃やす?燃ゆぅあす?」
「手前はエマの治療が先だ。それに新しい毒として体に溜め込んどいた方がいいだろ?手が空いたら他の連中も治してやれ。まあ、エマほど体頑丈に出来てねえからエマ治る頃には殆ど死んでると思うがな」
「ひひ、いひひひひ。わかっとぅあ」
「さて、燃やすぞ」
「ちょ、待て契約者!契約者ァァァァァァ!!」
クロウが悲痛な叫びを上げているが無視して外に連れ出す。
既に朝日が昇りそこら中が穴だらけだったり倒壊した家もあり時折すすり泣く声も聞こえてくる。
「それで…高熱で死ぬのだったな?だったら我の黒キ炎でよくないか?」
「いや、手前の技知らねえから。そもそも影使いじゃなかったのかよ」
「ふっ、影とは常に光と共にあるのだぞ?」
「よくわからんが、やるんなら徹底的にやれよ?匹なのか個なのかはわからないが1つでも残ってりゃ其処から無限に増殖するからな」
「汝の作ったものだからなぁ…しかしホワイトの魔法よりよっぽど人を恨んでいるようだ。死ぬまで苦しませ続けるとは…」
「変わんねえよ。蒸発して死ぬか苦しんで死ぬかの違いだけだろう?」
「まあ…うん…そうだな」
結局クロウの黒キ炎というやつに任せたが考えてみれば今体の半分以上は纏死病の様な状態なので何十年ぶりかに痛みを感じのたうち回った。
しかし対象の肉体ではなく魔力のみを燃やすってのもなかなか面白いな。でも肉体には全く影響が無いのに燃える痛みや熱さはある。やっぱこいつ性格悪いな。
「な、汝…?その…大丈夫か?聞いた事ないような声上げていたが」
「熱はダメなんだ。どうやっても弱点だ」
「ふむ…難儀な肉体になったものだな…まあいい。取り敢えず魔導院に戻るとするか」
「普通人間は全身燃やされたら死ぬがな。それとさっきので神経が何本か切れた。どうにか繋げるから運んでくれないか?」
「…熱に弱いってか、体脆いな」
クロウに背負われながら魔導院に戻ることにする。元の姿に近づいてきた所為なのか随分と人間に近い感覚、感情が戻ってきた。こうやって誰かに背負われているだけで既に全てを忘れて……
「契約者?ふむ…まあ、徹夜だったしな。夜弱いと言っていた事だ。暫く寝ていてもらうか。涎は垂らすなよ?」
「ただいま戻ったぞ」
「え?…うわ、何よそれ。捨ててきなさいよ」
「我の契約者だぞ?そうそう捨てられるか」
「へぇー…ところで貴方、誰?」
取り敢えず戻ったのだが…またあの部屋に戻りたくはないのでアベンの知り合いだという人間の雌個体の病室へと来た。珍しいエルダー個体の魔物二匹が敵意剥き出しで睨んでくるが今は弱者を弄ぶ気はあまりない。
「我はクロウだ。汝は…ええと…おお、テキオーラだったか?」
「ママレードよ!」
「そうか。取り敢えずそっちのレイスとオーガのエルダー個体をどうにかしてくれると助かるな」
「何?怖いわけ?」
「今の我は機嫌が良いからその目障りな視線を無くせば殺さないでおいてやろうとな。くくくく。無論、そちらがやる気ならば我も全力で殺してやるがな?」
お互いに睨み合う。とは言っても雌個体の方はレイスとオーガに隠れてしまっているが。そうやってどちらかが動けばもう片方が動こうと牽制しあってた時、扉が蹴破られて男が入ってくる。
「にいさ、にいささささ!」
「ぬぉっ!?…なんだヴェノムか」
「お嬢様逃げる準備を!」
「??あっ、クロウ兄さんクロクロクロク…あれ、ににににいしゃあん、どこ?」
「しーっ、静かにしないか。契約者は今寝ている」
「でもでも、あば、ゴボボボ」
「何、なになに!?何なのよ!ここ私の病室!!」
「ぼぼぼぼぼぼ。うひっ」
ヴェノムが突然壊れたかのように頭を小刻みに震わせると腹部から鉄でできた義手が生えてくる。いや、突き破って出てきたというのが正解か。
「「キャァァァァァァァ!!!!!」」
「ええい!うるさい!契約者が起きるではないか!!」
「安心しろ。手前ら全員うるせえから。寝てられねえよ」
騒ぎ出した者達を抑えようとした時だ。
明らかに苛立ったアベンの声が後方から聞こえてきた。
「取り敢えず聞きたいんだが…どういう状況だこれ?」
「え、我が聞きたい」
ママレード達の悲鳴に起こされ目を開けるとヴェノムの腹からエマの義手が生えていた。どういうことだ?さっぱりわからん。
「エマ、エマエマ生きてる。お、俺兄さんの食ったるぅあ足はえてき、あばばばば」
さらにもう一本生身の腕がヴェノムの腹から出てくるとヴェノムの腹を引き裂いて中からエマが出てきた。
「うわぁ…」
「うっぷ…ごめん…どっちか袋か何か持ってきて吐きそう…」
「んーーー…あれ、体の調子がめっちゃいいよ。軽ーい!」
「あ、これ。汝の娘だ。間違いない」
内臓らしき物が所々にへばり付き、真っ黒い血を全身に浴びてエマが纏死病に罹る前の状態に戻っていた。そして俺に気付くといつもの様に笑って…
「おはよう!お父さん!」
「…感動の再会と行きたいところだが取り敢えずシャワー浴びてこい話はそれからだ。おい、やめろにじり寄ってくるな。汚えから近づいてくるな」
「あっ、私急に腕が痛くなってきたなー。あいたたた。何処かに体を洗ってくれる優しいお父さんいないかなー?」
「さっさと行け」
「いや、一応病み上がりなのだし万が一もあるだろう?行った方がいいのでは?」
「行きなさいよ…うっ…オェェエ!…序でにヴェノムの遺体持っていきなざいよ…」
「お、お嬢様お気を確かに…」
「昔から慣れてないからなー」
「お父さん?」
「…はぁ。大老に当たったことの罰か?これは」
「罰?ねえ、それ誰に対して?私?私なの?」
「違う。いいから宿に戻るぞ」
クロウにヴェノムどうにかしておけとだけ伝えるとエマを背負い泊まっていた宿へと向かう。まあ、残ってなかったら他を当たるとするか。しかしよくわからない真っ黒い液体を被った小女を背負う血塗れの男というのは目立つな。宿に行くまで奇怪なものを見る目で見られまくった。
「〜♪」
「はぁ…」
タオルで乱雑に髪を拭いてやると何が嬉しいのか鼻歌を歌い始めた。クロウに任せてヴェノムの相手していればよかったな。
「そういや…足生えてきたんだな」
「うん!さっきの人のお腹の中で目が覚めたら足が無くてどうしよう?って考えてたらドクターの声がして足が生えてきた!」
「…?」
ナターリアが何かしてきたって事か?もしくは最適化か自己進化のどちらかの作用が働いて足が生えてきたとか?相変わらず出鱈目な構造だな。
「ところでお母さんは?仲直り出来たの?」
「ああ、誘拐された。今頃解体されて箱詰めでもされてるんじゃないか?」
「えっ…えぇぇぇぇ!?どゆこと!」
「そういう事だ。この間の世界の眼の連中に連れ去られたみたいでな…ああ、悲しいなぁ」
「絶対そう思ってないでしょ?」
「わかってるなら一々騒ぐな」
さて問題はここからだ。正直俺にはあまり時間は残っていないと思う。誤算ならいいのだがどうにも五感が戻ってきているようだし。嫌だなあ。
「助けに行こ!」
「場所がどこかわからない」
「目撃情報!」
「転移して逃げた」
「んー…はっ!愛の力!」
「無えよ。そんなもの」
「むむむむむ…」
どんだけ考えたって無駄だ。何10年も隠れて各地で…あれ、連中って一体何してるんだ?たしか魔眼持ちを誘拐してるってのは聞いてるがそれ以外はよくわからない。
「あっ!スライム!スライム使えば!」
「確かに2はいるがそもそも転移されたら匂いは残らない。それに残念ながら見つけたとしても今の俺は1.4.5がいないから小手先だけの搦め手しか使えん。理解出来るか?俺はスライム達がいないと何も出来ない」
「じゃあ私が戦う!だから…だから…うぅっ…」
ああ、本当に面倒くさいな。無理なものは無理だ。潔く諦めるという心を覚えたらいいのに。
ズキリ
「心臓がおかしい。生体造変の副作用か或いは無意識に心臓の形を造り変えちまったか?息苦しいし内側から引っ張られてるみてえだ」
「ぐす…心配ってことじゃないの?」
「…そりゃあねえな。取り敢えず魔導院に戻るぞ」
エマを急かすように着替えさせ魔導院へと向かう。心配?冗談じゃない。あんな魔法が使えない以外に価値のない女なんて微塵も心配などしてない。本当に…本当に心の底から阿呆らしいガキだ。
「で、結局泣き疲れて寝てしまったと?」
「まあ、どちらにせよ此奴うるせえからいい。あ、そうだピエトロそこら辺に捨てておいてくれ。そのうち起きる」
「ににに、にいさん。腹、穴空いとぅあ。いひひひ。風通しいい」
「そうだな。ああ、腹の中の連中全部食っちまえ。それで回復できんだろ?」
「うん…うひひひ、腹いっぷぅあい」
「ねえ…なんで貴方達当たり前のように私の病室に来るわけ?で、ピエトロ様が何?捨てる?そんなことして私が許すと思う?」
「もう1人五月蝿え女がいたな。静かにしててくれよ。叔母さん…おっと失礼、
ババア」
「誰がババアよ!!貴方なんか一度も甥だなんて認めたことないわよ!」
「その点に関しては同意する。手前みてえな鈍間がシーナの妹だと信じてねえから安心しろ。義妹って奴だろ?追憶の短剣のは信じてやるよ」
「キィィィ!!本っ当にムカつくわね!」
「お、お嬢様、興奮なされると傷が開きます…」
「大丈夫、大丈夫。頭に登った血が傷口から出て落ち着くから」
「レイ!ちょっと黙ってて!」
「いい、そもそもねえ!」
場所変えるか。煩くて会話もろくに出来ない。
「契約者よ!」
「にににににいさささん」
「アベン!」
「煩えな。次に口開いた奴、問答無用で体の中身弄るからな」
「「「………」」」
やっと静かになった。
さて、本当にどうするか。先ずはエマの今後について。やっぱり何処かの教会にでも預けるのが一番だな。家族ごっこはおしまいにしよう。そして次にカルミア。助ける助けないは別として世界の眼の奴らは面倒だから敵に回したくない。連中の一派が何処にでもいるからな。そして最後に大老。奴に関しては多少は言い過ぎてしまったと反省はしているが…どう対応したものやら…色々と面倒にならなければいいが。
「ふむ…」
「契約者よ…発言してもいいか?」
「聞かなくていい。さっきのは冗談だ。で?なんだ」
「一応言っておくがカルミア嬢の場所はわかっているからな?助けに行くのなら場所を教えるが…」
「…はぁ?」
「いやだって、汝が前に影へ潜ませておけと…」
そういやそんなこと言ったような気がする。すっかり忘れていた。場所を聞き出そうと口を開いた瞬間。寝ていたエマが急に目を開け起き上がる。
「じゃあ、助けに行けるね!」
「…寝たふりか?」
「ううん、寝てたよ。でもお母さん助けられるんでしょ?じゃあ起きないと」
「誰も助けに行くなんて言ってない」
「なんで!?お母さんきっと凄く痛い思いしてるんだよ!」
「だから何だ?俺には関係のないことだ」
「愛し合ってるんでしょ!だから私が産まれて…」
本当にうざったいな。もう相手してられない。カルミアと一緒に此奴も連れてかれりゃよかったのに。溜まりに溜まった鬱憤を吐き出したのか精神構造の変化によるものかわからないが…大老の時同様に言ってしまった。
「耳の穴かっぽじってよく聞け。いいか、手前はカルミアとも俺とも血の繋がってない赤の他人なんだよ。500年前の死体人形なんだよ。わかるかクソガキ?手前の本当の親はホルマリンの中に浮かんでる脳みそ…ナターリアだ。俺も手前もあの女も家族でもなんでもねえ赤の他人だ。もう一度言うぞ?手前も俺もカルミアも家族じゃない」
「……え?」
「そう言う事だ。考えても見ろよ。似てねえだろ俺ら」
「お、お父さん…?嘘…だよね?」
「ああ、安心しろって会って数週間のガキに愛着もクソもねえから。さて、邪魔な物は切り捨てたし次はどうするかな」
「…いい加減にしなさいよ!貴方は!!」
「ギャーギャー騒ぐんじゃねえよ。なあ、おい。理解出来ねえのか?なあ、脳みそ詰まってねえのか?糞でも詰まってんのか?寝てねえから余計に頭に響くんだよ。その金切り声」
ママレードの頭を鷲掴みにすると生体爆弾にでも変えるかと考える。先ほど聞いたときはシーナの親族に会えたと多少心の中に喜びのようなものも生まれたが今はない。ただ煩いだけの女を殺すことに何の躊躇もない。
「ちょ、やめ…」
「死ね。生体爆…」
「契約者よ。そう言えばサーカス達が汝に渡したい物があると来ているぞ」
「…そうか。じゃあ殺すのは後だな」
「ひっ…」
「お嬢様!!アベン、貴様!」
「や、やるんですか!」
手を離すと必死になってママレードを守ろうとレイとオーが前に出る。何もしてないから別にそんなに殺気向けなくてもいいだろうに。
「ママレード。二度と俺の前に姿見せんなよ。次顔合わせたら手前のことなるべく惨たらしく殺す。それとエマ、手前もだ。家族に会いたいならさっさと帝国領か地下都市にでも行け。再三言うが俺は手前の親じゃあない。わかったな?」
「……」
「はい…」
「で?サーカス達何処にいるんだ?」
「如く子供達を集めて死んだ親に合わせてやると躍起になって街を駆け回っていた」
「相変わらずいい趣味してんな。まあいいか。
じゃあなエマ、二度と会わねえことを祈ってるよ」
さっさと病室から出るとエマの泣く声が聞こえてきた。あんだけ化け物みたいな能力持っていても中身はガキなんだな。本当に阿呆らしい。
「本っっっ当に最低最悪の男ね。神様は何を思ってあんな屑作ったのかしら」
「殺してきますか?」
「や、殺ります!」
「ふむ…流石に今回は我も誤っておこう。すまない。エマ嬢も大丈夫か?」
「……私ってなんなの?お母さんじゃない、お父さんじゃない、ドクターは私が邪魔だから外に出した…私は…」
「ににににいさん、あひひひひ。おもしろいぬぅえ。人間ってばかぁばかかか。いひひひひひ」
「黙りなさいよ!竜に人の心がわかるわけないでしょ!それにあの屑にも!どいつもこいつも、人を傷付けても何の罪悪感も覚えずに!子供の心を弄び!本当に今すぐに死になさいよ!」
まあ、本当に今回はやり過ぎだと思う。しかしどうしたことか。らしくもないな。まるで人に嫌われるような言動ばかりしてるな。いや、仮にも人格者であったなら周りも気付くかもしれないが契約者は本気と書いてガチと読むほどの屑であるから本心にしか聞こえない…ううむ…王ならこのような時はどうするのだろうか?
取り敢えずエマを抱き寄せ慰めてやると啜り泣き始める。人間の子供は傷つきやすいらしいので優しく撫でてやる。
「…やれやれ。寝てる間に随分と混迷してますねぇ」
「ピエトロ様!?起きられたのですか!」
「ええ、ドギツイの一発もらいましてもう少し寝て痛かったのですがね…」
「それは汝が契約者に手を挙げたからであろう。行動を起こせばそれに伴った事が戻ってくるのは自然の摂理だ」
そう言うとピエトロが恨めしそうに睨んでくるが勝ち目など最初からないのが理解できたのか、視線を外しエマ嬢を見てそれから口を開く。
「たしか貴方はバロールに作られたと言いましたよね?」
「うむ。我を創造したものはかつて此の世界の全てを手中に収めし我が盟友にして創造主、魔眼の王バロールだ」
「と言うことは貴方は邪竜の『三日月の太陽』で間違いありませんか?」
「む?聞いたこと無い名だが…そうか、人間の言葉で表すならそうなるのか。気に入ったぞ」
三日月の太陽…くく、後で契約者に話そうっと。絶対面倒臭そうな顔するけどなんだかんだでいいんじゃないかと言ってくれるからな。
「お、俺。ピエトロロロ俺は?おおれ、名前?」
「えっ…えー…私そんなに詳しくないのですが…」
「ねえ…それって世界三大邪竜の一匹じゃなかったかしら?」
「む?我はそんなに悪事を働いた覚えはないが?」
「ああ、世界竜辞典に載ってますよね」
そんなものがあるのか。人間が自分をどのように見ているのか気になるし後で調べてみるとしよう。
しかし邪竜か。精々やったとしても暇潰しに神のふりをして生贄を食って自堕落な生活をしていたくらいだ。あとはバロールの命令で戦場で沢山殺したがアレは戦争だったし関係ないだろう。
「クロ、クロウににいいさん。ピエトロが虐むぅえる」
「汝は森に来る前何処で何をしていたのか、己の真の名、他諸々何一つ話さないではないか。我も知らぬし王も知らぬ」
「ぬぬぬぬ…話せぬぅあい。話したらに兄さんに怒られる」
どういう事だ?契約者と過去に何かしらの関わりがあったのか?或いは自分達の様に半強制的にではなく利害関係を持って契約を行なっていたとか?
思い耽ているとピエトロも少し悩み、ああでもない、こうでもないと独り言を呟くとママレードや自分に向かって深々と頭を下げる。
「アベン君のことなのですが…ママレードさんもメイドさん方もあまり悪く言わないであげてください。この通りです」
「悪く言うなって…ピエトロ様、彼奴はエマちゃんの心に深い傷を負わせた挙句にカルミアさんを見捨てるって言ったんですよ!」
「…では、私が謝るのでどうか許してください。
彼の言動も行動も全て謝ります。ですからどうか彼を責めないでください…お願いします」
そう言ってピエトロは地面に座り深々と頭を下げ額を地面につける。ふむ、どういうことだ?
「ちょっと、何してるんですか!それに、なんでピエトロ様が彼奴の代わりに謝るんですか!悪いのは全部彼奴です!」
「…これは東洋のドゲザと言う最上級の謝罪の形であり、気に食わぬならこの首をいつでも落とせと言う意味です」
「よし、ヴェノムまだ腹は空いてるか?今すぐにその首叩き落とす。体は食え、頭はキラレイスへの宣戦布告用に残しておく。まあ、1日も関わらずに地図から消えるがな」
「クロウさん!待って!」
殺そうと手に影を纏うと鋭利な爪の様になりお望み通りに首を切り落としてやろうとする。しかし爪が肉を裂く寸前にエマ嬢に止められた。何やら気になることがあるらしい。
「知ってること…話して。そんなにお父さんを庇うのには理由があるんだよね?」
「………」
「話して」
「…はぁぁ…やれやれ、私も子供に甘くなりましたね。しかし聞いてもあまり面白い話ではありませんよ?寧ろ話の途中で私の首が飛ぶやもしれませんし」
そう言ってピエトロは首を切るジェスチャーをするがエマ嬢は笑わず真剣な眼差しでピエトロを見る。少ししてピエトロが折れ彼が知り竜達の知らない過去を話し始めた。




