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五十四匹目 変わらぬ日々

田植えやら胃腸炎やらで投稿遅れてしまい申し訳ありませんでした。


感想いただけました!ヒャッホウ!お言葉しっかり心に刻み込んで色々と修正しつつ、これからも頑張って書いていきます!

「…死んだか?」


「さあ?と言いいますかアベン君彼女にしっかりと教育はしてるんですか?どう見ても殺す気でしたよ。いや、仮に治ったとしてもまともな生活に戻れるかどうかも…」


「会って数週間のガキに何教えろってんだよ」


「うーん…それもそうですね!はははは!」


「笑い事じゃないわ!戯けらが!」

ほぼ秒殺された相手は既に医療班が来ているがどうなるかは彼女の運次第だろう。近くまで観察虫が血液の採取ついでに見に行ってはいるが結界によって多少は守られていたとは言え叩きつけられた衝撃と前面からのエマの攻撃による衝撃で馬車に轢かれたカエルの様になっていた。

しかしここで回復魔法の出番である。ランク?の高い魔道士の魔法は過去に失った体の一部すら容易に治すなんて言われているくらいだ。まあ、治るんだろう。多分。魔法って便利だな。

「お父さんただいまー!褒めて褒めてー!」


「すごいすごい」


「もっと感情込めて!」


「凄い」


「ねぇぇ!!」

騒々しい奴だ。

「お母さん、私凄かった?ねー、ねー?」


「凄かったですよー自慢の娘です!」


「えへへー」


「いやー、世の中どんな事が起こるかわかりませんね。まあ、そこが楽しいところなんですがね」


「お主も強いんじゃろ?出ればよかったではないか」


「まあ正直な話アベン君が出るって知ってたなら出ましたよ。何せ合法的に殺しあえるなんて最高じゃないですか。ええ」

初日にさとう雲屋で喧嘩売ってきた事を棚に上げて何言ってるんだこいつ。

「やっぱ此奴殺すか」


「えぇ…でもしょうがないじゃないですか。私に決して満たされることの無い乾きと自然と体が求めてしまう快楽を教えたのは誰でもないアベン君なんですから」

大老とママレードに睨みつけられる。片方はまあ何となく予想付けて察してはいるがもう片方に関しては血走って今すぐにでも殴りかかってきそうなほどに。

話を変えようと強引に話題を逸らす。昼食がまだだろうと話したら「みんなで食べに行くか」と大老が言うものだから大人数になった。まあ行く気はないが。

正直もう帰って寝るかロビンに頼まれたものを採りに行きたい。

どちらにせよ明日か明後日には一応はロビンにマグネス達の卵を返してもらう予定だ。どうせ何かと因縁を付けてくるか或いは俺の事を殺しにくるか。どちらにせよさっさと仕事だけは先に終わらせておきたい。

「大老。用事を済ませてくる」


「飯時くらい合わせられぬのか?」


「必要性を何一つ感じない。それに手前が呑気に飯食ってる間に俺がさっさと仕事終わらせりゃ万万歳だろ?違うか?」


「むう…」


「…大勢で飯食うのは嫌いだ。また今度な」


「うむ!それならよいわ!じゃあわしら行っとるからのう。頼んだぞ」


「ああ」

手を振ってさっさと行ってしまう。カルミアとエマが名残惜しそうにこちらを見ていたが無視して魔道院へと向かう。

リストに載っていたのは俺とエマを含め9人。うち2人は魔道院で治療中。1人は先程採取した。もう1人は動けないと言うのに血液採取出来ていないらしい。あと3人残っている。既に観察虫に他の3人のは採取した。

魔道院へと向かう道すがらピエトロをどうやって死体にするか、或いは偽装するかと考えに耽っているとクロウから静かに報告が入る。

『契約者よ。妻殿や娘殿、他2人についていた影どもは処理しておいた。これからどうする?』


「そうか。死体は町の外に捨てておけよ。見つかったら面倒だ」


『いや、我の影牢に引きずり込んだだけで殺してはいないぞ…』


「ああ、そう」

影武者作れるなら生かしておく必要性を感じない。

「あ、そうだ。手前さ王城に忍び込んでヴェノムの監視頼めるか?」


『構わぬが、最近我が雑用の様に扱われるのは気に食わぬな…』


「気にするな。多分死なないとは思うが…一応な?それに仲間が死んだら大老も悲しむぞ?」


『むっ?そ、そうだな。よし、ではいつも通り影の中にもう1人の我は残しておくからな。何かあったらいつでも呼んでくれ』


「ああ」

便利なやつだ。




魔道院は大抵どこにでもある医療施設だ。魔法学が発達する前は病院と呼ばれていたらしいが今は大抵回復魔道士ばかりいる魔道院となっている。

怪我の具合によっては数日かけて魔法で治すらしい。というのも俺自身も行ったことが無く、行く先々の町や都市、それにカルミアから聞いた断片的な情報しか知らない。薬を取り扱ってくれるってなら興味も多少は湧いてくるがそんなに世の中甘くない。

そして傷を治す場所という事で魔物等の侵入を防ぐ結界に重ねて浄化の魔法や何か悪しき者を浄化するとか眉唾っぽい魔法もかけられているらしい。実際中に入っただけで少し気分が悪くはなってきた。

「エトリオ=コールとレッダ=ナーサムってのここにいるか?」


「はい。お見舞いの方ですか?」


「そんなとこだ。病室?ってのはどこだ?」


「申し訳ありませんがお二人とも面会謝絶中でして…」


「ああ、そう。じゃあいいや」


「えっ」

対応してきた男の頭を掴むと袖口から藍色の粘性の液体が出てくる。もがく事も悲鳴をあげる事もなく一瞬で全身を藍色の液体に包まれた後、何事も無かったかのように元に戻る。

「さっさと案内しろ」


「やれやれ。相変わらず人使いが荒いね」

和かに男性は前を歩いていく。話なんぞ聞かずに最初からこうしてりゃよかった。そして一つの病室の前に着くとここだよと指を指す。

何やらカルテと呼ばれる紙に事細かに能力やその他情報等が載っている。面倒臭そうに4はそれを読み始めた。

「エトリオ=コール。帝国出身。んーと…固有技能は剣製(ソードワーカー)。あらゆる剣を作り出すが魔剣や神剣等は作れない。一応バルバトス王からすれば君の下位互換かな?」


「言いたかねえが下位互換なら要らねえだろ」


「それもそうじゃないみたいなんだ。どうやら彼の言う血操術。およそ血液を操ると言う事柄から掛け離れた能力でね。取り込んだ血液から他者の能力を読み取り再現するらしいが取り込んだ能力を他者に分け与える事も出来るらしい」


「へえ」


「つまりは部下の強化にも繋がる。まあピエトロ君の能力や君とエマちゃんのは自分用だと思うけどね。他のは殆ど部下に分け与える用の能力だと僕は考えてるよ」


「…なあ、4」


「ふふふ、気付いたかい?そうさ。ピエトロ君の能力は僕にも擬態できないし君やエマちゃんはそもそも能力すら持たないスカだ。

でも覚醒者は君の体液…まあ今の君ではない君の体液か。まあそれはいいさ。だが、仮にも彼が何かしらの能力を発言したとしたら?気にならないかい?果たして彼は7人目の覚醒者となるのか?それとも失敗して化け物になるか、或いは運良く何も発現しないか?一体どうなると思う?僕はそれが楽しみで堪らないよ」


「いい趣味してんな」


「生みの親譲りさ。さっさと回収しようじゃないか。僕は早く結果が見たいな」

そう言って勢いよく扉を開ける。中にいた女性は一瞬驚いたが瞬時に手元に剣を創り出す。

そんな事しても無駄だと言うのに。

女性が首筋に深々と刺さった注射器に気付いた時には既に薬液は体内に入り急激な睡魔に襲われる。

「ぅ……」


「…よし。次行くぞ」

そのまま注射器で血液を少し貰う。

「さて、次の部屋へと向かうとしようか」

問題なく。次も終わらせた。

しかし襲われる心配がないにしろ警備くらいはしといたほうがいいんじゃないかと思った。何せ今しがた患者が襲われたと言うのに誰一人気付くことは無さそうなのだから。



「おい、さっき食った奴まだ生きてんなら適当に記憶書き換えてそこら辺捨てておけ」


「わかったよ。それで?あと1人かい?」


「ああ。そっちはまあなんとかなる。休んでていいぞ」


「了解」

小瓶の蓋を開けると男を吐き出し中に戻る。次はたしか宿屋だったはずだ。

宿屋といっても様々な種族が泊まるためにちょっと小さな城の様な見た目ではあるが。

「まあ、恩は売ってあるから快く分けてくれんだろ」

勝手に宿屋に入っていく。ここの場合は格安で設備も充実しているが仮に殺された場合は責任を取られないらしい。文字通りの意味でだ。ロビンの野郎がアイデア出して作ったらしいが蠱毒みたいな宿だ。結局強い奴が上、弱い奴が下を体現したような宿屋だ。いい部屋が欲しけりゃ前の借りてる奴を倒すか殺すかが手っ取り早い。流石にどうかとは思う。

そんな一室の中に一際倒れ込んでいる人や亜人の数が多い部屋がある。全員生きてはいるようだが、全員どこかしらの体の部位が凍傷になっており放っておけばそこから腐り落ちていくだろう。

「た…助けてくれ…」


「どうせ俺に負けたから弱えと勘違いしたんだろ?ましてや満身創痍どころかほぼ死んでたからな」


「ぐっ…金なら…ぐわぁぁぁ!!」

凍傷になっていた指先を踏みつけると何やら簡単に指先が落ちてしまった。

「金があるならリスクを犯さずにそこそこいい宿取れただろうよ。アホなのか?」

気絶した男を転がすと扉を開ける。人間用…と言うよりは人間ほどのサイズ専用の扉を押すと極低温の風が中から吹いてくる。眼帯越しに眼孔に風が入ってくると脳みそが冷やされている気分になりあまりいい気はしない。

「…誰だ?」


「よお、フロスト」

部屋の主人に声をかけると地面から巨大な氷の腕が生えてきて俺を握りつぶそうとする。

同時に氷で出来た顔が訝しげにこちらを見てくる。知り合いだとわかるとその手を離す。少なくとも意識は保っていてくれたらしい。せっかく治したばかりだと言うのにまた腕が折れたが。

「友よ、これは一体どう言うことなのだ?私は確かに貴殿の一撃によって頭蓋を砕かれ戦乙女(ヴァルキュリア)達によってオーディン様の元へ…ヴァルハラへと、この魂を誘われる筈だった…にも関わらずにだ…」

極寒の地と化した宿屋の一室の中で凍て付く吹雪が吹いたと思うと目の前に先刻前に死闘を繰り広げた巨人が立っていた。

その身は最早人の形となっておらず所々欠けて足りなかったり変な場所から腕が生えてきていたりと異形種に近い形状になってはいるもののしっかりとこちらへ視線を向けている。

「半覚醒者とか呼ばれてる連中を知っているか?覚醒者ほどではなくとも人知を超えた力を持ってるなんて言われてる。手前も小耳に挟んだ事位はあるんじゃねえか?」


「あ、ああ…」


「他にも金級や白金級の冒険者がそんな風に呼ばれてるが…手前の場合は違う。ロックとリム、あとダン=バネシアと同じだ。俺の体液を体内に入れることによって様々な作用が働く。まあ永続的なドーピングのようなものだ」


「なっ!?」

動揺したせいか一旦体が砕け散る。今度は少しだけ元の姿に近しい体に再構築されながら。

「ならば私の身に起きたこの現象も貴殿の体液の影響なのか?此れでは新たに生まれてくる我が子も新たに迎える妻も抱くことも出来ぬではないか」


「…巨人の相手はやっぱり巨人なのか?」


「いや、霜大狼(フロストウルフ)や勿論人間や獣人…あとはドワーフなどもいるな。巨人というのはどこまで行っても力を求める種だ。血の純潔さなど関係ない新たに生まれてくる子がより強くなればそれで良い。現に私の父は霜の巨人だが母はガルムと呼ばれるニブルヘイムの番犬だ」


「へえ。全然犬らしさねえけどな」


「番犬だからと言って犬型と言うわけではないぞ?そもガルムと言うのは種族名と言うよりは役職名に近しいしな」


「そうなのか?じゃあ結局手前の母親はなんなんだ?」


「狼だ」


「…ああ、そう」


「ただの狼ではないぞ。あの神殺しの狼フェンリルの血族だ。だからなのか母上を見てると心の底から恐怖心が湧いてくる。同時に私を産んでくれた母親としても最高に愛おしさもあるがな。まあ、会えるのは年に数度だけだが」

狼も犬も大差は無いと思うが面倒臭そうだから言及するのはやめておこう。両親の話なのはわかるがそっちの地方の有名な奴を言われたところで知る由も無い。まあ、気分良くさせておいた方が後が楽そうだ。

「じゃあ手前の嫁さんの種族も違うのか?」


「そうだな、様々な種族がいるが妻が15人。子が27人。それに国に帰った後に新たに2人の者と婚儀を行い、更に今受胎している者が3人いるな」


「興奮剤とかいるか?」


「いらぬ。生憎と新たに妻と迎える者の1人はサキュバスという魔族らしいが…」


「ああ、そう」

北欧は確かカルミアの故郷の方面だ。たしか刻印魔法や幻想魔法とか呼ばれる未知の魔法があるらしい。薬なんぞここいらより先に衰退して子供の与太話にすら出てこないかもしれない。

「貴殿は薬師なのか?ならば受胎率を高める薬などは作れるのか?或いは媚薬等でも構わぬが」


「行為に変化でも求めてんのか?」


「違う違う。単純に我らが国では薬は信用に足るものだと理解されている」


「なに?」


「そも、こちらがおかしいのだ。やれポーションだ、薬だと分けているのが滑稽でならぬ。ポーションを信じて薬を信じないのはおかしいではないか?」


「…手前、いい奴だな」


「む?そうか?」


「ああ」

友人と自称しているがそれも悪くないかもしれない。

「ところで、だ…その…私のこの状態をどうにかしてくれないか?」

先程から感情に反応して体が様々な形に変化していく。見ていて飽きがこない。

「取り敢えず自分自身をしっかり認識すりゃどうにかなるんじゃねえのか?」


「うむ」

こんな能力のやつ見たことないがまあ大体、能力に困惑して自分の姿がわからなくなってるのだろう。

予想通り足元からゆっくりと元のフロストが出来上がっていく。それと並行してやっと部屋の温度も下がってきた。流石にそろそろ喉が凍りついてきたので助かった。

「多分生殖機能は失ってねえと思うからな。これから産まれてくるガキにどんな機能があるか非常に興味深い」


「私の子らは貴殿の実験動物ではないぞ?」

完璧に元に戻ったフロストは顔をしかめながら言ってくる。なにを当たり前の話をしているんだ?殺してしまったらその先がない。そんな勿体無いことするわけ無いだろ。

「で、だ。ちっとばっかし血液を分けてくれないか?手前が信じてる薬に色々と使いたいんだがな」


「それは構わないが…1つ良いか?」


「うん?」


「貴殿は何者だ?私がこうなったのも貴殿の体液のお陰なのだろう?」


「まあ気にするな」


「好奇心猫を殺すと言うやつか?」


「似たようなもんだ」


「まあいい。さっさと採ってくれ。明日の貴殿の闘技を観たら国に戻されるのでな」


「負けたら罰でもくんのか?」

ほんの少し考え込むが別にいいかとこちらを見て当然だと言わんばかりに一言。

「まあ子供のうち何人かが殺されるやもしれないな」

神皇国ユグドラシルは思ってた以上にやばい国らしい。

「貴殿を殺せとの命令を失敗し、剰え負け竜種の卵を入手出来なく何一つ成し遂げられなかった。妥当な罰だろうな」


「そんな国捨てて他に行きゃいいだろう。親ってのはガキを大切にするもんなだろ?」


「そうは言われてもな…大きな恩があるのだ。嘗て私の種族は多くのユグドラシルの民を傷付けた。本来ならば私達は全員処刑か或いは戦闘奴隷にでもされていた…が、確執こそあったがオーディン様やそれに…トール様は我々を許された。今後はお互いに手を取り合っていこうと…ならば私は彼の方々の為にこの命が尽きるまで忠義を尽くそうと思った」


「ここ数年じゃユグドラシル内部の紛争なんぞ聞いた事ねえぞ?」


「ああ、それは単純に私達が長寿で貴殿らが短命と言うだけだ。気にすることはない」

記憶違いで無ければエマの生まれたのが500年前、世界規模の戦争が起きたのが380年前、ユグドラシルでの内戦が260年前。つまり今目の前の巨人は少なくとも300年近く生きているのか。たしかに人間からしてみれば気の遠くなるように前の話だし、フロストにしてみれば少し前の話なのかもしれない。それでもこいつ268歳だったはずだから8歳の筈だ。

「もしかするとだが…貴殿が私から血を採ったのはこの国の王の頼みか?」


「うん?まあそうだな。ピエトロと似たような能力を持っているらしくてな。まあ今の手前の能力を再現できるかどうか見ものだな」


「血によって薄れていったが、先祖達は常に吹雪に身を守られ触れたもの全てを凍りつかせる白魔の化身と恐れられていたらしい」


「じゃあ先祖返りだな。さっさと使い方を覚えてオーディンとやらに自身の有用性を示せ」


「心配してくれているのか?貴殿は優しいな」


「…脳味噌少し吹き飛ばしちまったからイカレたか?」


「はは、今も昔も私は私のままだ」

これ以上は話しても意味はない。さっさとロビンに血液を渡すとしよう。

序でにピエトロに関してもいい方法が思い付いた。何言われるかは知らないがまあ奴に見合った報酬をくれてやればいいだろう。

「じゃあ俺はこの辺で失礼するとする」


「そうか…今度是非私の故郷に来てくれ。美味い酒を用意しておこう。それに妻や子供たちに貴殿を紹介したいからな」

よほど気に入られたらしい。

「生憎だが俺は下戸なんだが…まあ、あんたのガキってのも興味がある。そのうち行かせてもらうとするよ」


「ああ!明日の闘技楽しみにしている」


「そうか」

扉を開け部屋を出る。盗み聞き…と言うわけでないのだろうが扉の前で数人の男たちが膝をつき恭しげにこちらを見ていた。

「…ああ、クロウの影武者どもか」


「「はっ!」」


「これをロビンに渡せ。ピエトロの死体も直ぐにそちらへ飛ばす。卵を渡す日はなるべく早くしろと伝えといてくれ」


「「御意にっ!」」

いちいちうるさい連中だ。

「さて、次はピエトロだな。飯食ってるってどこで食ってんだが…」


「じぇり!」


「うん?ああ、3頼めるか?」


「じぇりる!」


「んじゃ頼んだぞ」

近くにあったベンチに腰をかけると昼時のせいもあって人通りが多くなっている。何人かチラチラとこちらを見てくるが気にせずに人通りを眺めている。

「……あ、目ん玉と右腕いい加減治さねえと」

普段慣れてない分眼球を治すにはかなり時間がかかる。明日には治るだろうし問題は特にない。

右腕はすぐ治せるにしろあの化け物じみた武器のせいか異様に治りが悪い。

そういえばフロストはあの欠陥品のこと知っていたみたいだしもしかすると何かしらの呪いが付与されていたのかもしれない。

「いや、むしろその呪いの影響で武器が強化されていたのか?強すぎる武器には反動があるとかか?」

どちらにせよあまり高い頻度では使いたくない武器だ。

「じぇり!」


「うん?見つかったか。案内頼む」

面倒事はさっさと終わらせよう。

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