三十六匹目 地下都市の主人
なんか今日ふと見たら閲覧数500超えて二度見三度見くらいしました。握州です
「確かここら辺だったよな?」
「じぇるぅ…」
「疑ってる訳じゃない。だが、目の前の光景を見ろ」
アナグラがかかと落としをして出来たはずの穴が…消えていた。
それどころかいくら攻撃してもまるで底が抜けない。
さて、どうしたものかと考えて入れると急に体が光り始める。いや、自分だけじゃなくて分体になってる3号も全てだ。もしかしすると何かしらの魔法での攻撃か?
いや、なんか足から消えていってる。破壊魔法かなにかか?
「じぇ、じぇり⁉︎じぇるぅ!!」
「いや、もうここまできたら無理だろ。しくったなー」
もう既に体の半分がスライム達もほとんど消えていってる。大規模殲滅魔法か?どうしようもないなこれ。
そして俺は消えてなくなった。
それで数秒後知らない場所にいた。真っ暗な闇の中に水色の淡い光がぼんやりとある。いや、なんか浮いていた。
しわくちゃの肉塊…脳みそ?
なんでこんなところに?いや、そもそも誰のだ?
「………!」
「なんだこの音?しかしなんなんだこの部屋…なんもねえし」
「ア…べン…」
「ん…?気のせいか。3号、取り敢えず元に戻れ」
「じぇり!」
声が聞こえた様な気がした。頭でも打ったか?3号が小瓶に戻るのを確認すると今度は5号を出しどうにか脱出を図る。
そこまで広い部屋ではないらしい。なんの材質で出来ているのかは不明だが取り敢えず攻撃でもしてみよう。
「5号、蒸気杭腕は気にするな。本気でやれ」
「じぇりぃ!」
腕にまとわりつきガントレットに変化すると思い切り壁を殴りつける。
ゴガンッ!
轟音は響き渡ったが無傷だった…おかしい、今俺の手はぐちゃぐちゃになっていて5号の重さで落ちそうなのに壁には傷の一つも無い。なんてこった。5号も萎えてふにゃふにゃになってる。
そりゃあ、全力で攻撃して嫌いな熱も我慢してるのにこの結果だとそうなるな。
「こうなるともう脱出できないな。さて、どうするか。まさか誰のか知らねえ脳みそと死ぬことになるとはな…いや、脳みそだけじゃ生きていねえか」
「失礼な話だ。僕は肉体を捨てても尚こうして生きているというのにな」
「ほう、それはご大層な…ん?誰の声だ?」
「君の言う脳みそのだ。人をなんだと思っているのだ。貴様は」
「…脳みそはすくなくともそれ単体じゃ話しゃしねえよ」
「それは君の固定観念だろう?現に目の前に話す脳みそがいるじゃないか」
「固定観念云々の問題じゃねえよ。で、魔法か?どっかから声だけ飛ばしているのか?」
正直声は聞こえてきてもそうとしか考えられない。だって脳みそだし。目の前にあるの脳みそだし。なんかよくわからない水色の液体によくわかんない管刺さってる脳みそだし。
「まあ、君が疑り深い性格なのはわかったさ。さ、座ってくれじっくりと話し合おうじゃないか」
「誰だってこうなる。で、この場所はなんなんだ。なんで地面から椅子が出てくる。 」
「それは僕が作った部屋だからだ。ああ、自己紹介した方がいいかい?」
「ああ、まあ…うん。すれば、勝手に。俺早くこの部屋から出たいのだが、出してくれないか?」
「おや、ゆっくりと話そうじゃないか。君や特異個体ノルド…いや、カルミア=フォリナスにも関係あることだからね?アベン=フォミューラ君?おっと、荒っぽい」
巨大な戦鎚に擬態した5号を振り下ろすがどうやらこの脳みその入っているガラスも相当の硬度らしい。ほんの少し傷がつく程度だ。
久しぶりに腹がたつ。こうなったら意地でも引きずり出してやる。
「おっと、ちょっと…あの、待って…落ち着いて、落ち着いて。僕が軽率に名前呼んだのが悪かったから!サカマキの方が良かったかい!あ、やめてさっき以上に強い。ちょっとやめようか!」
「うるせえよ、脳みそが。俺の名前はアベンだ。それ以上でもそれ以下でもない。わかったら大人しく死ね」
「わかった!わかったから僕が悪かったから!だから、一旦落ち着こうか?な?」
「チッ…次舐めた真似したら殺すからな。あと、俺の名前で彼らの家名を汚すな。そして質問だ。なんでお前が知ってる?」
「まあ、その為にまずは座って話をしようか。と言っても僕の昔の話なんだけどね」
「あ?」
とにかく少し殴ったら気分も晴れたことだし座ることにしよう。こいつの言う通りにしないと出れなさそうだし。
先ほど焦っている様だった実際に焦っていたのか疑問だ。ガラスのヒビが治っていってるようだし。
「まずは名乗らせてもらうよ。僕の名前はナターリア=オーロラ。天才科学者であり、今の世間で言う帝国の王族、貴族虐殺事件の黒幕さ。後輩君?」
「悪いが俺はまだ17だ。500年も前に先輩なんざいねえよ」
「まあ、僕が勝手に言ってるだけだからね、病魔を招く者君?今から君にはなにがあったか僕の過去を見てもらうがね。一応端的に言わせてもらうよ。僕の愛娘、ミシェリー=オーロラ。いや、機械仕掛けの偽神といった方がいいかな?彼女こそが僕の最高傑作であり僕の代わりに連中を殺した者だ」
「機械仕掛けの偽神…?エクスマキナ…エマか…おい、まさかお前、俺に手前のガキの面倒見させようとしたのか?」
「まあ、ね。本当は君みたいな養殖クズに私の可愛い可愛い愛娘を預けるのは心が痛かったが…君の様に教会にでも預けたいが…色々と込み入った事情があってね…まあ、とにかくこれを見てくれ。あ、拒否権はないから」
座った椅子から拘束具が現れる。完全に気を抜いて簡単に捕まった。
合図…いや、まあ脳みそは相変わらずガラスの中だが上から何かが垂れ下がってくる。
黒い板。たしかテレビとか言うやつか?
「正確に言えばモニターさ、僕の過去の記憶を映すためのね。さあ、ゆっくりと見てくれ」
「お前、手足拘束されてゆっくり見れるわけないだろ」
「前中後編であるからよろしくね。間に十分間休みを入れる。あ、質問は随時受け付けているよ。じゃあ、開幕。リリウム上映して」
「一応言わせてもらうが、お前の娘今解剖一歩手前だからな」
〈命令を確認 マスターの記憶回路に接続 完了 次いで映像化 完了 写します〉
真っ黒な板に光が灯るとどこかの光景が映し出される。
『僕は昔から周りから異端と呼ばれていた』
ナレーションは自分で行なっているらしい。しかし話くらいは聞いてほしいものだ。
昔から気になっていた。なぜ火は燃えるのか?水とはなにか?なぜ風は吹くのか?だが、当時は魔法適正を持つものが現れ始めた時期。そんなことより魔法について学ぶしかなかった。そんな時だった。僕が出会ったのは
前編〜アリグナクとの出会い〜
「質問いいか」
「どうぞ」
「これ他の奴にも見せてんの?」
「いや、今作りながら映してる」
もう何個か言いたいことはあるが、もう面倒だからいいか。
そうしてまた映像が動き始めた。
もうなにも言いたくない。
「お前、どうしたんだ?」
「見てわかんだろ…死ぬんだよ…」
「そうか。辛いことがあったのなら聞こう。ほら、早く起き上がれ」
いつからか旅をしていた。勉強が嫌になったからか?幼馴染に魔法適性があったからか?どちらにせよ計画性のない旅などすぐに終わりを迎えた。
どちらにせよ出来のいい兄弟に比べられ、幼馴染にも振られ、周りからは腫れ物扱い。死のうと思ってここまできた。しかしそこで彼と出会った。
褐色の美丈夫はその見た目に似合う様な笑顔を向け色々と食べ物を取ってきてくれた。自分の傷を最初からそうならなかったかの様に治した。食べられる果物や植物のことなど知らなく口に含めば簡単に死ぬかもしれなかった。情けないことに毒で苦しみたくはないと口にしなかったのだ…
美丈夫は自分が回復したのを見ると満足そうに笑いその場を後にする。しかし与えられただけではダメだ。しっかりと恩を返さなければ。それにここから先、生きていける自信がない。
「お、おい!待ってくれ!」
「うん?どうした?」
「あんた名前は!助けてもらった恩だ!その…ついていこうと思う。あんたに」
「俺は… いや…アナグラだ。よろしく頼む。お前は?」
「俺はナターリア。ナターリア=オーロラ。ナターリアって呼んでくれ。で、あんたはどこまで行くんだ?恩をなにかしらで返したいからな」
「恩?はは、いらないいらない。俺は竜だからな人に何かを与えるのは当たり前のことだ」
自分のことを竜というアナグラを最初のうちは狐疑の目で見ていた…が、彼と旅をするうちに彼の特異的な能力を見て仮にも自称竜なのだからとてつもない物だった。
ある日、彼に質問してみた。能力のこと、それになぜ人を助けるのか。
すると彼は笑いながら一言。
「能力も何もかも、お前ら人間を喜ばすために使いてえ。感謝してくれれば俺はそれでいいんだ」
そしてゆっくり立ち上がると彼の体が膨らんでいく。
それは俺が竜と初めて友になった日。
アナグラの体は見る見るうちに大きくなり爪や牙、そして翼など生えてくる。やがて変化が落ち着いた頃には御伽噺の竜がそこにいた。茶色い鱗は月明かりを受けると青や緑に輝く。驚きよりも先に見惚れてしまう。
彼は本物の竜だったのだ。だからといって今までの関係が悪くなるわけではない。友として彼の側で彼の行うことを見ている。人々に感謝されるのは嬉しいことなのだろう。彼の顔を見ればいつも分かることだった。
けれども、所詮は人と竜。相容れぬ存在だった。
「ナターリア。ここで別れだ。人間であるお前はここから先は生き残るのが辛い。俺の能力を少し譲渡する。そしたら国に戻りその力をお前やそして周りの人のために使ってやれ。
我が名はアリグナク。地竜アリグナク。人が友、ナターリア=オーロラよ。我が力の一端と我が真名を受け取れ」
ずっと一緒にはいられない。唐突な別れではあったが彼に貰った力は大いに自分をやる気にさせた。いつか彼が自分の国を訪れた時に驚かせてやろう。
「では、ナターリア。またな!」
「ああ!いつか遊びに来いよ!」
固い握手をすると彼は行ってしまう。だが、大丈夫だ。彼に貰った力で…俺は何とかやっていける。
可能性を書き換える。それは例えば魔法が無くもう一つの何かしらの事柄…それがあったら。ふとそう思うと様々な言葉が頭の中に入ってくる。それが科学の始まり。
一時は教鞭を振るったこともあった。確かに学びそれを生かしたものもいた。が、それは後に自分にとっても災いのもとにもなったのをその時の自分は知らなかったのだ…
「というわけで前編終わりだ。トイレ行きたかったら言ってくれ。出すから」
「…おい、何だこれ本当に」
「だから言ってるだろ。僕の過去の話さ。これでもかなり省略したんだよ?」
「アリグナクとお前の出会いのとこ削ればもっと短く済むだろ。そもそも俺とミアに何一つ関係ない」
「僕の能力がどんなものかよくわかっただろ?だからさ必要だ。それに他にも見せたいものがあったから。お前も見ただろ?彼の美しい鱗を」
「くそみ〈警告 それ以上の発言は禁止されています 〉」
「さて、休憩はいいかい?次は中編、僕の結婚編だ」
一つだけ言いたいことがある。しかし何故か今度は猿轡の様なものをはめられて話すことが出来ない。
だから、心の中で言わせてもらう。こいつのあまりの場違いさはどうにかならないのか、と。どう考えても今から殺し合いに行くというのに、恐らくカルミアがまた酷い目にあっとるというのに、自分の愛娘が解剖一歩手前だというのに。この男はなぜこんな悠長に自分の過去を俺に見せているんだ?違和感しか感じない。
「さて、タイトルコールはしない方針で頼む。リリウム!」
〈命令を確認 記憶回路からの読み取りを開始 完了 映像化 完了 写します〉
暗闇の中映像を見る。目に悪いななどと考えながらも見ておかねばならない。
というかだ、ナターリアは脳みそだけだから視覚はあるのか?意思の疎通は可能だから多分視えてるのだろう。
「お、おおおお俺とけけけ…結婚してください!」
その頃の俺は何もかもが上手くいっていた。科学が国から、王から認められ俺は第一人者となった。嫌だったが貴族の娘三人と結婚していた。正直な話あいつらはどうでもいい。国に縛る為もあるだろうし、両親は自分の家が貴族の仲間入りするのが余程嬉しかったのか直ぐにしろなんて言ってきた。それにもう許可は取った。結婚するのになんでわざわざ王様の前で頭を地面に擦り付けなきゃならいのかはいまだにわからないが構わない。
幼馴染であるそばかすだらけの彼女は目に涙を浮かべながら承諾してくれた。
彼女の肩書きは第四夫人となるが自分が愛しているのは彼女だけだった。
上から当てられた連中など上っ面だけのいい連中。科学を自分の為、もしくは家の為にだけ利用しようとする者達。何度か彼女を私から引き離そうとしてきた。無論可能性を弄り因果応報の結果にしてきてやった。だからこそ明確に妻と名乗るあの3人が嫌いだった。息子や娘といって甘えてくる子供が腐った果実に沸く蛆の様で触りたくもなかった。
新しく自分の領土も作られ、自分の庇護下の都市…科学の最先端の場所を作る。そう、彼女と二人だけで過ごせる日々が本当に幸せだった…
彼から与えられた能力は可能性の書き換え。自分の思い通りに事が進むのはなんとも楽しいことであった。だからきっと調子に乗っていたのだろう。第一から第三は放っておいて常に彼女を側にいさせ仲睦まじく暮らしていた。もう少しで第一子も産まれる。彼女と自分の子だ。他の連中が腹を痛めていた時は研究の方が大切だと思っていたが、今は違う。
もう研究など手を付けられない。彼女の膨らんだお腹に触れもう少し、もう少しと待っていた。時折自分が父だとわかっているのか腹の中から小さな衝撃もきた。何度もアリグナクに感謝した。本当に彼のおかげだ。
しかし、嵐の前の静けさとも言うべきか…それは起こった。いや、起こされた。
珍しく外回りの用事が出来た日。妙な胸騒ぎがした。生まれて一度もこんなことはなく何故か無性に出かけたくなかった…しかし行くしかない。信用できる兵士に彼女の事を頼んだ。
その日は雨、泥跳ねなども気にせずに研究所へと向かっていた。何でも今日は第一から第三がこちらへと来るらしい。連中はこんなみすぼらしい都市より自宅の方が好きらしく別居だ。正直あの連中と毎日会っていたら胃が持つ自信がない。
本来ならすぐに終わる筈なのにあれやこれやとやっていたらかなりの時間がかかっていた。
急いで自宅へと向かう。この町で一番大きな建物ではあるが実際はほとんど研究に使っている為普段使っている部屋は限られている。
それに研究所はまた別にある為面倒なことこの上ない。
そして自宅へ着くと直ぐに会いたくないどころか顔も見たくない連中と会った。
「あら、旦那様。おかえりなさいませ」
「ぱぱー!」
第二夫人が優雅に一礼する。それに連れてきたガキもこっちにかけてくる。
名前?興味ないし覚えているわけない。会ったとしてもお前と息子ですむ。
「急いでるから後にしてくれ」
無視して彼女の待つ部屋へと急ぐ。もし、これが彼女の運命ではなく…俺の能力だとしたら…それは高ければ高いほど落ちた時に強い衝撃を生む。
「おお、ナターリア君。残念な知らせがあるのだが…」
部屋に入ると複数の人間がいた。貴族付きの兵士、豪奢な服を着た初老の男性、二人の女。
そして言葉を投げかけてきた男は残念そうな顔をしていてもその面にはいつもの薄ら笑いが見えていた。
確か…どいつかの父親。自分の義理の父親となる男は帝国内でもあまりいい噂がない。
「彼女がどうやら、間違って君の作っている薬品を飲んでしまってね…?まあ、あとは見て貰えばわかるよ」
「は⁉︎お、おい!どういうことだ!」
駆け寄っていた女どもを突き飛ばし駆け寄る。
…なにが、間違ってだ!彼女は確かに生きてはいた…がもう長くないのはわかる。薬品を飲んだ?ふざけんな。身体中に引っ掻き傷や痣ができている。そばかすだらけであまり見ないでなどと言っていた彼女の顔は腫れ上がり唇も真っ青になっていた。
「ッ‼︎」
「だが、まあ構わないよね?だって君はこの国で今や国王の次に権力を持っていてもおかしくない。そんな男なんだからさ。たかが平民の女と生まれてくる前のガキが一人死んだところ」
最後まで聞かなかった。研究ばかりしていたせいでひ弱になった腕でその男を殴りつける。
殺してやる、どいつもこいつも。女共が騒いでいる。騒ぎを聞きつけた他のガキやもう一人の女もやってくる。どいつもこいつも気色悪い。俺に話しかけるな、俺に触るな。汚ねえ肉袋どもが。
俺は捕縛された。本当は殺してやりたかったがすぐに兵士に捕まった。
貴族に手を出したと言えど末端の妻が死んで半狂乱になったなんて言われすぐに釈放された…
信用できる兵士も瀕死の重傷を負っていてすぐに亡くなったらしい。
だが、そちらにまで手は回らなかった。ベッドに横たわる愛する妻はもう自力で動くこともできない…
「なあ、頼む!死ぬな…死なないでくれ!俺を…一人にしないでくれ!」
「……」
もしもあの時我慢出来ていれば…治せたかもしれない。それに何度も可能性の書き換えを行なっているというのに彼女は治らない。命に関わることは無理なのだ。ゆっくりと命のロウソクは消えていく。
「ナタ……ア…」
「⁉︎あ、ああ!なんだ!俺はここにいるぞ!」
「ごめ…ん…ね」
「何言ってんだよ…謝るのは俺の方だ…あんなにお前を愛していたのに…奴らに…」
「……」
「俺な…憧れてたんだ…もしも俺に魔法適性があればお前の側で平穏に暮らせたかもしれない。アリグナクに会わなければただのナターリア=オーロラとして生きていけたかもしれない…」
「い…いの…だから…さ…いご…に…」
笑ってとそう言い残し彼女は死んだ。冷たくなっていく体…もう彼女は笑わない。
灰色の髪の女性。自分がこの世で愛したたった二人だけの存在。
「リリィ…ミシェリー…愛しているよ…今までも…これからもずっと…」
「……」
「やあやあ、流石に500年前の自分とは言え恥ずかしいな」
「チッ…んで、そんな平気なんだよ」
「どうした?人を大勢殺しても面の皮の厚い君が珍しいことじゃないか?」
「二人のこと知ってんならわかんだろ?」
「ああ、もちろん。だからこそ君に見せた。君ならわかってるはずだから。さて、後編に行くか。リリィ頼むよ」
この都市の名前の元になった女性がいたとは思わなかった。自己進化型都市リリウム。初めてここを訪れた時に町が動いたのもそのせいか。
〈命令を確認 記憶回路からの読み取りを開始 完了 映像化 完了 写します〉
…ほんの少しこいつの考えていることがわかったような気がした。




