第7章 family?
電気のつけられた部屋は白い家具を照らしている。
「わー!」
走っていった銀は大きな白いソファにぼすんと音を立てて座った。
「……ふかふか」
数回ギシギシいわせてから涼太を見た。
こっちに来いという意味らしい。
近くに行って座る。
銀が笑顔になると、今度は明日菜を見た。
明日菜が笑顔になって銀の隣に座った。
銀を挟んで両隣に座ると、まるで家族みたいな感じになった。
銀が目を伏せて唇を震わせて笑うと両側の二人の手を取った。
そうするとまるで、左から右へと縁が繋がったように、一直線になった。
でこぼこの背丈が何かの繋がりを表しているようにも見える。
「…りょーた、あすな。いっしょ」
三つの単語だけで全てを語る少女は不思議な魅力に満ちていた。
二人は体が光の靄で包まれているような気がした。
その途端、間抜けな音。
「ぐぅううううううう」
「…………」
「……銀?」
意外にも、声をかけたのは涼太だった。
「えへ……」
少し恥ずかしそうに笑った銀はそれを肯定した。
「お腹すいたな!何か食べるか!」
明日菜は元気にそれだけ言った。
銀が頷く気配がして明日菜は立ち上がる。
「…なに、作るんですか?」
涼太も立ち上がって明日菜に聞いた。
「______だ」
「?!…え、今なんて?」
「_______だ」
放送禁止用語…だと!?
こいつ…どんなダークマターを作るつもりだ…
「明日菜さん。貴方はキッチンには出禁です」
「なんで?!」
涼太は無視して銀に向き直る。
「危うく死ぬところだったよ銀。僕が何か作ってあげる」
明日菜はそれを聞いて子供のように不満を口にしてぎゃーぎゃー騒いでる。
「なーんーでーだーよー!わたしも作るー!」
五歳児のように手足をバタバタさせる。
「じゃあなんでモルタルって単語が材料にでてくるんですか!!」
「セメントよりちょっと高価だろ!」
「そこはなに一つとして関係ないでしょうが!」
「けんかはやめて!」
小さな怒気が二人を止めた。
「みんなで一緒に作るの」
小さな少女はけんかを止めた。
***
結局、3人でカップヌードルを作ってすする。
「…遅くなってから食べるヌードルって、犯罪級に美味いよな…」
「あすなは何て言ってるの?」
「夜ラーメンを食べると太るよ、って」
明日菜が涼太の足を踏んだ。
「痛いです明日菜さん…」
「なんのこと?」
「けんかはだめ」
また黙ってラーメンのすする音がした。