8.不屈と呼ばれる意味
「はぁっ?意味ワカンねぇ!」
そう言いながらもなんとか避けた。すると、仏像から人が降りてきた。
「すまんなぁ。まぁお前なら避けると思っていたがなぁ。」
それは、泰器だった。
「危ねぇだろぉ!何しに来たんだよ。」
「それはこいつらを捕まえに来たんだよ。そうじゃねぇとお前、ここから出られねぇだろ。そう言う事だ。お前らの邪魔はしない。零樹にも伝えておいてくれ。」
そう言うと、泰器が何やら造り始めた。誘拐犯達を押さえる紐だった。何も無いところから作られた。これが泰器の能力なのだろうか。するとその紐は誘拐犯達に絡みついた。
「これでもう安心だ。さっさと残りの3つを潰してこい。」
「言われなくても、分かってる。そいつらの拘束を解いてやってくれ、俺は急いでいる。」
「分かった。」
しかし、泰器は拘束を解こうとはしなかった。
そう言うと雅樹はすぐに出て行った。
「さてと、そこのショートヘアーのお嬢ちゃん何か言いたそうだが、何か?」
そう言われたのは姫睦だった。
「貴方何なのですか。急に現れて。どうして私達の拘束を解いてくれないのですか?雅樹を信用していますが、私達は信用されていないのですか?」
「お前みたいなやつを信用できるわけないだろぅ。もしかしたら俺達の敵かもしれないのに。」
「私達は貴方達の敵ではありません。それに、貴方はどうしてここに雅樹がいると分かったのですか。」
「うるさいなぁ。そんなに喚くなら殺してやろうか?」
「クッ!」
姫睦は黙るしかなかった。すると他のみんなも静かになった。
その頃、零樹はクラスメートとはぐれていた。沢山の人がいて車椅子だから仕方がないかもしれない。しかし、バスに戻ろうとすると人がかなり少なくなっている。どこに消えたのだろうか?零樹はそう考えるが、バスに帰らないといけない、と思い、急いで帰った。
しかしながらクラスのバスどころか全てのバスがなくなっていた。(帰れないのにどうやってバスを移動させたのでしょうか?)とりあえず中に行き手掛かりを探そうと戻ったとき、そこに人はいなかった。(あれだけの人をどこに隠したのでしょうか?)すると、1人の男が背後から襲ってきた。
「死ね!」
「ッ!」
不意打ちだった。しかし、クライスのおかげでなんとか避けた。
「よく分かりませんが、覚悟して下さい!」
刃物を振り回している。しかし、零樹は車椅子の速度を上げて轢いた。体が宙に浮く。落ちると男は気絶していた。
「なんなんでしょうか?とりあえずこいつのスマホを漁りましょうか。」
男のポケットからスマホを取り出した。男の指でロックを外し、ラインを見ていると謎の地図が見つかった。またそこには謎の男達との会話があった。(この地図が誘拐犯のアジトですかね。行って見ましょう。)
全速力でとばすとすぐに着いた。しかし、その間誰1人として人間はいなかった。奥に進む入口が1つだけあった。そこには閉ざされた扉と手を置くところがあった。(怪し過ぎます。しかし、この扉全く開きません。仕方がないですが、手を置いてみましょうか。)手を置くと扉が開いていく。しかし、それと同時にナイフが2本飛んできた。手を離して避けると扉が閉まった。また手を置くと、ナイフが3本飛んできた。(これは避けてはいけないのですか...辛いですが受けますか。)ナイフ零樹に直撃した。目に当たらないように回避はしている。その後も進む。しかし、似たような罠がいくつもある。数え切れないほどある。日本刀、ハンマー武器の種類は沢山。終いにはナイフが16方向から。それを零樹は全て受けた。体はボロボロだ。全身が血まみれだ。車椅子もダメージを受けているが、クライスのおかげか、あまり傷ついていない。最深部らしいところまで来た。その扉にも罠があった。手を置くと扉が開く。その中には沢山の人がいる。ちょうど通れるぐらいの高さまで開くと、零樹がいた床が爆発した。
「ガチャン!」
車椅子が倒れる。前のめりだったおかげで前に進むことができた。誘拐犯達が一斉に零樹の方を向き、銃を構える。血まみれの零樹を見ると、一瞬だが怯んだ。しかし、男の1人が銃で撃った。
「バカン!」
なんとか回避した。
「根性のあるガキだなぁ。ここまで来れたことは褒めてやる。だがな、ここで死ねぇ!」
すると男の体は霧に包まれ見えなくなった。(彼もセカンドステージですか。ならバディはどこですか。)考えている暇はない。すぐさま車椅子から飛び降りた。しかし、敵がどこにいるか分からない。すると、背後から何か感じた。何もない。しかし、銃が見えた。
「バンッ!」
「ちっ、次は殺す!」
すると黒い影が出てきた。それは零樹達のバスを襲った物だった。しかし、それも霧に隠れる。連携攻撃してくる。どこから来るか分からないので避けられない。そんなとき、ポケットにタバコがあるのに気づいた。しかし、リュックからライターを取り出す暇なんてない。(どうします。走っても逃げられない。空中ならなんとかなるかもしれません。)零樹は足に力を込めて一気にリュックを取った。そして天井に付くぐらいジャンプした。
「なに!」
そこからライターとビールを取り出しタバコに火を付けた。すると、霧に包まれていた。男が見えた。
「見えたのならこちらのものです。」
「調子に乗るなぁ!」
男達は銃を連射する。しかし、零樹は全て受け止める。銃を受けながらも着地した。
「残念ながら、全く効いていません!」
「バケモノかよ。」
男が言い終えるまでに零樹は足に力を込めて蹴り飛ばした。相手のバディは高速で仕掛けて来る。しかし、そんなの関係ない。零樹の方が上だ。蹴り飛ばす。しかし、隠れようとした。その前に零樹はビールをかけた。すると、バディは消えなくなった。かなり焦っている。
「貴方達の負けです。」
そう言い終えるよう誘拐犯達を一掃した。
彼らが気絶すると、拘束されていた人の拘束を解いた。零樹は沢山の人から感謝された。スマホを見ると雅樹からのメールががあった。それを見るとすぐに泰器に連絡した。
泰器は零樹からのメールを見ると、すぐに出ようとした。しかし、その時ドアから守が入ってきた。
「守か。俺はでなければなんねぇ。用なら後にしてくれ。」
「そういう訳にはいかない。彼女達の拘束を解け。僕の妹もいる。そういうと、守は姫睦の元に駆けつけた。
「お兄様、すみません。」
「いいんだよ。辛かったね。」
「泰器、早くしろ。」
泰器は急いで拘束を解く。
「疑ったりして悪かったね。こちらの情報が上手く伝わっていなかったようだ。」
しかし、
「謝罪はないのか!」
6組の人達からそんな声があちこちから聞こえる。
「黙れ!拘束を解いただけでも感謝しろ!わざわざ君達みたいなやつのために来てやったんだ。光栄に思え。」
「お兄様言葉に気をつけて下さい。」
「クッ!すまない。しかし、泰器がいなかったら雅樹はここから出られなかったのは事実だ。」
彼らは反論できなかった。
「守、すまない。俺はもう行ってくる。」
「分かった。しかし、雅樹達には手を出すなよ。」
「当たり前だ。そんなこと分かってる」
そう言うと泰器は飛び出した。
「君達は僕に付いて来て。言っておくが、拒否権はないから。」
守は彼らを連れ出した。