23.雪のち雷
「お前、何をした...。」
「簡単♪お前の氷をキングで記憶してジョーカーで作り出しただけさ。わざわざ長期戦にしてくれて助かったぜ。」
彼らは雅樹に利用されたことに気付いた。まさか自分の技が仇になるとは思わなかっただろう。
「さあ、ここから反撃だ!」
雅樹は地面に拳を叩きつけた。そうすると、地面の氷が割れた。ロランはこの事態を焦り武器を投げてくるも、雅樹が氷の膜を張り、それを防ぐ。雅樹はまず初めにラウラに向かって行った。ラウラとバディは氷を投げるが雅樹はそれを跳ね返す。雅樹が接近すると、バディの周りに吹雪が吹いた。雅樹の視界は氷で塞がれた。が、雅樹の拳が紫色に光る。それと同時に、氷が溶けた。凄まじいエネルギーと同時に熱も発しているのだろう。ラウラはなす術が無かった。
「ラウラ、退がれ!」
ロランがラウラに命令する。すると、後方からロランのバディが突進して来た。
「上等だ!」
雅樹は全力で向かい打つ。雅樹の拳が激しく激突する。今回は雅樹の方が上だ。背後からすかさず、ロランが武器を投げる。雅樹は急いで羊を吹き飛ばして武器も弾き返した。彼らはもう焦っている。自分の最大の攻撃が返されたからだ。雅樹は拳に力を込め、彼らに向かう。
「クソがぁぁ!」
彼らも全力で向かい打つ。雅樹は拳を放つ。衝撃波が彼らに向かう。彼らはその攻撃を返そうとするも、その衝撃の大きさに耐えられず、飛ばされる。倉庫の壁を突き破り、外に出た。すると、羊のバディも消え、彼らは気を失っていた。雅樹は急いで姫睦のところに向かい、解放した。姫睦は気を失っていた。更に顔色が悪かった。氷が一面に張られた所にいると、普通の人間なら寒く感じるだろう。雅樹が姫睦を抱いて、運ぼうとすると、すぐに警察が来た。小型カメラで見ていた人達が連絡したのだろう。雅樹は警察に姫睦の身柄を引き渡した。ロランとラウラは既に捕まっていた。雅樹はその状況に安心した。雅樹は歩いて帰ることになった。
雅樹は家に帰ると既に零樹がいた。
「遅かったですね。何かありましたか?」
「疲れたからゆっくり帰っただけだ。」
雅樹はそう言うと、寝室に直行した。よほど疲れていたのかすぐに寝た。零樹は明日の試合の準備と学校の準備を雅樹の分までして寝た。
翌日、雅樹は寝坊ギリギリだった。急いで学校に着いたのでギリギリ間に合った。学校に着くと姫睦は休みだった。親が無理矢理休ませたのだろう。朝のSHRでは、先生から不審者に気をつけるように言われた。昨日のことがあったからだろう。しかし、その本質は知らないようだ。本質を知っている人間は少ない。セカンドステージの世界大会のこと自体知っている人が少ないからだ。雅樹は今日の試合のことで頭がいっぱいだった。ロランとラウラは出るのか?先生が話を続けると、彼らは脱走したそうだ。当たり前だろう。セカンドステージを普通の人間で勝てるわけがない。そうなると、彼らは試合に出るのだろう。
雅樹は授業が終わるとすぐに会場に行った。零樹は少し部活してから行くようだ。時間がまだまだあるからだ。雅樹が会場に着くと、零樹以外の人は着ていた。
「お前らいっつも速えなぁ。何でだ?」
「それは僕達は学校に行っていないからだよ。別に勉強しなくても賢いし。」
と、守が当たり前のように答える。
「ところで零樹は?」
「少し部活してから行くらしい。」
「今すぐ、ここに呼べ!時間が無い!」
雅樹は急なことに驚いたが、守の表情が本気だったため、すぐに呼んだ。
零樹は7時ぐらいに到着した。雅樹の時計はそうなっている。しかし、街にある電波時計を見る見ると、既に10時を回っている。試合開始まで残り5分ほどだ。雅樹が待っていると、すぐに対戦相手が現れた。そこにはロラン達もいた。瞬がある1人に食ってかかった。その男は長身の細身で全身が黒いコートで包まれている。
「お前生きてたのか。てっきり捕まったかと思っていたよ。」
守が瞬を止める。雅樹は泰器に何があったかこっそり聞いた。
「あいつの名前はロイド。ワシも詳しくは知らないのだが、去年の世界一斉ハッキングの犯人だ。しかも単独犯。瞬は1人でそれを止めたっていうか話だ。」
雅樹はその話を聞いて何となく思い出した。その事件により、世界各国の情報が流出し、テロが世界中で相次いで起こった。犯人については詳しく報道されなかったが、今ここで分かった。セカンドステージならではの技だ。瞬が揉めているうちに試合の開始時間になった。日本の一番手は零樹だ。それに対し、スペインはロイド。始めから本気のようだ。瞬は零樹に何かアドバイスをした。雅樹は詳しくは聴けなかったが、電気に気を付けろということだ。
零樹は試合が始まると、ロイドに蹴りかかった。遠距離攻撃が得意そうな相手なら近接戦に持ち込めば有利だろう。零樹の蹴りが直撃したかと思ったその時、ロイドの姿が消えた。そして、零樹の背後にいた。
「瞬!あいつはどんな能力なんだ?」
「あいつは僕に似ているけど少し違う。簡単に言うと、近くにある機械の中にある電気を自由に操れること。今のように外に出すこともできる。更に、電気がある場所にワープもできる。」
雅樹は近くに機械なんてないと思ったが、沢山あった。彼らの携帯だ。つまり、彼らの携帯のせいで零樹はピンチになっている。零樹は何度も攻撃を仕掛けるも、すぐに避けられる。零樹が動きを止めた時、天井から雷が降って来た。電気を集め、それを収縮して使ったのだろう。零樹はそれを避けようと試みるも、電気の速さには敵わない。零樹に雷が直撃する。零樹はその場に倒れ込んだ。何とか意識はあるものの、かなりのダメージのようだ。
「あいつ、去年よりもかなり腕を上げている。さすが世界13位だな。」
零樹はかなり追い詰められている。自分よりも速い攻撃に対処しようがなく、困惑している。(僕にに勝ち目はあるのだろうか?)