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STAGE :  作者: 木村 まさき
世界大会編
22/23

22.滑って転んで跳ね返して

雅樹は朝早くに学校から呼び出された。理由は分かっている。姫睦のことだ。零樹は呼び出されなかったが雅樹が学校に行くため、ついて行った。


学校に着くと守の両親がいた。その顔はとても起こっているようだが、焦っているように見えた。雅樹が近付くとすごい勢いで怒鳴って来た。

「君にせいで私の娘が誘拐されたんだ!どう責任取ってくれるんだ!もし、姫睦の身に何かあったら君は死刑だ!」

雅樹は予想はしていたが、ここまで怒鳴りつけてくるとは思わなかった。言われているだけで、言い返さないのは雅樹にとってはかなりのストレスだ。雅樹が我慢の限界に達して言い返そうとした時、零樹が止めに入った。

「まあまあ、落ち着いて下さい。焦っても何も変わりませんよ。それに、雅樹はここに呼び出したのは何故ですか?」

と、零樹がその場を落ち着かせるとともに、質問した。守の父親は冷静になって答えた。

「それは誘拐犯から『神崎 雅樹を連れて来い。場所は勢羅湾の近くにある錆びれたコンテナだ。目印に屋根の上に日本刀を立ててある。もし、他の奴が来たらお前の娘の命は無いと思え。』という連絡が来たんだ。」

雅樹はロランが復讐のために行ったのだと悟った。(にしても、心が狭いなぁ。1回負けたくらいでそんなに怒るのか?どっちにしろ姫睦のためだから頑張るか。)

「俺は行くぜ。別に止めてもいいが、俺は行く。」

先生が止めようとするが、雅樹は言うことを聞かなかった。なにしろ、守の両親がそれを望んでいた。雅樹は出発するときに、念のために小型カメラをつけられた。場所を特定してすぐに警察などを呼ぶためだ。


雅樹はかなり急いだため、20分ぐらいで着いた。雅樹は目印のあるところに着くと、罠がないか慎重に調べた。すると、剣が飛び出したり、斧が降って来たり、様々な罠があった。注意していたため、無事回避できた。その後倉庫に入ると、中には姫睦を含め、3人いた。他の1人はロラン、もう1人は初めて見た。小柄で冷たそうな雰囲気をしている。

「約束通り1人で来てやったぞ。何が目的だ?」

「私の目的はただ1つ!貴様に復讐するためだ!私をコケにしてくれたこと後悔させてやる!」

「馬鹿かお前は?仲間がいたのならその場でやれば良かったのに...」

雅樹が言い終える前にもう1人の男が飛び出して来た。雅樹はとっさに構えた。彼は雅樹の前に来ると立ち止まり、息を吐いてきた。(頭おかしいのか?こんな時にそんなことするなんて...)雅樹がそう思っていると、その息は急に冷たくなった。雅樹はとっさに回避した。すると、男は手から氷を出してきて、投げつけた。(こいつが姫睦を誘拐した奴の1人か。なら、容赦はしねぇ!)雅樹が踏み込んで殴り込もうとすると、足場が滑り、攻撃が失敗した。雅樹は周りを見ると、床が透明に光っていた。つまり、床一面が氷で覆われていたのだ。雅樹は立とうとするが床が滑るため上手く立てない。その時、ロランが笛を取り出して勢いよく吹いた。すると、倉庫内にあった武器が一斉に飛び出して来て雅樹の方に向かっていった。雅樹は払い返そうとするも、前にいた男が氷を投げてくる。これでは防御の体勢が取れない。雅樹は滑りながらも回避している。雅樹が端に追い詰められた時、2人がバディを解放した。ロランは大きな羊のバディ、もう1人の男は、楕円形で全身が氷に包まれたバディを解放した。いくら雅樹と言えども足場が悪い上に4対1とは分が悪い。雅樹はピンチだと感じた。だが、まだ秘策があった。しかし、それを行うためには攻撃を受けなければならない。一か八かの賭けであるが、やらざるを得ない。雅樹は負担を軽くするために一体でも多く先に倒そうとした。(まずは、近くにいる、冷たい奴と氷の塊。とにかく時間を稼ぐ!)雅樹は飛んで来る武器を回避しながら近付いた。しかし、相手は遠距離から攻撃を仕掛ける。間を縮めようとするも、回避と床により全く縮まらない。それどころか押し返されている。体力も失われていく。そこで雅樹は一旦離れた。雅樹は接近戦なら勝てると確信している。相手は遠距離から攻撃を仕掛けるに違いない。そうすると雅樹の思惑通り相手は遠距離から氷を投げて来た。それを雅樹はタイミングよく打ち返した。それに相手は驚き、回避できず、氷のバディに当たってしまった。雅樹は追撃を試みるが落ち着いて考え、攻めるのをやめた。それにより、相手も攻めるのを止めた。


両者が睨み合う中、その静かな時を切り裂いたのはロランのバディだった。大きな羊が氷で滑りながら突進してくる。これは避けなければまずい。雅樹はそう思い、横に避けようとするが、足に氷が巻き付いていた。足下が冷たかったため、これを感じることができなかった。その場から動けない。ならどうするか?それは簡単。正面から弾き返す。雅樹は拳に力を込めて全力で向かい撃った。しっかりと命中し手応えも感じられた。しかし、羊は動かない。やはり勢いが強すぎたようだ。雅樹は必死に踏ん張る。と、その時、真横から武器が飛んで来た。雅樹は動けない。さらに前方には巨大な羊。武器が雅樹に直撃する瞬間。雅樹の周りに、氷の膜ができた。それにより、武器は跳ね返された。さらに、巨大羊も滑って違う方向に突進した。

「おいラウラ!何してるんだ!こんな時にあいつに膜をかけてどうする。」

その冷たそうな男はラウラというらしい。

「違う...僕はやっていない。あいつが何かした。」

その時、雅樹がニヤッと笑った。






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