19.羊の楽曲
6月12日、週明けで学校が辛い。零樹は学校に行くことが楽しみでワクワクしている。しかし、雅樹は水曜日のことで悩んでいる。だが、気にしてられないと思い気持ちを切り替える。彼らは通学途中に守から次の対戦相手の通達を受け取った。次の相手はスペインだ。会場はスペインで試合は14日に行われる。守によると、スペインで強いのは3人いるらしい。また、中国よりもレベルが高く、少し厳しくなるかもしれない。彼らは何をされるかが心配だった。守の情報によると、スペインの1回戦の相手は試合が始まる前に数人が負傷して棄権したそうだ。不安を抱きつつ、学校に着いた。
雅樹は授業中に笛の音が聞こえた。何処から吹いているのかは分からない。しかし、その音はだんだんと近づいて来ている。すると、授業をしていた。先生の様子が変だった。さらに、廊下にも先生や生徒がいた。雅樹が不思議そうに見ていると、急にこちらを向いた。雅樹はギョッとした。彼らは雅樹に向かって来た。その手には箒などを持っている。明らかに雅樹を攻撃しようとしている。
「落ち着け!何なんだよ!」
しかし、その言葉も聞かずにいる攻撃してきた。雅樹は流石に殴れず、武器を壊した。雅樹は逃げ場を探すために窓に目をやると窓の外に巨大な羊が見えた。(怪しい。絶対あいつの仕業だ!)そう思い雅樹が羊悩んの方に向かおうとすると、姫睦が襲われそうになっていた。雅樹はそれを助け出した。
「ありがとうございます。一体何が起きてるのですか?」
「分かんねぇ。だけど、この笛の音とあの羊が関係しているということは分かる。」
雅樹がベランダから飛び降りようとした時、下に人がいるのに気が付いた。しかし、後ろから来ているため止まれなかった。雅樹がベランダから飛び降りた時、姫睦の服が引っかかった。彼らは空中で止まってしまった。身動きができないまま、襲われそうになった時、隣の教室から零樹が飛び出して来て、服を取ってくれた。そのまま、落下しようとするが、零樹が雅樹を蹴り飛ばしたため彼らは武道場の屋根に着地した。その後すぐに零樹も来た。
「零樹、あのでっかい羊何か分かるか?」
「はい。瞬さんの情報によると、あれはスペイン代表のロラン選手のバディだそうです。ロラン選手は笛を吹くことで人を操ることができます。笛の音が聞こえるということは近くにいるはずです。探しましょう。」
「分かった。だけど姫睦はどうする?ここに置いておくわけにはいかない。」
「とりあえず耳栓をしておけば操られず、僕達が彼らを攻撃すると僕達の方に攻撃が集まると思うので大丈夫かと。」
雅樹はその作戦に納得した。姫睦には出来るだけ身を潜めるように言った。
雅樹と零樹は羊に攻めようとするが人が邪魔で近づけない。ただの学生が多いため、攻撃するわけにはいかない。彼らが苦戦していたところ、羊の方から向かって来た。好都合であるが、人が踏み潰されてしまう。そこで、零樹が人を踏み台にして跳び、羊を止めにかかった。その羊はバディなだけあって重く、怯みにくい。零樹は様々な角度から攻撃するため、羊の上に登った。すると、羊の上に男が笛を吹いていた。道化師みたいな服装でいかにも怪しい。(絶対こいつが犯人ですね。)男は零樹に気付くと、後ろに下がった。
「逃がしませんよ!」
零樹が攻撃しようとすると、男が笛の音色を変えた。その音色は攻撃してくるように感じる。(耳が痛い。これでは近づけません。一旦降りないと。)
零樹がそう思っていると、斧を持った人間が1人襲いかかって来た。零樹は耳を塞いでいるため、身動きが取りにくい。零樹は急いで降りた。そこで、雅樹と合流した。
「おい!何で降りて来たんだよ!」
「すみません。上にいるロラン選手の笛の音色により攻撃ができませんでした。これはかなりきついです。」
今度は雅樹が上に登ろうとするも、人がよりいっそう増えて登れない。そこで、雅樹は零樹に蹴り上げてもらった。体制が悪かったのであまり飛ばなかったが、羊の毛を掴むことができた。羊はそれにより、全身を揺らす。雅樹は振り落とされないように必死に掴まる。少しずつだが、登って行く。雅樹はやっとの思い出上に登った。そこには、笛を吹いている男がいた。(あいつだな。ぶっ飛ばしてやる!)雅樹が近づこうとした時、零樹の時のような笛の音色に変わった。雅樹は耳を押さえて動けない。(クソっ!耳を押さえてたら攻撃できねぇ。耳栓みたいなものねえかな?)雅樹は辺りを見回すが、何もない。そこで、仕方無く、自分の履いていた靴下を耳栓がわりに詰めた。1個目をはめる時に、かなり効いたらしく、フラフラだ。それに、靴下では多すぎるため、邪魔で取れそうだ。雅樹はそのことを気にせず、男に突っ込んだ。男は逃げるそぶりもしなかった。雅樹は羊から落とすと厄介なため、少し力を抜いた。男はそれでもかなり吹っ飛ばされた。雅樹が追撃しようと近づくと、その顔は見知ったものだった。雅樹のクラスの担任の先生だった。(はめられた?だが、本体はどこに?)雅樹が辺りを見回すと、武道場の屋根にいた。そこには姫睦もいた。そして、男は姫睦の隣にいて、姫睦に笛を吹いていた。これは危険だと思った雅樹は急いで飛び出した。そして、武道場の屋根に着くと、男が待っていたように話しかけた。
「いやー、遅かったですね。もう少し早く来ると思っていましたよ。」
「姫睦から離れろ!」
「そうはいきませんね。これは、私の目的を果たすために必要ですから。」
「テメエがどかねえなら、俺がどかしてやる!」
雅樹はそういう、攻撃を仕掛けた。だが、男はにやり、と笑っていた。