18.謎の少女
零樹の対戦相手は全身黒服の怪しい男だった。武器は刃物で服の袖から出してくる。それを投げてくる。零樹はそれを避けながら、接近する。零樹は相手の隙を突き、相手を蹴り飛ばした。零樹はあまり手応えを感じなかった。これまで戦った人と比べるとかなり弱いと感じたからだ。しかし、そう考えているうちに相手が立ち上がり、バディを解放して襲ってくる。相手のバディはこれも幽霊みたいだが、宙に刃物を浮かせている。バディはその刃物を投げてきた。零樹は不意を突かれた。相手は刃物を手を使わずに念力で投げてきたからだ。つまり、攻撃が予測しにくい。しかし、その方に気を取られていると、もう片方の攻撃に集中できない。さっきまでは簡単に避けれていたが、今は、避けにくく、避けているだけで精一杯だ。このままでは不味い、と零樹は思った。そして、バイクの音と煙による、カモフラージュ作戦に出た。相手はこの種を分からない。つまり、本物の零樹が何処にいるか分からないのだ。バディの投げた刃物が煙の零樹に直撃する。相手が気を抜いた直後、零樹はバディを背後から蹴り上げた。バディは声なく吹き飛ぶ。相手も相当驚いているようだ。
「さっきは油断しましたが、これで終わらせます!」
零樹は靴のブースターを使った。その速さは音を超えている。相手は何をされたのかも分からずに吹き飛ばされた。そして、気絶した。相手が気絶したため、零樹は勝った。
その後、応援席に戻り、他のメンバーを応援した。だが、つまらなかったようだった。あまりにも早く決着が着き過ぎた。
「守君、本当に相手は中国代表なのですか?」
「流石に偽物ということはないよ。そもそも中国では全体的に相手が弱い。雅樹が戦った劉恪が最も強く、ランキングが20位で、君が戦った相手が、100位ぐらいかな。他のやつは弱過ぎて覚えていない。」
零樹はそれで納得した。試合が終わると挨拶をしなければならなかった。そこには、劉恪も一応いた。
「あれ、帰ってきてたのかよ。てっきり、病院に行って入院していると思っていたぜ。」
雅樹が嫌味ったらしく言った。
「僕に勝ったくらいで調子に乗るなよ!いつか、ぶっ殺してやる!」
「はいはい、それが来るといいなぁ!」
零樹が止めに入り、その場は落ち着いた。
その後すぐに彼らは帰る準備をした。雅樹と零樹が翌日学校があるからだ。守が彼らを気づかって飛行機を出してくれた。機内では色々と話した。
「そういや、他の国ではどこが強いんだ?」
その質問に瞬が答える。
「難しいね。どこも日本に比べると弱いけど、1番強いのはアメリカかな。世界6位と7位がいて、全体的にランキングが高い。」
雅樹はそれを聞いてつまらないと思った。日本が圧倒的過ぎて楽しめないよ思ったからだ。
「だけど落ち込まないでね。今年はどこの国もかなり強くなっているようだよ。さっきの戦いを見て思ったけど、劉恪なんて全然違ったよ。だから、どこの国が脅威になるかは分からない。」
雅樹は少し期待を持てた。自分が楽しめ相手が出てくるのだろうと。
翌日、彼らは遅刻ギリギリで学校に着いた。飛行機で帰ったせいで、帰宅時間がとても遅かったからだ。雅樹はこの2日間色々ありすぎて授業がとてもつまらなかった。さっさと帰って寝るつもりだったが、守に呼び出された。
「何のようだ?」
「怒っているようだね。」
「昨日の今日で疲れてんだよ。」
「そっか。本題だが、昨日の家が襲撃されたね。そこで家のあちこちが破損したんだ。そこで、子供達を連れてきたのは君達だから修理代を払ってもらう。」
雅樹は唖然とした。
「貴族なんだからそんぐらい払えよ。」
「無理。2億円払ってね。僕の口座の番号教えるから入れてきて。今日中に。」
守は雅樹の返答を聞く前に雅樹を閉め出した。
「くそっ!」
雅樹は急いで銀行に向かった。ブラックカードがあるから何の2億円は払えるが、めんどくさい。自分の時間を潰されたからだ。雅樹が銀行にお金を入れて帰ろうとした時、急にシャッターが閉まった。そして、銃声と共に、激しい声が鳴り響いた。
「死にたくなかったら動くな!」
雅樹は銀行強盗だと悟った。すぐにぶちのめそうと思ったが、遠くに離れている敵がいるため、迂闊に動くと他の客が殺されてしまう。雅樹はその場では強盗犯の言うことに従った。そして、強盗犯は客や職員を全員大きな部屋に集めた。その後、強盗犯は客や金庫から金を奪い取っていった。そして、1人の男が雅樹の方に来た。
「おいガキ、金を出せ。」
「やだね。お前らなんかにやる金なんて1円もねえよ!」
「ぶっ殺してやる!」
男が銃を取り出して発砲しようとする前に雅樹が男に攻撃を仕掛けた。強盗犯は驚いて動けなかった。そのうちに雅樹は強盗犯を気絶させていった。1人1発だから。効率が良い。相手は竦んでいるため簡単に倒すことができた。雅樹は部屋にいる敵を全滅させたのを確認した。そして、外にいた警察を呼んだ。客は急いで銀行の外に行った。雅樹は念のために銀行内に他にいないか探しに行った。雅樹がトイレに行こうとした時、途中の道で少女とすれ違った。歳は雅樹と同じぐらいだった。その時は何も思わなかったがトイレに入る前に疑問に思った。(客は全員集められたはずだ。どうしてあいつはこっちから出て来たんだ?)雅樹は悪い予感がした。雅樹は急いでトイレに入った。すると、ある個室から血が流れているのが分かった。その中には、強盗犯の1人と思われる人が血塗れで倒れていた。その傷は何度も刺され、何度も治療された跡が見つかった。雅樹は急いで外に出て救急車で助けるように求めたが、既に死んでいた。雅樹は殺したと思われる少女を探したが見つからなかった。雅樹はモヤモヤした気持ちを抱えながら帰宅した。そして、そのことは零樹に言わずに寝た。