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天使と悪魔の実験台  作者: 紅雪コウキ
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第1章2「信じ難い事」



「私の名前は火々里亜里沙です。

これから、よろしくお願いします。」


と、転校生のありさは、微笑みながら自己紹介をした。


(火々里ありさ………ねぇ…いや、知らないな…)


(気のせいか、ただの思い過ごしか)


確かに俺と目が合って笑った気がするんだが…


(━━って、転校生に何期待してんだよ…俺は…)


確かに、ありさは黒髪のロングでスタイルが良く、そこらのモデルとは比べものにならないほどの美少女だ。学年、いやこの学校の中でもトップクラスだろう。………すこし胸が小さい気もするが


(だからって、青春でも謳歌するつもりかっつーの)


「はいじゃあ、皆仲良くしてやってくれ」


(テキトーだな…先生も…)


「じゃあ席は天童の後ろだな、窓側の一番後ろに座ってくれ」


(うげ…俺の後ろかよ……どうりで後ろに一席無駄に空けてたわけだ…)


「はい、分かりました。」


ありさは、席にむかうとき先生に少し頭を下げてから、俺の席の後ろの席を向かって来る。


今ので、真面目なんだなと、思わされた。だって、普通席に行く時に、先生に頭なんか下げないだろう。


ちなみに、だいたい分かったであろうが、俺の席は教卓から右側の外が見れる方の一番後ろから2番目という結構いい場所に座っている。


ありさが席に着く前にまた、俺と目が合った。

するとまた、ニコっと笑った後自分の席に座った。


(思い過ごし思い過ごし)


(男子共からの羨ま視線も思い過ごし…)


「よし、じゃあ授業の準備しとけよ〜」


担任のこのいつもの言葉と共に、いつものじゃなくなる一日が始まった。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


転校生であるありさは、お約束というべきか、クラスメイト達の質問責めを受けていた。


ありさの前の席である俺もその質問を聞いていた。(無視したくても勝手に耳に入ってくる)


「どこから来たの?」とか、「部活は入るの?」とか

、「好きなタイプはー?」とか、いろんな質問を言っていく。


そんな質問に対しありさは、「○○高校です」とか、「まだ決まってなくて」とか、「楽しい人かな」とかなど全部丁寧に答えていく。


(転校生てのは大変だな)


と、ハイトは他人事に思っていた。

その後、そんな事大変の内に入らない事が起こるのは、ハイトは当然まだ知らない。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


ここまでは、よかった。


だが、お昼を食べて皆が眠気と戦っている五限にそれは起こった。


ポン、コロコロ…


俺も眠気と戦っていると、うしろから丸めた紙が俺の机に転がってきた。


(ん…?なんだこれ…)


後ろから飛んできたということは、ありさしかいないが…。


なんだと思いながら一応周りを確認して、開けてみると、男子だと誰もが勘違いしてしまうような内容が書かれていた。



『放課後、屋上に来てください。

待ってます。』



と、書かれていた。


(……………………………………………マジか…)


えーマジかちょっと待てこれって告白される?いやいやそんなバカな今日会ったばっかだぞ?一目惚れか一目惚れってやつなのかいや待て冷静になれ俺冷静になれってバカヤローんなわけないってそうだろどうせこの学校の事について教えてくれとかそんな事に決まってんだろ惑わされんな


その後は多少落ち着いたが授業はあまり集中できなかった気がする。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


放課後になった。


(まぁ行ってみりゃあいいだけの事だしな)


終わりのホームルームも終わらせて、みんなが帰る準備や部活の準備して教室を出て行こうとする集団に混じってありさが教室を出て行こうとするのが見えた。


(さて、俺もそろそろ行きますか)


屋上にむかう階段を登り、屋上に出る扉の前で、一旦深呼吸をしてから、扉を開けた。


「こんにちは、天童ハイトくん。

待っていましたよ。」


そこには、穏やかに笑顔を浮かべ、少し頬をピンク色に染めたありさが佇んでいた。


背景は夕日に差し掛かっていて、運動部の掛け声なども聞こえていた。


だが、ハイトはそんないい雰囲気を前に一瞬だけありさに見とれていたが、あの手紙を開いた時より、むしろ普通に生活している時よりも冷静でいた。それは━━━、


(こいつ、なんでこんなに何を考えてる事がわかんねぇんだよ…)


そう、それは偽りの自分を作って、良い人だと演じている側からすれば、ありさの様に考えてる事が全部じゃなくても一部分もわからない人間は、嫌なタイプなのだ。


良い人間だと演じている人間は、まず相手の感情や気分、考えてる事などを顔や手や体の動作を見て判断し、その人間にとって良い人間を演じる。


ありさからはそれが一切読めない。


(面倒だな、早く終わらすか)


心の中を悟られないよう、いつもの『俺』を演じる。


「何かな?話って」


ハイトは早く終わらせるべく、いや、早く終わらすべきである状況に、そう切り上げた。


「えっとね、ハイトくんに一つ、聞きたいことがあって…」


と、恥じらいを浮かべているありさにハイトは気が付いた。


(そうか、こいつ…俺と一緒なんだ)


今のもそうだ、恥じらいを演じている。

ハイトにはなんとなくわかった。


(だからわからなかったんだ、言ってることと思っている事が違うから)


演じているなら本心がわからない。


それは、同じ演じている人間同士だからわかった事だった。


それで、ありさがその聞きたいことを聞いてきた


「どうして、ハイトくんは嘘の自分を演じてるの?」


(………!やっぱりそうか…)


それはまだいい。ハイトにもわかったことだったから。


だがさらに、ありさは衝撃的な事を言い出す。


「確かそういう事しだしたのって確か五年前ぐらいだったかな?」




(………………………………………………は?)




「確か五年前ってあなたの家族が死んじゃった年だよね?」


(………ちょっと……は…?)


「あ〜そういや、お母さんの事を毛嫌いしてる妹さんのとこに引き取られたんだっけ?」


(おい………ちょっと待てって…)


「だからかな〜苦労してるね〜」


(おい……なんで…それを知ってんだよ……!?)


「あ〜なんか驚いた顔してる。じゃあこの事言ったらどうなるかな〜?」


(こいつ…何なんだよ!?)


でも、これだけはわかる。こいつは、絶対にやばい。関わってはいけない人間だ。


知ってるのは少人の親戚で、他の人には誰にも言ってないことを今日初めて会う転校生に言われ、考えが追いつけないハイトに、とても信じ難い事をありさは言った。


「アンタの家族を殺したのって

アタシなんだよ♡」


三話です。

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