「マイルストーン」
始まりの地からどのくらい歩いてきたかは忘れたよ
景色だとか空の模様とかに見惚れてたせいでさ
文字で起こせと言われても到底出来ない所まで来てる
時間の感じ方も変わってゆくもので
春夏秋冬のサイクルは年々短くなってるみたいだ
あの日に見た月の形は既に姿を変えていた
道中に拾っては、捨ててきた石コロとビンの破片
そこらに落ちてるのと何ら変わりのないゴミ
それでもかつては宝物
かけがえのないお宝だった不要品
大事にしていた人形も
お気に入りだった洋服も
無意味に集めてたペットボトルのキャップも
どれもこれも捨ててきた
新しい宝を手にしちゃあ古い宝を捨てる道のりは時折哀しさを覚えたりもしてきたけれど
案の定、悪くないかなと思えてきてるんだ
あの時、一所懸命に描いた下手くそな落書きたちも
殴り書きで埋められた言葉の欠片も
聴きすぎて反応しなくなった傷だらけのCDも
今となっちゃあどれもガラクタになった訳だけど
そのガラクタ、ただのガラクタじゃねえよ
要らないと思ったのは
もう其処に自分はいないから
手に放すことを決めたのは
区切りがついてしまったから
身を軽くしたまま 進みたいから
捨てることにしたのは
もう 先に行けてしまったから
それでもまだ新しい宝物を求めるのは
ここより先を知るためだし
今の この先へ 進みたいから