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Kiss in the Doll  作者: 香音
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19

 二日後――。

 オレたちは、再び村のあった場所にいた。

「ようやく着いたわね」

 レズギンカがため息を漏らした。

「そうね。今さらだけど……」

 アイナが答えた。

『なんでアンタがいるのよ?』

 アイナとレズギンカの声がハモった。

「それは、どちらも、この村に用があるからだろ?」

『だったら、日をずらせばいいじゃない!』

 またハモる。

「まあまあ。目的地が同じなら、同じ日に出発してもいいだろ」

『よくない!』

 仲、いいな。

「私は、自分の馬と、借りた馬を回収するだけだし、そのついでに、ゼフィールドを手伝おうと思って……」

 アイナは、遠くを見るようにつぶやいた。

「へぇ~……。ゼフィールドの、何を手伝うの?」

 レズギンカが意地悪く腕を組みながら言った。

「ば……。い……いろいろよ! ……っていうか、アンタが変な気起こさないよう、お……お母様が……!」

「『ゼフィールドの』、じゃなくて、ダイレクトに『お母様』? いつからそんな関係に……?」

 レズギンカの言葉を止めるように、レズギンカの胸ぐらを掴みつつ、アイナは食って掛かった。

「う……うるさいわね! あ……アンタこそ、この後どうするのよ!」

「私は、この身内のゼフィールドと一緒に、私のお父様たちを探すわ。それで、ゼフィールドは、その後、どうするの?」

「それは、作業が終わってからにしないか?」

 日の出前に出発し、村の入り口に到着して、随分経つ。

「で、どの辺がいいかしら?」

 レズギンカは、村を見渡しながら言った。

 約束を果たすために、墓を作りに……。

「『祭壇』の近くでいいんじゃない?」

 レズギンカは歩き出した。

「それにしても、あの老人、っていうか、村長さんは、どこに行ったんだろうね」

 事件が終わった翌日、村長は突然姿を消したのだった。

 夜に警備をしていたものも、見ていなかったというし、窓から飛び降りたような様子もない。忽然と消えていたのだ。

 ただ、部屋には、オレ宛の手紙と聖杯、人形サイズの結晶の形に彫られた、木材のようなものだけが残されていた。

 ――聖杯は、この国で保管。村に巫女の墓を。

 この言葉に従い、オレたちは、手紙と結晶の形をしたものを手に、ここに戻ってきた。

「村長ならきっと大丈夫だよ」

 オレたちは、レズギンカを追った。

 遺体を埋めるものではないため、墓標のみを建てる。

「横一列に並べるんでしょ。順番は?」

 村長の手紙に目を通す。

「向かって左から――」

 ――シルキー……『戦いを司る者』

 ――ヴィンセント……『愛を司る者』

 ――ラスキー……『翼を持つ者』

 ――エルク……『歓楽をもたらす者』

 ――クルトワ……『大地を守りし者』

 ――アイル……『知識を司る者』

 ――ティルツ……『神秘主義者』

 オレは、七つの墓標に、そう刻み、結晶を一つ一つ、墓標の前に供えうように置いた。

「すっかり暗くなったな」

「ホントね。まあ、小屋もあるわけだし、その辺は大丈夫ね」

 そう言いながら、オレとアイナは、村長の家へ歩き出した。

「あ。ちょっと待って」

 レズギンカに呼び止められ、振り返る。

 レズギンカが、自分の荷物袋から、手鏡を取り出し、オレに渡した。

「持っててくれるかな?」

「え? あぁ……」

「そう。そうやって……」

 そう言いながら、レズギンカは、その鏡を見ながら、自分の長い髪を後ろで一つに束ねた。

 ポニーテール?

 そう思った瞬間、束ねた髪が、宙を舞う。髪留めのゴムがすぐに外れ、肩より上で長さが揃えられた。

「お前、何を!」

 レズギンカは、持っていたナイフをしまった。

「本来なら、死刑を言い渡されてもおかしくない重罪よ。いくら必要があって、生きることを許されていても、お咎めなしでは、気が済まないわ」

「だ……だからって、髪だぞ!」

 動揺し切っているオレを、アイナがなだめた。

「実は、一昨日の夜も、このことで言い争ったのよ」

「私の気持ちは変わらない。でも、この女がずっとうるさく言うから……」

「だって。女の命は髪でしょうが!」

「何その女の価値は髪で決まる、的な? 昔の私は死んだのだから、髪を切ろうが何しようが勝手でしょ?」

「だから、それとこれとは違うでしょ!」

「それを言ったら、アンタだって、髪短いでしょうが!」

「わ……私は――!」

 どうでもいいけど、部屋、入ろうぜ……。

 こうして、夜が更けていった。

 そして、オレは、しばらくの間、とはいえ、レズギンカとアイナという旅の仲間ができた。

 当面は、レズギンカのお父さんたちを探す旅となるが、それはまた、別の話である――。


ようやく完結です。

長くなった理由は、後書きを考えてたら、長くなってしまって、そのまま忘れてました……。

そのため、最初、何を書こうとしていたか、完全に忘れてますが、内容自体は、もっと前に完成してました。

全体を通して、爪は甘いです。

前回ラストがどうだったかを、備忘録的に入れた状態で投稿したり、テキスト「右で折り返す」状態で投稿してしまったり、やらかしは、多々ありましたが、いい思い出ですね。

今後も、こんな感じで、気ままに投稿できたら、と思います。

と、いうことで、次回は、どうなるか、まったく考えてませんが、今後もよろしくお願いします。

ではでは~

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