第1話
「ハッハッ・・・!」
嫌だ。嫌だ。やだ。ヤダ。ヤダ!!
「なんで・・・?」
走っても走っても
見えるのは、私を否定するものばかり。
そして、文字の下に書かれた異様なほどに0の多い数字。
「つぅ─────────────────!」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
窓から差し込む朝日。
外から聞こえる鳥の声。
そして思い切りベッドから顔を上げた私、詩月李流。
一見、穏やかですがすがしい朝に聞こえるが断じてそうではない。
さっき見た悪夢で目覚めは最悪だし思い切り顔を上げたため・・・
「いったぁあああああああああ!!!!」
上の棚に頭をぶつけた。
窓から朝日が差し込む。その窓さえおんぼろで朝日がどうのこうの言う程の気品は全くない。
目覚めが悪い。
その言葉に尽きる。
小さく舌打ちをして一階へ降りることにした。
階段の手すりは塗装がはがれている。さらには一段一段降りるたびに音を立てるボロだ。
まるで、私の体重が重いみたいじゃん。なんてぼやきながらすぐさまキッチンへ向かった。
「おはよー」
先にキッチンにいたのは廃墟に一緒に住んでいる少年2人。
その一人、茶髪の青年が明らかに朝食を一気に詰め込んだ口で何かを言った。
「ふぉそい!ふぁおふぁへてるふぉ!!」
おそらく「遅い!もう食べてるぞ!!」とでも言いたかったのだろう。
口にご飯を詰め込んだまま喋ったせいで解読に多少時間がかかった。
うるさいな~と文句をつけようとしたとき
「リル姉、ご飯出来てる。早く座って。」
ぶっきらぼうに言った黒髪の美少年・・・ハヤテに止められた。
そしてハヤテは付け加える。
「それに、ユウマ、さっきリル姉が降りてくる音を聞いて急いで食べ始めてた。」
「は、はぁ!?」
焦るユウマにハヤテはさらに攻め立てる。
「起きるのもリル姉と全然変わらないし朝食にはピーマン入れるなって子供っぽいこと言ってた。
人のこと言えない。それに、」
「あぁああああああ!もういい!分かった!!」
ハヤテの言葉を必死に止めた後、落ち込み始めた。
「何なんだよ・・・この二人・・・。
朝から俺、いじめ受けてるよ?ついでにピーマン大口で入いてったよ?」
あ。本気で落ち込んだ。これはちょっとまずいのか?
いや、でもこれはいじってもいい系の人間だ。良しとしよう。うん。
まぁ、この場の空気を仕切り直すために話題を出した。
「ところで彼らについての情報見つかった?」