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栽培兄妹と+α  作者: 葉月
タイトル
6/36

ニルバニアへ

異世界に来ました。

そして今は、牢屋にいます。そう、牢屋です。

罪人が入れられる、あの牢屋です。



「どーいう事だろうね、亮乃君」


隣で呑気に、欠伸をしている男に莉伽は問いかける。

ちょっとはこの現状に慌てて欲しいものだ。


「さぁ?俺もわからないな」

「わからないって・・・」


当たり前か。

展開があまりにも急過ぎたのだ。





今から一時間前に遡る。

サクとチリルと言う、二匹のぬいぐるみに『仕事を見せてやる』、と言われ連れてこられた先は、


湖の中だった。



「・・・・がぼっ!?」


当然のことながら溺れそうになった莉伽は、必死で手足をバタつかせる。


が、どんなに頑張っても水、水、水、だ。


し、死ぬ・・・・。


そう覚悟して、力を抜こうとした莉伽の腰を、誰かの腕が掴んで引き上げる。


「大丈夫かっ!?」


ようやく吸い込めた空気に、ゲホゲホと咳き込んでいた莉伽の頭上から、切羽つまった様な声が聞こえる。

見ると、ずぶ濡れ状態の亮乃が心配そうに莉伽を見ていた。


「りょ・・・の?ゲホッ!ゲホッ!」

「大丈夫そうだな」


亮乃がほっと、ため息をつく。


「ごご、どご?・・・ゲホ!」

「わかんねー。とりあえず、もといた公園、じゃあないな」


周りを見渡してみる。先程までの景色とはがらりと変わっていた。

公園にあった滑り台やブランコ、砂場などもなく、あるのは莉伽や亮乃が溺れかけた湖と、緑、そして遠くに見えるでっかい白い建物だけだ。


「ゲホゲホ!はー・・・。あの二匹は?」


やっと呼吸も落ち着いてきた莉伽は、キョロキョロと二匹、サクとチリルを探す。


「・・・いないな。まだ湖の中なのか?」

「えっ!?」


莉伽は亮乃に助けてもらったが、あの二匹はもしかしてそのまま・・・。


慌てて湖の中を見てみるが、湖は静かなものだった。誰かが溺れているような気配はない。


「・・・先に上がって、何処かへいったのかな・・・?」

「そのまま沈んだのかも」

「縁起でもない事言わないでよ」


ギロリと亮乃を睨む。その亮乃の肩越しに、先程まではいなかった、二人の小さな子供の姿が目に入る。


「・・・・・?」



一人は茶髪の少年。

そして、もう一人は金髪の少女。

どちらも6、7歳ぐらいだろうか。どちらも人形の様に可愛らしい。

特に金髪の少女の方は、フランス人形の如く綺麗な青い瞳も持っているので、金髪の長い髪と合わさってまさに『絶世の美少女』だ。


ぼーっと見ていた莉伽に、茶髪の少年はニヤリと笑う。


「ニルバニアへ、ようこそ。リョーノ、リカ」




・・・・・・・ん?


何故私達の名前を知っているんだ・・・?






ジャキっと耳元で嫌な音が響く。


「動くな。無駄な抵抗もやめておいた方がいい」


音がした方をおそるおそる見る。

キラリと光は刃物の様なもの。

不思議の国のアリスに出てくる、トランプの兵隊さんが持っているような、槍形態の武器だ。


「りょ、亮乃・・・・」


両手を頭の上までゆっくり持ち上げながら、莉伽は亮乃の方を見る。


「残念な感じ、だな」



亮乃もホールドアップ状態、だった。








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