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栽培兄妹と+α  作者: 葉月
タイトル
4/36

靴にひっついて

「亮乃!」


学校へ戻った莉伽は部活中の亮乃を呼び出した。


「あれ?帰ったんじゃなかったっけ」

「そんな事よりあのプイプイナンゴリッターって結局何なの?水あげにいったら変なものがいたんだけど。イタズラなわけ?それともドッキリ?」


掴みかからんほどの勢いで莉伽は亮乃につめよる。


「お、落ち着けよ。育つまで秘密だって話になったじゃないか」

「じゃあこれだけ聞かせて。食べ物かなんかなんだよね、花とか植物とかなんだよね。呪文とかそういうんじゃないんだよね」

「呪文って・・・なんだ、何かあったのか?」

「だからさっきも言ったでしょ。変なのがいたって」

「変な人か?危ないなぁ、場所変えたほうがいいかもな」


的外れな事をいう亮乃に、ちっがーーーーう!と叫び、とにかく見にくればわかると言ってやる。


「部活はいつ終わる?」

「まだまだ終わりそうにないぞ」


あたり前だ。授業が終わってからまだ1時間ほどしかたっていない。


「はぁ・・・とりあえず教室で待ってるよ。終わったら迎えに来て」

「それはいいんだが・・・」


亮乃は下を指差しながら、靴、と言った。


「靴がどうし・・・・って、わぁ!!何でこんな所に!」


莉伽の左靴にへばりつく様にして先ほどの猫ぬいぐるみがいた。


「亮乃!これだよ、これがプイプイ植えた所あたりにいて、あと二匹いたんだけど・・・・君だけなの?」

「・・・・・・」


猫ぬいぐるみはやはり喋らなかった。


「それっておもちゃ?動いてるけど」


亮乃は不思議そうに見ている。


「あの、とりあえず靴から離れてくれるかなぁ?」

「・・・・・・」


がっしり掴んで離れてくれない。


「・・・離れないな。無理やりひっぺがすか?」

「そ、それはどうかと・・・。とにかく仕方がない、一度あそこに戻るよ」


亮乃は、そうか分かった。じゃ俺も行く、と言った。


「部活はどーするの?」

「早退する。待ってろ」


そう言い残して走り出してしまった。顧問の先生に言いに行ったのだろう。莉伽は足元を見る。


「あの・・・離してはくれないんだよね・・・?」

「・・・・・・」

「なんでくっついてきたの?」

「・・・・・・」

「喋れないの?」

「・・・・・・」


無言がつづく。


「君は喋れないんだねー。他の二匹はうるさいぐらいだったのに。・・・もしかしたら君のこと探してんじゃない?」

「・・・・・・」

「・・・大丈夫?靴にずっとくっついてたからしんどいんじゃない?」

「・・・」

「帰りどうする?靴から離れてくれたら、私が持ってあげられるけど」


莉伽がそうゆうと猫ぬいぐるみは靴からやっと離れてくれた。


「・・・ありがと、離してくれて」

「・・・」


猫ぬいぐるみを手に持った所で亮乃が制服に着替え戻ってきた。鼻歌なんぞを歌っている。


「お待たせ。じゃ行こうかー」

「・・・亮乃、ちょっと楽しんでるでしょ?」


亮乃はニヤリと笑った。


「無限の彼方へ、さぁ行くぞー!!」


腕を振り上げて亮乃が言った。あの妹にしてこの兄あり、だ。



異世界到達まで・・・・あと、少し

次で異世界へ行けるかと・・・。やっとここまで来ましたー

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