靴にひっついて
「亮乃!」
学校へ戻った莉伽は部活中の亮乃を呼び出した。
「あれ?帰ったんじゃなかったっけ」
「そんな事よりあのプイプイナンゴリッターって結局何なの?水あげにいったら変なものがいたんだけど。イタズラなわけ?それともドッキリ?」
掴みかからんほどの勢いで莉伽は亮乃につめよる。
「お、落ち着けよ。育つまで秘密だって話になったじゃないか」
「じゃあこれだけ聞かせて。食べ物かなんかなんだよね、花とか植物とかなんだよね。呪文とかそういうんじゃないんだよね」
「呪文って・・・なんだ、何かあったのか?」
「だからさっきも言ったでしょ。変なのがいたって」
「変な人か?危ないなぁ、場所変えたほうがいいかもな」
的外れな事をいう亮乃に、ちっがーーーーう!と叫び、とにかく見にくればわかると言ってやる。
「部活はいつ終わる?」
「まだまだ終わりそうにないぞ」
あたり前だ。授業が終わってからまだ1時間ほどしかたっていない。
「はぁ・・・とりあえず教室で待ってるよ。終わったら迎えに来て」
「それはいいんだが・・・」
亮乃は下を指差しながら、靴、と言った。
「靴がどうし・・・・って、わぁ!!何でこんな所に!」
莉伽の左靴にへばりつく様にして先ほどの猫ぬいぐるみがいた。
「亮乃!これだよ、これがプイプイ植えた所あたりにいて、あと二匹いたんだけど・・・・君だけなの?」
「・・・・・・」
猫ぬいぐるみはやはり喋らなかった。
「それっておもちゃ?動いてるけど」
亮乃は不思議そうに見ている。
「あの、とりあえず靴から離れてくれるかなぁ?」
「・・・・・・」
がっしり掴んで離れてくれない。
「・・・離れないな。無理やりひっぺがすか?」
「そ、それはどうかと・・・。とにかく仕方がない、一度あそこに戻るよ」
亮乃は、そうか分かった。じゃ俺も行く、と言った。
「部活はどーするの?」
「早退する。待ってろ」
そう言い残して走り出してしまった。顧問の先生に言いに行ったのだろう。莉伽は足元を見る。
「あの・・・離してはくれないんだよね・・・?」
「・・・・・・」
「なんでくっついてきたの?」
「・・・・・・」
「喋れないの?」
「・・・・・・」
無言がつづく。
「君は喋れないんだねー。他の二匹はうるさいぐらいだったのに。・・・もしかしたら君のこと探してんじゃない?」
「・・・・・・」
「・・・大丈夫?靴にずっとくっついてたからしんどいんじゃない?」
「・・・」
「帰りどうする?靴から離れてくれたら、私が持ってあげられるけど」
莉伽がそうゆうと猫ぬいぐるみは靴からやっと離れてくれた。
「・・・ありがと、離してくれて」
「・・・」
猫ぬいぐるみを手に持った所で亮乃が制服に着替え戻ってきた。鼻歌なんぞを歌っている。
「お待たせ。じゃ行こうかー」
「・・・亮乃、ちょっと楽しんでるでしょ?」
亮乃はニヤリと笑った。
「無限の彼方へ、さぁ行くぞー!!」
腕を振り上げて亮乃が言った。あの妹にしてこの兄あり、だ。
異世界到達まで・・・・あと、少し
次で異世界へ行けるかと・・・。やっとここまで来ましたー




