プイプイとは何物か
初めまして、こんにちは。
私の名前は高山莉伽
学校からの帰り道、近所に住んでる幼馴染の兄妹、加藤亮乃と加藤那子。この両名を見つけて不覚にも話しかけてしまった事がことの発端でした。
「なにやってんの、亮乃」
「何って、見てわかんないのか?栽培だ、栽培」
亮乃君は栽培をしているらしい。よく見ると手にはスコップを持っている。
何かを栽培する趣味なんて持っていたか・・・?
「そうそう。兄さんのぷち栽培~♪ ですよ莉伽さん」
妹の那子ちゃんが楽しそうに、何かを埋めている兄亮之を後ろから眺めている。
「栽培って・・・こんな場所で?普通家でやるもんでしょ」
こんな場所とは。近所の公園である。
「家は駄目だ!」
「だ、そうなのですヨ莉伽さん。なんで、学校への通り道の公園、さらにちょっと角ばっているこの場所で栽培をしようかと思いつきまして」
いやいや・・・だからってさぁ、那ーちゃん
「ここなら学校の行き帰りに様子見られますし、角の奥の方なので誰かに荒らされたり犬に食われる心配も低い!絶好の栽培ポイントだと思いませんか?」
肩までかかる黒髪を二つに縛って背中に流し、身長151cmと小柄な体躯の彼女。美人とまではいかないまでも可愛らしい顔立ちの女の子、那子ちゃんはガッツポーズを作ってそう言った。
「そんなやってやりました的に誇らしげに語られても」
「《場所》提供、妹那子!」
「《栽培主》兼《栽培種》提供、兄亮之」
「二人の仲良し兄妹でお届けいたします~♪」
楽しそうだね、那ーちゃん。
この二人の、主に妹那子ちゃんのテンションに若干ついていけない莉伽。
これって犯罪とかにはならないんだろうか、こんな所で何かを育てるなんて・・・。
「何ブツブツ言ってんだ?莉伽」
声に出していたらしい。
「何にもないよ」
「フンフフーン♪ フンフンフーン♪ 埋めたらお水をあげないと!亮兄、私水汲んでくるねー」
「おー。そこに100円均一で買ったジョウロがあるからそれ使え」
亮乃は象さん形の小型ジョウロを指差し言った。
「あいあい、お任せあれ。行ってまいります!」
ビシっと軍隊風敬礼をして那子ちゃんは走り出した。微かに鼻歌らしきものが聞こえてくる。
うん。ものすごい楽しそうだ。
「・・・で、何植えたの?」
「プイプイナンゴリッター」
・・・・・・
しばしの沈黙。
「プイプイ、ナンゴ、リッター」
「・・・・・・」
「たくっ!何回言わせんだよ。プイ、プイ、ナンゴ、リッター。わかったか」
いやいや、亮乃君。
「解ったかもなにも、何それ?プイプイって・・・何所産よ」
「産地か?えー・・・どこだったかな。調べとく」
上を向き少し考え込んだ亮之を見て、莉伽はそれ以上に聞かなければならないことを思い出した。
「ごめん、そんなことよりも聞かなきゃいけない事があったわ」
亮乃が首をかしげる。那子ちゃんと兄妹だけあって顔立ちはすっきりしていて、そこそこモテそうな感じの男だ。髪の毛は黒色だが、近々染めてみようかなと前に言っていた。
「プイプイナンゴリッター。タベモノデスカ?」
少しの間のあと・・・
「みち」
「そっれはぁ!育ってからのお楽しみ!!ですよ!!」
妹の那子ちゃんに遮られる。
那ーちゃん・・・遮らないでよ。
「・・・那子、兄ちゃんに水がかかったぞ」
慌てて走ってきたからなのか、それとも亮乃の言葉を遮るためだったのか・・・。
那子の持っていた像さんジョウロに入っていた水は全て亮乃にぶちまかれた。小型ジョウロだったため、水はあまり入っていなく被害は少なかったが。
哀れ・・・亮乃。
「兎に角、お楽しみは最後に。好物は嫌いなものと嫌いなものの間に、趣味は多種多様にっ!!」
新しく水を汲みなおしてきた那子ちゃんが水をあげながら言う。兄に水をかけたことは少しも反省していない様子だ。
「いまいち兄ちゃんは、お前が何を考えてるのかわからない時がある」
「私も同じく」
しかし妹の押しに負けたのか、亮乃は、まぁ那子が言うならそうしようか。育つまで気長に待とうと言い那子ちゃんの頭をグリグリと撫でた。妹とはどんな仕打ちをされてもかわいいものらしい。
那子ちゃんは確かにかわいいけどね。
「オー!」
那子ちゃんは腕を振り上げた。亮乃のお腹にストレートパンチが入ったが気にもしていない。
ゲホゲホとお腹を押さえてうずくまる亮乃を見ながら、・・・みち、なんなのかかなり気になるんだけど、と言った莉伽の一言は綺麗に無視された。
異世界到達まで、後23時間・・・
初めまして。
なんだか、すごく見切り発車な感じで始めさせていただきました・・・。
とりあえず、主人公は莉伽ちゃんです。一応+α的存在な彼女。ファンタジーな感じで進めていければと思っています。小説書くための知識とか皆無なのであれなのですが、温かく見てやって下さい。




