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『  』と呼ばれた少年  作者: リフ


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第38話 勘違いとお揃いの指輪

 気付くと目の前には皆の顔があった。


「大丈夫!?」

「にゃん」

「ちゅう!」


 俺はマァに支えられながら上半身を起こす。

 いるのは宝箱があったあの部屋のようだ。


「ごめん、どのくらい経った?」


 俺は周囲を確認しつつ訊いた。


「そんなに経ってないわ。すぐに聖水をかけたから」

「そう……」


 俺は顔を伏せ自分の不明を恥じた。

 よく考えたら飲まなくても呪い解けたわ。

 何を焦って変な事を考えてしまったのか……。


「呪いは解けたと思うけど、身体に異常はない?」

「ありがとう。大丈夫、ちょっと混乱しただけだから」


 これは呪いじゃないから自分でどうにかしないと。


「そう、少し休みましょうか」


 俺はマァに促されそのまま休憩する事に。


「中身はなんだった?」


 俺は煩悩を頭から追い払うと、肝心の宝箱の中身について訊く。


「ええ、これが入っていたわ」


 マァが見せてくれたのは二つの指輪だ。

 デザインはどちらも同じで、銀色のリングの中心にカットが施された透明な石が嵌まっている。

 俺は肩掛け鞄に手を入れ鑑定玉を触ると指輪を鑑定してみる。



《収蔵の指輪》クラス:Ⅲ 品質:優

・金剛石と白金で作られた指輪。【装備収納】を発動出来る。


【装備収納】クラス:Ⅲ

・装備スキル。スキル発動を願い装備を手に持つ事でその装備を収納する。指輪を外すと収納された装備は手元に戻る。収納出来る数は指輪のクラスにより変化する。収納した装備のスキルを使用可能。

『』『』『』



「おお!」


 指輪を装備していれば中に入れた装備のスキルを使えるって事か。

 しかもこの表記だと三つは中に入れられそうだ。

 俺はこの鑑定結果を皆に共有した。


「凄い装備ね!」

「にゃんにゃ」

「ちゅうっ」


 ラジエルもハッズも喜んでいるようだ。


「動物用の装備も何か出るといいんだけど……」


 指輪は明らかに人間用だし。


「にゃん」

「ちゅう」


 ラジエルは気にするなと言いたいのか俺の肩に手を乗せた。

 ハッズはマァの肩からこちらを見て首を横に振った。


「ラジエル、ハッズ……」

「ありがとうございますラジエル様、ハッズ」


 マァは言葉の意味が分かってお礼を言ったんだろう。

 俺は宙に浮くラジエルの身体を優しく引き寄せると膝の上に乗せて撫でる。


「にゃん」


 ラジエルは嬉しそうだ。丸まって目を閉じた。


「ちゅうぅ」


 声の方を向くと、マァもハッズを手の平に乗せて撫で始めた。

 俺は撫でながらこの指輪について考える。

 スキルの付いている装備を持っていない人にとってはそこまで有用ではないだろう。予備の装備を入れておくか、移動の時に装備を入れて荷物を減らすか。


「どの指につけようかしら」


 俺は楽しげに悩むマァを見る。

 例えばマァならヌウンの水筒を入れておけば【液体生成】が使えるという事だ。

 もともと聖星水を生み出すためには水筒の蓋を触らないといけなかった。

 でも指輪に入れておけばその動作も要らなくなるはず。


「うん、この指ね」


 マァは右手の薬指に指輪を着けた。


「ほら、メグルも着けなさい」


 そう言ってマァが俺に指輪を渡してきた。


「ああ、わかった」


 俺は指輪のサイズを見る。

 うーん、小指でギリギリかな?


「おっ、いけた」


 指を通したら指輪がスッと少し広がった。


「これって指に合わせて大きさが変わるんだ」


 俺は驚いて呟く。


「ええ、着ける人に合わせて多少大きさが変わるわ。身に着けるダンジョン装備の類は特にね」


 マァによるとアクセサリーや鎧等はその人に合わせてサイズが変わる事があるらしい。


「なるほどな」


 まぁ、俺はこのままでいいか。

 短剣は右手で振るし、左手小指なら邪魔にならない。


「二人で初めて見つけた宝箱記念ね」


 しかもお揃いよ、と笑顔で指輪を見せてくる。

 確かに同じデザインだしお揃いではあるな。


「ああ、お揃いだな」


 俺も笑いながらマァに指輪を見せた。


「じゃあそろそろ行きましょうか」

「ああ、探索の続きだ」

「にゃん」

「ちゅう」


 指輪の効果を確認するのは帰ってからでいい。

 俺達は宝箱があった行き止まりの小部屋から出ると来た道を戻り始めた。

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