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『  』と呼ばれた少年  作者: リフ


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第32話 未知との遭遇

 ランジさんのせいであの日は酷い目に遭った。

 詳しい内容は伏せるが、マァの機嫌を直すのに時間が掛かった事だけは伝えておく。


「ふぅ」


 今日は西門から出た先の草原で薬草を探している。

 以前採取依頼があった熱冷ましの物とはまた別の薬草だ。


「マァはどうかなっと」


 俺はある程度採取出来てからマァを探す。

 少し離れた場所に人影を見つけた。


「お、いるいる」


 俺は声を掛けようと近づいていった。


「……ん?」


 近づくにつれて感じる違和感。

 背はマァと同じ位だけど、シルエットが微妙に違う気がする。

 こんなに骨張ってたっけなぁ。


「ほぼ裸だし」


 不用意に近づいた結果、マァではないことが確定してしまう。

 そこにいたのは土色の化け物だ。カリカリに痩せた子供の様な見た目で、申し訳程度に腰蓑を纏っている。

 こっちへ振り返った顔は皺くちゃで、その中に浮かぶ二つの真っ黒な瞳がこちらを見た。


「やばっ」


 俺は一瞬固まってしまう。


 ガアアァァァッ!!!


 そいつは叫ぶとこちらに走り寄ってくる。

 腰を屈めた変な姿勢でグングン近づくその姿に俺は恐怖した。


「マジかよ!?」


 俺はどうにか剣帯に下げた星辰の短剣を抜くと構える。

 その間に化け物が俺の目の前までやって来た。


「ガァッ!!」

「うおっ!」


 俺は咄嗟に後ろに飛ぶ。

 さっきまで頭があった位置を腕が勢い良く通り過ぎる。


「危なっ」


 指の先は鋭く尖っていて、当たったら怪我じゃ済まない。


「くそっ!」


 俺はどうにか振るってくる腕を大きく躱しつつ隙を窺う。

 腕の振りが大きいからどうにか避けれてるけど……。


「どうしたの!?」


 遠くからマァの声が聞こえる。

 俺が見回したときにはいなかったから、恐らくしゃがんで採取をしてたんだろう。


「来るな!!」


 俺は化け物から視線を外さずに言う。

 ここでマァに視線を向けたらやられるかもしれない。

 化け物の方はマァがいる事を知らなかったらしい。反射的に視線がマァの方を向いた。


「チャンスッ!」


 俺はその隙を逃さず相手に踏み込むと、相手の身体の中心を狙って短剣を突き出した。

 短剣から伝わる手応えはほとんど感じない。

 でも手の先を見ればきちんと相手の体に刺さっているのが分かる。


「ふっ!」


 反撃を受ける前に急いで離れる。

 化け物は傷口から血を吹き出しながら、それでもこちらに向かって足を踏み出してきた。

 ただ、力が抜けたのか途中でそのまま前向きに倒れる。


「はぁ、はぁ」


 息が荒い。視界も少しチカチカする。


「大丈夫っ!?」


 マァは相手が倒れたのが見えたのだろう。俺の方に走り寄ってきた。


「ああ、どうにか」


 俺は息を整えつつマァを迎える。


「怪我はない? あるなら言って」


 マァは俺を上から下まで見てくる。


「大丈夫、怪我はないよ」


 運よく攻撃はもらってない。


「それにしてもこいつは一体……」


 俺は倒れているそいつを見て首を傾げる。

 元の世界にも当然いなかったし、この世界でも初めて見る生き物だ。そもそもこの辺りの草原は人に害のある動物はいないと聞いていたけど。


「うーん……」


 マァは顎に手を添え考え始めた。


「いきなり襲ってきたから返り討ちにしたけどさ」


 こいつが知的生物で、可能性は低いが人権があったとしても正当防衛は成立するはずだ。これで殺しちゃいけない存在だとか言われたら泣く。


「私も実際に見た事はないから推測でしかないけど」


 そう前置きするとマァは話し始めた。

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