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02 王子視点:『運命のパレード』

 それでは、私ことシンデレラ町の王子の、初恋の話をしようと思う。


 町のメインストリートでパレードをしよう、という話が出たのは、僕が十代半ばくらいのことだったか。


 僕たち王族は、町の中心部にある小高い丘の上の城に住んでいる。

 町規模の国とはいえ、そこには身分の違いが厳然とあり、普段僕ら王族が顔を合わせる機会があるのは、貴族、それもある程度の高位貴族しかいない。


 ただ、今回のシンデレラの物語が始まる前、シンデレラの公募をかけ、ヒロインに決定したのは男爵家の娘だという。

 つまり、普段僕らが会う機会のない少女だ。


 僕は出来ればお話が開始する前に、その少女に会いたいと思った。両親や王家の侍従長(僕は『じい』と呼んでいた)は、僕の気持ちを尊重したいと言ってくれたが、周囲の貴族は難色を示した。

 特に《プリンス親衛隊》のリーダー的存在を娘に持つ公爵は、「いくら将来の伴侶(はんりょ)になる可能性が高いとはいえ、身分の低い男爵家の娘と、一国の王子様がお会いするなんて、言語道断です」と猛反対した。


 僕はその公爵の物言いが釈然(しゃくぜん)とせず、後でじいに聞いてみた。

「なぜ公爵は、僕のお嫁さんになる『シンデレラ』のことを、”伴侶になる可能性が高い”なんて言ったの? 『可能性が高い』んじゃなくて、伴侶になると、もう決まってるんでしょ?」


「そうですねえ……」

 じいは、考え考え説明してくれた。言葉を丁寧に選んでいる感じだ。

「公爵様は、何と申しますか、国王陛下であるお父上や、王妃陛下であるお母上のことがお好きなのですよ。それで、お父上やお母上ともっと仲良くなるには、息子である王子様と、ご自分の娘さんが結婚すればいいと、お考えのご様子です」


 しかし、その説明で僕はもっとわからなくなった。

「公爵が父上や母上とお近づきになりたいと思うなら、僕や娘さんとは関係なく、直接お話したり、お手紙書いたりして仲良くなればいいのにね」


 僕のその言葉に、じいは苦笑する。

「そうですね。確かにその通りでございます。今度公爵様にお会いした時に、そうお伝えしておきますよ」

 そして小声で「もし言えたら、ですが…」と付け加えていた。


 公爵は少し怖い顔をしているし、会うとこちらをググッと(にら)みつけてくるような迫力がある。なんとなくじいが言いたくないのだろうと察した。


(無理に言わなくても、いいよ)


 心の中で、じいにそう言った。



 僕が直接シンデレラに会うことは許されなかったが、代わりにパレードを行うことになった。


「なぜ、パレードなんだ?」

 じいに聞くと「シンデレラも、パレードを見に来る可能性が高いからですよ」と教えてくれた。


 でも、パレードをするとすごく沢山の人が来て、シンデレラが見に来てくれても、紛れてわからなくなりそうだけど。

「いえ、きっとわかりますよ」

「本当?」

「もちろんですとも!シンデレラはあなたの運命のお相手なのですから、ちゃんと一目でわかりますとも!」


 僕は嬉しくなって、更にじいに聞いた。

「僕はちゃんとシンデレラを好きになるかなあ?」

「もちろんですとも!あなたが好きになる人がシンデレラですよ」


 運命の相手って、すごい!

 沢山の人の中から、見つけられるほど、()かれあっているということなのかな?

 僕はパレードが楽しみで仕方がなかった。


 そしてパレード当日がくる。

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