表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/187

63.自然『生存競争に恨みはなく』

 猿素材の新たな捌き場所として灰毛の狼と取引をする様になった事で、以前より少しだけ身の回りのグレードがアップしてきた気がしなくもない。


 主に手に入るのは革や牙や植物類なのだが、多分肉は狼たちが食べて、残った皮をくれているのだと勝手に想像してる。


 だとしたら何でこんな綺麗な状態の皮が貰えるのかも不思議ではあるのだが、そこはゲームだからで納得しておきたい。


 更には皮毛骨肉店になめし液と言うのが店頭に並んだ事で、装備が皮から革になった。


 始めこそあまり意味がよく分からなかったのだが、見た目に光沢が出て追加ステータスも伸びた事で、より装備が充実してきた気がする。


 〔狼犬の革服〕(上質)VIT+8 SNS+2 

 〔狼犬の革長靴〕(上質)AGI+8 SNS+2 

 〔野猿の革手袋〕(上質)DEX+8 SNS+2

 〔野猿の革帽子〕(上質)STR+8 SNS+2

 〔防刃ベスト〕(上質)刃物耐性(小)打撃耐性(微)


 ちなみにこんな感じだが、上質と言うのは狼犬から物々交換で手に入れた素材で<製造>すると出てくる表示だ。どんな意味があるかは分からない。多分コレはいい物なのだろう。


 そして拾ったり狼犬から手に入れた植物素材の中で、キノコがあったのだが、コイツは眠りキノコらしい。


 毒キノコなら聞いたことあるが、眠りキノコと言うのが存在するのが火星ってことなんだと思う。


 <製作>で睡眠薬を作れたのだが、餌に混ぜさせて猿に食べさせるだけで、あっという間に眠ってしまう。もはや麻酔何じゃないか?とも思わなくもないが、コレは悪い物じゃない。


 何しろキカザルに食べさせてみても周りが騒がず、寧ろ余りを周りで分けて食べる事で、更に数体の戦闘猿も眠らせる事ができた。


 コレは是非とも大量に手に入れたい素材なので、絶賛収集中である。


 それに対応するように〔気付草〕と言うのもあり、これは抽出して飲ませるのかと思いきや、臭いを嗅がせるだけで寝てる者が飛び起きるアイテムだった。


 どうやら睡眠状態と言うのはデバフの中でも軽い物らしく、ちょっと殴ったりするだけでも簡単に目を覚ましてしまう。


 ダメージを出さずに平和的に目を覚まさせるには一個持ち歩いていても良いかもしれない。


 なんなら鼻のいい狼犬から隠れるのにも使えるのかも知れないが、今は仲間だしその件はいったん保留にしておこう。


 あとは料理に使える草?香辛料みたいなやつとか、ミントみたいな味の草とかだ。


 ミントみたいな草は自分で飲む〔錠剤〕に混ぜると清涼感が出て、尚且つ効果がちょっとだけupする何気にいい物だった。


 装備関連の充実と共に狼犬達と一緒に過ごす時間が増えた事で、猿達の行動観察も少しばかり進展が見えたのは、意外な拾い物だ。


 と、言うのも川を挟んでお互いがお互いの領域にちょっかいを出していると言う、自分の解釈は間違っていなかったのだが、どうやら昼間は猿の方が活発に川を渡って攻撃を仕掛けてくる反面、夜になると狼犬達が向こうに攻め込むことが多い。


 しかも、狼犬の領域をうろつくことが増えた事で、自然の状態の狼犬の行動を見れるようになったのだが、どうやら警戒するべき敵がいない場合、狼犬は大概昼に寝ている夜行性生物だった。


 肉食の狼犬達は猿を食べ、猿達は身を守る為に狼犬を減らしに掛かる。


 倫理とか関係なくお互いが生き残る為に縄張りを守っているという感じは、そこに変な悪意を感じず、今は狼犬陣営なので狼犬の為に働く事に抵抗はないし、だからと言って猿に強い敵意を感じることもない。


 淡々と狼犬達の為、昼の間に猿を狩り獲り、素材を集めて自分のパワーアップを目指す。


 ある日の事、自分なりに猿達の進入ルートを割り出す事が出来たので、その路上に罠を仕掛けていた。


 大抵猿達は木を伝って川を越えてくるのだが、どうしても木の切れ目になると地面に降りなくてはならない。


 だからこそボス狼犬がいると思われる場所の前は開けていて、灰色狼たちが守っているのだろうと思う。


 ちなみにまだボス狼に会った事はない。


 今回、ボスの間からは結構離れた川近くの勝手に広場と呼んでる空間に仕掛けるのは毒ガス装置だ。


 装置と言っても、そう複雑な物じゃない。以前に熱を発する酸と金属片の仕掛けは作ったが、コレで毒液を熱する事で蒸発させ、散布する装置の事を毒ガス装置というらしい。


 仕掛けられる罠も段々巧妙になっていて、枯れ木を設置すれば音で敵の接近が分かったり、紐が作れるようになった事で括り罠と言うのが出てきたのだが、コレはバネやら何やら必要みたいなので、今後ドローンを<解体>して部品が出てきたら作ろうと思ってる。


 そんな罠に思いを馳せていると、いつの間にか周囲に狼が集まってきた?


 「あの、あまり近づくと罠が発動しちゃうんですけど……」


 狼犬に話しかけても答えはないが、何となく意味は察していると思う。ここ最近の付き合いで何となくそんな気がするだけだが……。


 唐突に灰毛狼の一匹が唸り声を上げたかと思うと、木の上から葉のざわめく音が聞こえた。


 瞬間的に猿が近づいているのだと分かり、背中のバックパックに取り付けてるクロスボウをすぐさま引き抜き構えて、一歩下がる。


 何しろ接近戦なら狼犬の方が自分よりよっぽど上手いのだから、フォローに回った方がいいだろう。


 木の上のざわめきが大きくなるにつれ、狼犬達の緊張感が高まるが、毒ガス装置は作動させないでね?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ