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45.『青森殺人事件-証言-』コットの事件簿

 「殺人事件が起こるから名探偵が現れるのか、名探偵がいるから殺人事件が起こるのか?もし殺人が罪だと言うなら何故神は人に他人を殺せる力を与えたのか?」


 「それは明らかに前者だし、あと最後のは名探偵っていうよりサイコパスっぽいから、やめた方がいいんじゃないか?」


 「そ、そっかな?じゃあ、もうちょっと練るからもう少しだけ待ってくれ!」


 ……人は時としてその未熟(あお)さから傷つけ合ってしまう業の深い生き物だ。


 本来なら人の接触すら起こる事の少ない深き森の中、今回の事件は起きてしまった。


 いや寧ろ人気(ひとけ)が無い場所だからこそ起きた事件なのか?行きずりの快楽犯か?はたまた深き怨恨か?


 今日もお互いがお互いを憎しみ警戒し、殺し合うこの火星(ほし)にあって、そのどちらもが日常茶飯事と言える。


 それでもそれを日常とは割り切れず、俺を訪ねてくる者がいる事もしばしば……微力ながらこの頭脳お貸ししようじゃないか。


 他人に頼られるのはそう嫌いじゃない。


 「さて、早速だが話を聞こう。被害者はエウリュアレ、ゴルゴン三姉妹の次女、通称サイレントキラーだな?」


 「はい……そうです」


 「だな?ってそりゃ大小大会でそれなりに成績残してるんだし、誰でも知ってるだろ。しかも話すのが被害者本人って言うマーダーミステリーがどこにあるんだよ!あれか?被害者の霊を呼び寄せて犯人を探すタイプのホラー&ミステリーみたいな?」


 「え?そんなのあるのか?そのパターンで行ってみるか?」


 「あ……え?う、うらめしや!」


 「元気な幽霊だな。悪かったって変な所でつっこんでよ。それで?要はこの辺でお前ほど腕の立つスナイパーを狩れる奴に心当たりがないか?って事だろ?」


 「おい!そういうまとめ方やめろっていつも言ってるだろ!コレは殺人事件なんだから、もっと厳かにかつミステリアスに進めるんだよ!」


 「厳か?ミステリアス?え、どうしよう。ええ……っと」


 「ほら、困ってるじゃないか。このタイプは素直に聞いちまうんだから、もうちょっとライト目なのが優しさだろ?」


 「そ、そっかな?じゃあ、まず場所は青の森でいいんだよな?他に何か気がついた事とか……」


 「えっと、多分<察知>を使えて、トラップを使っていたので接近戦は苦手かもしれないです。熱源から匍匐で移動して隠れたのは分かってるんですけど、相手も見えない内からそこまで思い切って隠れるタイプは少ないので、かなり警戒心が強いタイプだと思います。それに……」


 「その前に、そんな場所で何やってたか聞いた方がいいんじゃないか?」


 「いや、森にいたなら狩りに決まってるだろ?それ以外に猿と犬しかいない森に何の用があるってんだか?そんなん聞かずとも……」


 「あのぅ姉さんから新人スナイパーが現れたって聞いたんで、ちょっと挨拶に来ました」


 「(……挨拶って……殺りに来たって事だよな?)そ、そうか」


 「(この子弱気そうに見えて、ちょっとこういう所、怖いんだよな~)それでその新人には会えたのか?」


 「それが、その新人だと思って近づいたら、逆にやられてしまって……」


 「あ~不用意に近づいて反撃されたと?でもそれそこそ、新人にやられる腕じゃないだろ?」


 「ん~はめられたとか?新人っぽい奴を餌にして、囲まれたとかそういう」


 「どうでしょう?そっちの方がやり易いですけど?」


 「(だってよ!やっぱりゴルゴンの次女だ!)そ、そうか」


 「(そりゃ何も無くてサイレントキラーなんて呼ばれて無いだろ!)それで、その犯人を見つけたらどうしたいんだ?」


 「あのゴーグルを返してもらいたくて!」


 「ああ、いつも装備してるやつか!何でしてないんだろうなとは思ってたんだが」


 「でも、装備品を落とすなんて相当なレベル差がないと、ありえんだろ?普通はアイテムボックス優先だ」


 「はい、なので新人にやられたのかな?とは思ってるんですけど、新人に優しいガンスミスさんなら心当たりあるんじゃないかと思って」


 「新人にってな……まぁ、スナイパーは脆いから、やれない事もないのか?」


 「問題はどうやってやったかだよな?他に何か気がついた事はないのか?」


 「さっき、言いたかったんですけど、発砲音が聞こえなかったんです。なのに後ろや横から次々攻撃されて、顔に強酸をぶつけられて、丁度ゴーグルを外してたから状態異常で目も見えなくなっちゃって……」


 「何でよりによってゴーグルを外してたんだ?」


 「確かにな。でも発砲音が聞こえなかったんなら、犯人は一人だ」


 「え?もう誰が犯人なのか分かっちゃったんですか?」


 「いや、絶対勝手な思い込みだから!ちょっと落ち着けって!」


 「くっくっく!ジョン!俺は常に学習し続けてるのさ!いつまでも推理を掠って終わると思うなよ!今回はど真ん中だ!何しろ動機もある!」


 「動機?つまり偶然じゃなくて、怨恨?確かに今までたくさん狩ってきたし、恨まれても仕方ないですけど……でもあのゴーグルは三姉妹ではじめて大会に出場した時の賞品を大事に改造してきた物なんで、絶対返して貰います」


 「(すげぇ殺気だ……こんな奴を敵に回すアホが本当に存在するのか?)そ、そうか」


 「(正直、言ってもいいのか分からんが、でも放っておく訳にも行かないだろ?)犯人は!……」

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