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42.縄張『犬猿の仲とは言うけども』

 折角手に入れた材木だったが、あっという間に全て使い切ってしまった。


 と言うのも、クロスボウの左手の保持部分と肩に当てる銃床部分、それにディテクティブスペシャルのグリップを手に入れた材木に入れ替えた為だ。


 <製造>を利用してグレードアップしようとすると、どうしてもミニゲームが挟まり、品質の良し悪しがうまれてしまう。


 まだまだ熟練度の低い自分では、回数をこなす必要が出てくる為、材料の消費も当然ながら激しい。


 それでも結果的には、良品で揃えた為かなりの性能上昇になったのは自然と自分の自信につながる。


 本当は金属の方が重量が増す分、性能も良さそうなのだが、代わりに木材はステータスに補正が付くらしく今回手に入れたホウノキの補正はDEXにプラスがされた。


 更に手に入れた染料で今のポンチョを染めると下地の明るい緑に地味にくすんだ黄緑がまだらに染まって、少し迷彩柄に近づいた気がする。


 そしてナイフを一本購入する事になった。


 と言うのも、駆け出しになったのだから野外活動の為に持っておけとあちこちの商店のNPCに勧められたからである。


 何でも装備しているだけで<解体>の効率をはじめ生産系の効率にプラス補正が付いたり、多少最低限ながら<製作>による消耗品生産も可能となるとの事で、持っていても損はないだろうと銃砲店に売っていた鞘つきナイフを購入して左腰に装備した。


 こうなってくると錠剤のケースや薬瓶がいよいよ邪魔になってくる。


 と、なれば!やはり服装備を改造する為の皮が必要だろう!ついでにあの〔狼犬の燻製〕も欲しいし、いよいよ環境実験区の先に向おうと思う。


 環境実験区の一番奥には透明な壁が張られているが、一部雑に木で塞がれている場所があった。


 あまりにも雑すぎて、寧ろそこから外に出ろと指示されるような分かりやすい穴を抜けると、ムワッと熱気が襲ってきた。


 すぐさま環境実験区に戻り、つなぎを空調服に換えて、起動しつつもう一度外に出てみる。


 すると今度は幾らか暑気を感じる程度で済み、見た目の地味さから想像していた以上の性能に満足して、一歩踏み出す。


 そこは、密林と言う程ではないが、環境実験区にあるより更に大きな木が幾つも生える、大きな森だった。


 ポンチョで周りの景色に溶け込めるように、茂みを探しながら、低い姿勢で探索を始める。


 すると、急にワンワンワンワンワン!と威圧感と危険を感じる吠え声が聞こえて、その場に身を伏せると同時に、クロスボウを構えた。


 ちなみに普段クロスボウはバックパックの横に立てるように取り付け、いつでも右手で抜けるようにしてある。


 声のする方を観察していると、どうやら自分が見つかった訳ではないらしく、全然あさっての方を見て吠えている様だ。


 すると、その先から今度はキーキー!!と威嚇する猿の鳴き声が聞こえてきた。


 遠目ながら様子を見ていると、木から飛び降りてきた猿が犬に圧し掛かるように襲い掛かり、負けじと犬も猿に噛み付く。


 どちら森の獣のようだが、仲が悪いらしい。


 漁夫の利狙いで、そのまま待機していると、猿から力が抜けその場で動かなくなったので、生き残った犬にクロスボウの〔改造ボルト〕を放つ。


 するとこちらに気が付いたのか、急速に走り寄ってくる犬のこれまでの敵とは一味違ったスピードに驚きつつも、二の矢をセットし、もう一発撃ち込む。


 一瞬怯んだ後、やはりすぐにこちらに向って駆けて来るが、途中で横倒しに倒れて動かなくなった。


 周囲に注意しながら近づいて<解体>してみると〔狼犬の肉〕〔狼犬の毛皮〕〔狼犬の牙〕を幾つかづつ手に入れた。


 1個づつじゃ無いところ、やはり環境実験区や街の下水道よりは身入りも良さそうで、ちょっと嬉しい。


 その後も森の中で、犬と猿の喧嘩を見かけては漁夫の利で素材を集めていく。


 そして、ふと視界が開けたと思ったら川に出た。


 川辺では光ってる場所が何箇所かあったが、触っても何も採れない……これについては街で聞き込みの必要があるかもしれない。


 そして、今度は川沿いの潅木を姿を隠す目隠しに使って、川上に向って歩いてみると、やはり猿と犬が喧嘩中だ


 どうやら、川向こうが猿のテリトリーで、川のこちら側が犬のテリトリーのように見える。


 そしてお互いのテリトリーの方が幾らか勝率が高いように思われた。


 つまり川のあっちとこっちで漁夫の利をやれば犬素材と猿素材を手に入れる事が出来るということだろう。


 鼠と狸からのアップグレードを目指し、地味にコツコツ狩りを続ける。


 川向こうの猿のテリトリー側に岩山が見えた時、急に謎の悪寒がして、すぐさま茂みに隠れ、そのまま匍匐前進で森の奥に向う。


 一体何の悪い予感なのかさっぱり分からないものの、かなりはっきりと感じたし、もしかしたら危険な敵でもいるのかもしれない。


 程よく手狭で見通しの悪い道を見つけて、罠を仕掛ける。


 念入りに〔弓罠〕の発射角度を決め、薬物が瓶ごと落下してくる手製罠も張った。


 更には<設置>をスキルレベルアップした事で、オブジェクトの一部を利用出来るようになり、足元の長めの草を括って、転倒罠も作れた。


 あとは、草葉の影に隠れて耳を済ませてさっきの気配の正体を探るべし!


ドキドキと音をたてる心臓が少しうるさい、でもコレは緊張と言うよりは好奇心から来る高鳴りだと、はっきり自覚できる。

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